2016-07-24   ◇MORNING STORY◇

今週ご紹介した小説は、
増山実さんの「勇者たちへの伝言 いつの日か来た道」でした

ベテラン放送作家の工藤正秋は、
リサーチのために乗車していた阪急神戸線の車内アナウンスに耳を奪われる。

「次は……いつの日か来た道」。

謎めいたアナウンスに導かれるように、彼は反射的に電車を降りた。
小学生の頃、今は亡くなった父とともに、
西宮球場で初めてプロ野球観戦した日のことを思い出しつつ、街を歩き始めた正秋。
いつしか、かつての西宮球場跡地に建つショッピング・モールに足を踏み入れる。

正秋の意識は、そこから「いつの日か来た道」へと飛んだ。
四十数年前へ——。

過去の悔いや無念さえも温かな光で包みこむ、感動の人間ドラマです。