LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2014/09/18(木)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:Suck a Stew Dry/フレデリック/夜の本気ダンス
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史(ぴあ関西)
  • 撮影:田浦ボン

オーディエンスのレスポンスの良さに、FM802DJ飯室大吾もご満悦のオープニングを迎えた、今年3回目となる『GLICO LIVE“NEXT”』。Suck a Stew Dry、フレデリック、夜の本気ダンスと、ベクトルは様々ながら昇り調子の3組が揃ったこの日のJANUSは、もちろんの満員御礼。それぞれが一度聴いたらクセになる(!?)独自の世界観を存分に鳴らし切った、刺激的な一夜をレポートします!

Suck a Stew Dry

クラップに誘われた神秘的なSEと蒼い光が、ステージ上の5人を照らし出す。ライブの口火を切るようなオレンジの閃光と共に、この日のトップバッターSuck A Stew Dryが放ったのは、彼らの世界観を如実に投影した代表曲『世界に一人ぼっち』!
これにはギッシリ満員のJANUSからも、何本もの拳が突き上がる。シノヤマコウセイ(vo&g)の少年性を湛えた歌声がじっくりとフロアを浸食していく中、一番手の役割を十二分に把握している彼らは、現在のロックシーンのオイシイとこどりの確信犯的四つ打ちビートチューン、その名も『カタカナトーク』で(笑)オーディエンスをフックアップ!
多くを語らずサウンドで語るメッセージには、このバンドのタフなスピリットを感じさせる。

続いて、「(みぞおちの辺りを指して)最近この辺りが痛いんですよ。恋かな?(笑)」(シノヤマ)と始まった『空想少女リリー』、「世の中に多くあるラブソングには、“君”とか“あなた”とか対象がいると思うんです。でも、対象がないラブソングがあってもいいんじゃないかと思って作った曲です」(シノヤマ)と披露した、ドラマティックな『リトルラブソング』。彼らの持ち味である“現代の寓話”的ストーリーを切々と届ける歌声には、観客もじっと聴き入る。そして、「何だか最近この辺が痛いんですよ。胃潰瘍かな?(笑)GLICOとFM802が大好きなSuck a Stew Dryです!」と上手いこと言うフセ(g)のハイテンション告知タイムを経て(笑)、シノヤマが再び想いを伝える。

「自分がやりたいと思って始めたことを、やり続けるのが難しいなと最近思い始めて。“これ誰かのマネじゃね?”とか“何番煎じじゃね?”って、見知らぬ誰かが茶々を入れてくる。音楽に限らずそういう状況にいる人に、“負けんじゃねーよ”とは言いたくないけど、僕たちの音楽が、言葉の刃に対する心のバリアになれれば」

ライブを締め括った『僕らの自分戦争』が多くのオーディエンスの心を捉えていたのは、彼らを送り出した会場の大きな拍手に現れていた。

夜の本気ダンス

リハの段階からゴリゴリのダンスビートが身体の中心をグイグイと突いてくる。カーテンが閉まった状態ですでに客席から多くの歓声が上がったこの日の二番手は、“夜ダン”こと夜の本気ダンス!
真紅の照明とひと際大きな歓声を切り裂いたのは「準備は出来てますか!?」という米田(vo&g)の掛け声とオリエンタルなギターリフと共にぶっ放された『B!tch』!!どっしりとしたへヴィなビートに扇動されたオーディエンスは、いきなりもみくちゃダンスタイムに突入。「まだまだこれからだぜ大阪?踊れるかい!?」(米田)とその手を緩めずの『Afro』といい、バンド×オーディエンスの熱量が倍々ゲームとなっていく光景はまさに痛快!『you gotta move』もまるで新曲とは思えない浸透率と加速度で、フロアの温度をグングンと上げていく。

「改めまして俺たち京都のバンド、夜の本気ダンスです!久しぶりの関西やけどやっぱ楽しいね、リハのときから超テンション上がった」(米田)、「802オーイエー!GLICOオーイエー!!もっと頭おかしくなりませんか!?」(ds・鈴鹿)とMCを挟んだ後半戦も、パーカッシヴなビートに乗せて『Love Connection』『for young』とブチ抜く流れがもう圧巻!

「フレデリック、カッコいいバンドやから良かったら見てってよ。最近PVもよく流れてるから、良かったら見てってよ」と鈴鹿が後に控えるフレデリックにエールを送りつつ(笑)、米田がギターを置いて、メガネを外し(笑)、ハンドマイクで挑んだ激烈ブチアゲチューン『fuckin’ so tired』では、「踊ってくれ!騒いでくれ!!」とフロアに降りオーディエンスをアゲまくる!狂乱のまま突入したラストの『戦争』でも、閉まり切らない会場後方の扉の先までコントロールしてシッティング&ジャンピング!全7曲、体感すれば分かる問答無用のダンスミュージックで、今のバンドの勢いを徹底的に見せ付けたステージだった。

フレデリック

カーテンが開くや、道頓堀のGLICOサインさながら両手を挙げステージに佇む4人(笑)。「踊る心斎橋JANUSを知ってますか?」「とんでもないヤツらが踊らせに来ましたよ」「後はみんなで踊るだけ」「関西から来たフレデリックです、よろしく!」とリズムに合わせてのご挨拶の後は、“死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない”のリフレインが一瞬にして脳内を埋め尽くす『SPAM生活』!
「“フレデリズム”に乗っかっていきましょう!」(vo&g・三原健司)とはまさにで、続くアーバンな『ディスコプール』でも、独特の語感と奇妙なリフやビートの燻製のようなリズムに、みるみる内に虜になっていく。ぐにょぐにょどろどろサイケなサウンドスケープで魅せる『ふしだらフラミンゴ』もそうだが、奇々怪々でありながらどこか童謡のような親しみやすさが、彼らの音楽の中毒性を促進する。

「今日がインディーズ・ラストライブです。どんな気持ちか分かってるやろ!?気持ち良くさせに来ましたよ。じゃあゆらゆらしよか」(三原健)と披露した、日常のすぐ脇にある世にも奇妙な物語のような『峠の幽霊』、「インディーズ・ラストでこれだけの人が集まってるって・・・ホントにありがとう!」(b・三原康司)と感謝の意を述べた後半戦の幕開け『プロレスごっこのフラフープ』、「あなたたちの体力をゼロにして帰りますよ僕たちは。最後までついて来れますか!?」(三原健)と緩急自在のリズムに揺れる『バジルの宴』といい、インディーズ時代のキラーチューンの数々が、メジャーシーンを視野にきっちりとビルドアップされているのも頼もしい限りだ。

「やっぱり愛と感謝で終わりたいやんか。メジャーとインディーの壁なんかないし、何も変わらへん。どんな感情でもブツけてきてくれよ。このみんなが笑顔になってる感じ・・・このままラストに行こうと思うんやけど、どうかな!?」(三原康)

溢れる想いをまくし立て流れ込んだラストの『オドループ』が見せた景色は、このバンドの長い旅路のはじまりを彩るにふさわしいワンシーンだったと言えるだろう。

STAFF COMMENT

FM802DJ飯室大吾の音頭の下、ライブの後は恒例のグリコの豪華お菓子の詰め合わせ、グリコボックスの抽選会と記念撮影も。そして、次回11月11日(火)は、年に一度の“ポッキー&プリッツの日”ということで、会場もひと回り大きな心斎橋BIGCATで『GLICO LIVE"NEXT"SPECIAL』を開催!! ラインナップは、Czecho No Republic、東京カランコロン、髭という強力な3組で、この1年のラストとなる宴を盛り上げてくれますよ〜!