LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2015/09/17(木)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:Awesome City Club/シナリオアート/ハルカトミユキ/LAMP IN TERREN
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史(ぴあ関西版WEB)
  • 撮影:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

Awesome City Club、シナリオアート、LAMP IN TERREN。このラインナップが発表された時点で、胸躍らせたオーディエンスがどれだけいたことだろう。なのに、だ。今回の『GLICO LIVE“NEXT”』はそれだけでは終わらない。異例にしてトドメの追加発表でさらにハルカトミユキが加わり、まさに磐石のメンツが揃ったこの日。すっかり秋模様となった今年3回目の『GLICO LIVE“NEXT”』も、おなじみFM802DJ飯室大吾による鉄板の開会宣伝により今宵もスタートです!

ハルカトミユキ

「今日ここに立てるチャンスをもらえたこと、今日ここで皆さんに会えたこと、とても感謝しています」(vo&g・ハルカ)

そう始まったのは、ただでさえグッドチョイスなメンツにダメ押しの追加発表で加わった強力過ぎるアクト、ハルカトミユキだ。突き刺すような光を背に、切ないメロディと歌声がじわじわとフロアを浸食していくその光景は、オープニングを飾るに十分にして破壊力抜群。サポート陣の佐藤亮(g)のソリッドなギター、tatsu(b・レピッシュ)、中畑大樹(ds・syrup16g)の繰り出す極太のビートが、ハルカトミユキの楽曲群をぐんぐんロールさせていく。

『Vanilla』『ニュートンの林檎』『世界』『肯定する』と全力で駆け抜けた4曲25分は、10月3日(土)東京・日比谷野外大音楽堂で行われる、彼女たちのキャリア史上最大の挑戦と言える完全フリーライブ『‘ひとりぼっち’×3000人の大集会』での絶景を、予感させるに申し分のない鬼気迫るパフォーマンス。出番を控えるラインナップへのハードルを、MCでも話題性でもなく音楽でとことん吊り上げ、彼女たちが今日に加わったことが正解だったと知らしめるかのように、自らをしっかりとJANUSに鳴り響かせたライブだった。

Awesome City Club

その名前がコールされるや、会場から湧き立つ大歓声。フレーミング・リップスの『レース・フォー・ザ・プライズ』を切り裂くキックと共にライブがスタートしたのは、二番手Awesome City Club! 祝祭のビートに心地よく揺れる『GOLD』から、テン年代のシティポップ・ムーブメントをリードする旗手の、面目躍如のグッドヴァイブがJANUSを包み込んでいく。続く『4月のマーチ』では、バンドのアイコンであるPORIN(vo&syn)にボーカルをスイッチ。スウィートな歌声とカラフルな照明、楽曲に呼応してフロアから上がる手が、ひとときの非日常を演出する何ともハッピーな光景。

MCでは「GLICO LIVE、めちゃくちゃ楽しみにしてました!」という喜びと共に、前日リリースされたばかりの2ndアルバム『Awesome City Tracks 2』にatagi(vo&g)が触れると、オーディエンスからは早くも「買ったよー!」の声も。後半戦は、「僕らの持ち曲の中にある唯一のラブソングを」と、オーサムの旨味を凝縮したようなキラーな『Lessen』、甘酸っぱい躍動感にフックアップされる『アウトサイダー』と、このバンドが今なぜ支持されるかを徹底的に楽曲で指し示すポップソングの嵐!

ラストはオリエンタルでメランコリーな『涙の上海ナイト』でエンディングと、もう完璧。戦略的なビジョンでバンドを運営するポップ確信犯でありミュージックラバー5人組は、そのまばゆい未来を示唆するかのようなステージで魅せてくれた。

LAMP IN TERREN

蒼い照明を浴びそこに佇む3人から生み出される生命力溢れるビートに、しょっぱなから鳥肌が止まらない。『林檎の理』で幕を開けたこの日のLAMP IN TERRENのステージは、どこか神々しいぐらいの空気をまとって前進していく。膨大にして過酷なライブデイズを経験したこのバンドは、半月でも目を離したらここまで変わるのか!? 新人らしからぬ迫力と存在感で、『ボイド』『Sleep Heroism』をフロアに解き放つ。

そして『メイ』では、魂を鼓舞するリズムのコンビネーション、星降り注ぐかのようなロマンを描くギター、ライブハウスというキャパシティを持て余す圧倒的な歌声が、オーディエンスを完全ロックオン。いや〜今日のテレンはマジですごいぞ!

「僕、今ものすごく楽しいです、来てくれてどうもありがとう! GLICOと言えば僕には因縁がありまして、365日中360日は飲んでいるであろう、マイルドカフェオーレ(笑)」と、松本(vo&g)が即興でカフェオーレの歌を歌えば、そりゃ会場も湧きに湧く(笑)。10月末より初のワンマンツアーを控え、「大阪に対する気合がもう高ぶってるわけですよ。たこ焼きも食ったし(笑)。今日のライブは録音されてるらしいですよ? 大きな声を出さなくていいですか!?」と煽り、ラストは、『ワンダーランド』で熱狂のエンディング!バンドという生命体を形成するケミストリーをこれでもかと感じさせてくれたライブは、代表曲の『緑閃光』をやらずともなおテレンの大阪ベストとも言える内容で、『GLICO LIVE“NEXT”』の歴史に確かな爪跡を残した。

シナリオアート

そして、この日のトリを飾ったのは、何と昨年5月以来という短いインターバルで2度目の出演を果たすこととなったシナリオアート! その異例の大抜擢に応えるかのように、男女ツインボーカル3ピースという特性をフルドライブさせた『ナイトフライング』から、この1年半の成長を存分に感じさせるサウンドスケープと印象的なコーラスワークで攻め立てる。続く『アオイコドク』でも、フラッシュライトと目まぐるしくスイッチするボーカルの相乗効果で、あっという間にJANUSを掌握。「大阪会いたかったよ! 一生懸命伝えて帰るんで、心で感じ取ってください!」(vo&g・ハヤシ)と披露した代表曲『ホワイトレインコートマン』、「まだまだいけますか!?」(vo&ds・ハットリ)となだれ込んだ『スペイシー』と、ライブで研磨してきた楽曲を惜しみなく投入していく。

ここで、椅子に乗り立ち上がったハットリが「皆さん、(今日はおみやげに)カレーをもらえるということでよろしいね〜(笑)」とざっくばらんな演説調MCで場を和ませ(笑)、昨年は台風で出演出来なかった『MINAMI WHEEL』へのフライング出演決定報告も!これには地元大阪のオーディエンスも大いに湧いた。

「最近は1回1回のライブがスペシャルで、毎日が愛おしくて。人生は無限にあるわけじゃないから、“この1回”を楽しんで、大切に奏でてきました。最後に、音楽で居場所を作るっていう僕らの理想、僕らの愛を歌って帰りたいと思います」(ハヤシ)

ラストの『ワンダーボックス』まで全5曲。先のMCを体現するようなシナリオアートのステージで、『GLICO LIVE“NEXT”』は見事に大団円を迎えた。

STAFF COMMENT

イベント終了後はFM802DJ飯室大吾のナビゲートのもと、シナリオアートのハットリも参加し和気藹々のムードで、恒例のグリコの豪華お菓子の詰め合わせ=グリコボックスの抽選会&記念撮影!なお、この日のライブの模様は、9月24日(木)の『RADIO∞INFINITY』(24:00〜27:00)にてオンエアされるとのことで、そちらも要チェック。そして次回は、年に一度の11月11日(水)=“ポッキー&プリッツの日”に、心斎橋BIGCATにて『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL!』を開催! 気になるラインナップほか詳細はもちろん、『RADIO∞INFINITY』で!!