世界的に有名なミュージシャン、映画俳優も彼女が向けるカメラのレンズの前では誰にも見せたことのないような表情を見せる…。 アニー・リーボヴィッツの名前を知らない人でも、彼女の作品には知らず知らずのうちに目を奪われているはずだ。 彼女の創作活動の歴史、どんな人たちを撮り続けてきたかは、映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」の中で、克明に、そして感動的に綴られている。今回は、そんなアニー・リーボヴィッツのレンズの前で素顔をさらしたミュージシャンたちの作品を紹介していこう。
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アニー・リーボヴィッツを代表する作品といえば、オノ・ヨーコにジョン・レノンが全裸でしがみつく写真。 ジョンが亡くなるまさに直前に撮られた、というこの写真は、彼の事実上最後のアルバムとなったこの作品のジャケット写真にインスパイアされたものだという。 このジャケット写真を撮ったのは篠山紀信。
そして、ジョンの死後、82年にリリースされたこのベスト盤のジャケットのジョンの写真は、あの有名な写真と同じ日、1980年12月8日の朝にアニー・リーボヴィッツが撮影したもの。
アニー・リーボヴィッツは70年代、絶頂期ともいえるザ・ローリングストーンズのツアーの密着取材を行って彼らを撮り続けた。その危険な行為に臨むとき、周囲の誰もが反対したという。76年発売のこのアルバムのアートワークをプロデュースした人物も、アニー・リーボヴィッツのキャリアに深くかかわっている。
密着取材、という形でアニー・リーボヴィッツが最初にかかわったのが、このオールマン・ブラザーズ・バンド。 70年代前半のバンド隆盛時のツアーの様子、ライブだけでなく、オフステージやバスで移動するときのメンバーたちの素顔までもが、アニーのカメラに収められた。
このジャケット写真もアニー・リーボヴィッツの代表作といえる一枚。 今や、顔が写っていなくても、これがブルース・スプリングスティーンであることは一目瞭然。 被写体の持つイメージ、キャラクターをどのように切り取るか、という感覚の鋭さには感動すらおぼえる。
この映画『ザ・ローズ』がヒットした際に撮影されたのが、あの有名なたくさんのバラの中に全裸で埋もれるベット・ミドラーの写真。「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」ではベット・ミドラー自身が、撮影のとき、用意されたすべてのバラのとげが取り除かれていたことに感動したエピソードなども語っている。
アニー・リーボヴィッツはニューヨークに活動の拠点を移して、さらにその交流、人脈を深めていく。その中のひとりがこのパティ・スミス。 このアルバムのジャケット写真を撮ったのは故ロバート・メイプルソープだが、彼もアニーの創作活動に刺激を与えたひとりといえるだろう。
故ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの名コンビが織りなすミュージカルコメディーは1980年に公開されて大ヒット。そのふたりを撮影する際、アニーは彼らの顔を青く塗ってアップでカメラに収めた。ちょっとした遊び、一瞬のひらめきが作品の力を増幅させることを彼女は教えてくれる。
80年代半ば、ファッション誌「ヴァニティ・フェア」と契約した後、アニー・リーボヴィッツは様々なセレブの写真を撮るようになる。 有名なデミ・ムーアの妊婦ヌードしかり。 そして、この映画のスチル撮影でキルスティン・ダンストのきらめく表情を捉えたのも彼女。撮影現場での姿勢、作品へのこだわりの凄さは映画でも見ることができる。