FM802|MIDNIGHT GARAGE|

DIARYオンエアの様子

関西のレコードショップ、イベンターによる音楽シーン大予想座談(前編)

2021-01-19

FM802『MIDNIGHT GARAGE』の
毎年年始恒例企画「音楽シーン大予想座談会」。

関西のレコードショップやイベンターの皆さんと
昨年の音楽シーン振り返りと今年の音楽シーン
予想を座談会形式でお話ししています。

今年も、FLAKE RECORDS DAWAさん、
HOLIDAY RECORDS 植野さん、
タワレコ梅田NU茶屋町店 浦野さん、
キョードー大阪 神戸さんをお迎えしました。

1月18日、1月25日の2週にわたって
座談会の模様をオンエアしていきます。
まずは25日の放送で、2020年の振り返りから。

ネット界隈で支持を得るアーティストが多かった
2020年

DAWA:ライブは中止や延期が相次ぎ、
大きなアーティストたちは
発売延期になることもありましたが、
自由に動けるアーティストたちに関しては、
YouTubeで音源を発表したり、宅録したり、
カバーを公開したり発信の量はかなりあって、
キャッチし切れていない、という印象。 

浦野:タワレコは、4月の初めから
1か月半ほどお店を閉めていて、
そんなの初めてでしたね。
5月ごろリリース予定だったものが
7月にかわったり、発売中止になったり、
という対応もありましたし、
お店での展開がない分、その間は
オンライン販売にお店から商品出荷の
対応をしたり、という今までにない仕事を
しましたね。

植野:HOLIDAY! RECORDSは、
もともとライブハウスで普段活動するような
アーティストの自主盤を販売するのが主なので、
昨年はライブハウスでライブができない状況で、
ライブでのCD発売ができないから、
CDを作らないという状況になり
販売するCDが減った感じがしました。

神戸:ライブが止まってすさまじい1年でした。
振り返るとあっという間でしたね。
夏明けに久しぶりにイベントでライブを
見たときには、しびれましたね。
仕事で毎週のようにライブの現場に行って
これまで当たり前になってしまっていましたが、
久しぶりに見て「やっぱこれやな!」と
思いました。

昨年は、ライブができなかった分、
TikTokやSNSなどのネット界隈で
支持を得たアーティストが多かったと感じました。
瑛人、YOASOBI、Rin音、とか。
その前の年は、Official髭男dism、
King Gnuなどが盛り上がりましたが、
イメージががらっと大きく変わった2020年だと
感じました。

DAWA:今名前の挙がったアーティストたちは
ライブもあまりしていないですもんね。

浦野:ネットで上がったものが拡散されるときに、
有名な人がリツイートしたりという今までにも
あった形の拡散は、引き続き広がる要素では
ありますが、それに加えてSNSのフォロワー数の
多い音楽アカウントが取り上げることで
ぐっと広がる速さがはやいというのを感じました。
SNSの強さを余計に感じましたね。
インスタで分かりやすく「こんな夜に聞きたい曲」
とかまとめているアカウントとか、
インディーズアーティスト応援している
一般の方のアカウントとか。
とっかかりのない人たちにとって
的を得たセレクトになっているんでしょうね。
見せ方や発信がうまいSNSアカウント
(主にInstagram)からの広がりを感じましたね。

植野:YouTubeやTikTokにも
同様のことをしている人いますね。
昨年TikTokを始めてみましたが、
時間が溶けていきますね(笑)
TikTokからヒットが生まれる時代の始まりの
1年だったと感じましたね。

浦野:HOLIDAY! RECORDSの
アカウントがあるんですか?

植野:あります…!(笑)
踊っているわけじゃないですよ!(笑)

DAWA:これまで僕らは検索して
音楽を見つけていましたが、
それがちょっと変わった感じしますね。
たとえば居酒屋でも、インスタで写真を見て
見つける、という人たちが増えてきて、
写真のみの情報で「おいしそう!」と
お店を見つける、というのをききますが、
インスタで音楽をみつけるのも
それと同様で切り口が全然違いますね。
人脈も関係ないし、アルバムが何枚目、とか、
新人とか関係ないし。その分消費が早いのかな、
と飽きるのが早いのかもしれないな、とは
感じます。
物語を知って好きになるのとは違って、
思い入れを持てないのかもしれないな、と。

植野:ただ、即効性はすごいですよね。
TikTok内でのヒット曲をしょっちゅう聞く
ことになるので、気づいたら口ずさんでいる、
というような。

浦野:動画にオレンジスパイニクラブが
BGMとして流れている、とか、ですよね。

植野:イントロが短くて歌詞が直接的で、
サビが強い、みたいなのは特徴ですね。

土井:出会い方が変わったというのは、
単純に媒体が変わった、というだけでは
ないんですね。脳のどこに入り込むか、
みたいなところも違いますね。

DAWA:昨年は発信する人も増えたんじゃない
ですかね。素人さん、というか、
ミュージシャンではない人が。

植野:TikTok内の弾き語りをアップしている
アーティスト志望の人が話題になったり、
みたいなこともありますもんね。

DAWA:アーティスト発掘を仕事にしている
人たちもTik Tockチェックしているみたいですね。
才能がある人がたくさんいるみたいです。

浦野:ここで話題に挙げている頃には、
もうTikTokではない別の媒体になっていっている
可能性もありますよね(笑)

土井:TikTokは出会いの場になっているんですね~

DAWA:音楽に利益をもたらしているとは
思いますね。次元は違うかもしれませんが。

土井:2020年個人的に
よく聴いていた曲を教えてもらえますか?

DAWA:R4という大阪のバンドがいて、
彼らはまだ1・2曲発表したぐらいなんですが
バンドのスタジオ練習ができない期間に、
ソロで宅録で作ったという曲をもらって、
これが衝撃的でよく聴きましたね。
ボーカルHiroki Arimuraの
ソロ・プロジェクトnon albiniです
non albini 「Kyoto feat. Lil Soft Tennis」

DAWA:彼は高校時代に
FLAKEによく出入りしていて、
当時は面識なかったのですが、
その後イギリスに留学していて、
帰ってきてから紹介してもらったアーティストで、
本人から音源をもらって、
昨年カセットでリリースしました。
ビデオも個人で作ってましたね。
個人的にSpotifyで去年一番再生した曲が
これですね。

浦野:フィーチャリングのLil Soft Tennisは、
昨年の座談会でDAWAさんが
名前をあげてましたよね。

植野:浦野さんともかぶっていますが、
Subway Daydream「Twighlight」

植野:イントロがThe Cure の
「Friday I'm In Love」を思わせるような
フレーズで、全体的にギターポップ感がある
バンドで好きです。ほとんどこのバンドも
ライブができていないですね。
でも曲がアップされてそれが話題になって、
という感じですね。

DAWA:Subway Daydreamは
うちでも取り扱っています。

浦野:ライブはまだ2回ぐらいだと思いますね。
珍しいですね。おそらく音源を出した時には
まだライブを1回もやっていなくて。
音源が出てそれで一気に我々やお客さんたちも
知る、という広がり方今までなかったような
気がしますね。

DAWA:バンド名もいいですよね。(笑)
昨年この座談会で紹介したLaura day romanceと
似た位置にいる感じがしますね。

神戸:声がすごくいいですよね。
浦野さんと植野さんにSubway Daydreamを
教えてもらって一度聴いて
めちゃくちゃ気に入りましたね。

浦野:30代ぐらいの人が10代のころに聴いていた
音楽に近いところがあるんですかね。
懐かしさと、「今やってくれてありがとう」
みたいな感じがありますね。
ちゃんとキラキラ感もあるし。

DAWA:ちゃんとギターポップですもんね。

土井:私が去年出会えてよかったなと
思っているのは、碧海祐人さんですね。
不思議な魅力のある人ですね。
パソコンで音を作るのと、
ギターを弾くのが並列というか、
どちらかではなく、どちらも使って作る、
というのがショックでしたね。
言葉の選び方も難しくて、面白いですね。

神戸:メロディーも絶妙ですよね。

植野:HOLIDAY! RECORDSでも扱っていました。

土井:Vaundyが出てきたぐらいの
インパクトがありました。

神戸:大阪で一度昨年ライブをしましたが、
想像していた以上にいい声で仕上がってましたね。

ラップとJ-POPの境目がなくなり、
ラッパーとシンガーソングライターや
バンドとのコラボもたくさんあった2020年

土井:歌とラップの境目がないものって
増えていますかね?

神戸:多くなった印象ですね。
2019年もこの座談会で植野さんが
クボタカイとか紹介していたと思いますが、
HIP HOPとJ-POPの境目がなくなってきたな
というのと、昨年はコラボが多かったですね。
KID FRESINOとカネコアヤノとか、
BIMとNo Busesとか、
空音とクリープハイプとか、
今まで予想しなかった組み合わせがありましたね。

DAWA:HIP HOP界隈は
もともとコラボがめちゃくちゃ多いですが、
バンドとかシンガーソングライターとの
コラボが多かったかもしれないですね。
BIMとNo Busesめちゃくちゃよかったですね。
それこそ、実際に会わずにリモートで
トラックのやり取りして、という
この時期ならではの作り方が
あったのかもしれないですね。

土井:海外ではこれまでも多かった作り方
ですよね。日本でももっと自由に
できればいいのに、と思っていました。

DAWA:確かに海外はもともと距離が
離れていたり、1曲を作るのにトラックを作る人、
サビだけを作る人、サウンドメイクする人と
何人も関わって曲を作ることが確立されているから
珍しいことではないのかもしれないですね。
バンドで一発どりする美学とはまた別の。
このコロナ禍で、日本でもマネージメントの
縛りとかが少し緩くなってきた、
みたいな可能性もありますね。

植野:コラボすることで、サブスクでの表示で
名前が2つになるからサブスク上で存在感を
出しやすいというメリットもありそうです。

土井:確かに。サブスクで出会って、
コラボレーション相手の楽曲を聴くように
なることってありますよね。

DAWA:簡単に飛べますしね。
狙ってやるものではないですけど。


座談会前編はここまで。
2020年を振り返ってお話しいただきました。
次回1月25日の『MIDNIGHT GARAGE』では、
座談会の後編をオンエア。
2021年注目したいアーティストについて
お話していきます。

メモ必須の放送になること間違いなし。

ぜひお楽しみに!

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