LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2011年11月11日(金)@BIG CAT

  • 出演アーティスト:another sunnyday/ねごと/[Champagne]
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史(ぴあ関西)
  • 撮影:田浦 薫(TAULab.)

今年出演したアーティストが軒並みフラッシュバックするオープニング映像からアガる!
MCの802DJの飯室大吾と鬼頭由芽も「とうとうこの日がやってきました! 」と語るのも納得。
年に一度の"ポッキー&プリッツの日"である11月11日に加え、今年は2011年と、例年以上に1並びのスペシャルなこの日。関西から次代のシーンを担う注目のニューカマーを多く輩出してきた人気ライブイベント『GSGP PROJECT』の後継イベントとして、"関西から新たな才能を応援!"をコンセプトに今年5月にスタートを切った『GLICO LIVE"NEXT"』にとっても初の"スペシャル"ということで気合十分。これまた初のソールドアウトとめでたいづくしの一夜、いざレポートへ!

another sunnyday

トップバッターを務めるのは、まさかのanother sunnyday! ストレイテナーのナカヤマシンペイ(ds)、大山純(g)らが中心となり結成されたアナサニの面々は、ライブ前からポッキー風船を持ってステージにスタンバイ!
ナカヤマの生々しいドラムが口火を切るグラマラスなロックチューン『Ganache』から、今宵の宴はスタート。メンバー全員が黒い衣装を身に纏い、スタンドマイク1本、ボーカルだけで勝負する伊藤文暁(vo、ex.serial TV drama)の潔さと艶やかな歌声、自信に満ち溢れたオトナのバンドサウンドにはシビれる。そして、すぐさま疾走感溢れる『Feather』にスイッチ。焦ることなく、じっくりじわじわ会場の温度を上げていく。キレと重みのある演奏には安心感と余裕すら感じさせる。

「another sunnydayです!今日は最後まで楽しんで帰ってください」と伊藤が開口一番、美登一(b)が繰り出す重たいベースラインが楽曲をリードする、大人の色香漂うディープなミドルチューン『blanket』を聴かせたかと思いきや、フィードバック音から歪んだベースリフで幕を開ける『Life Star Shell』では、ドラマチックでスリリングな大山のギターが絡み合うロックチューンで魅せる。ダークなギターのフレーズに、憂いを帯びた歌声が映える。少しずつ激しさを増していく『Human Lightning』と言い、過剰さを払拭した抑制の効いたロックチューンが返って新鮮に響く。 「こんなパートが続いて、シリアスなバンドだと思われたらどうしょう?」(ナカヤマ)、「少しはシリアスなところもあるよ」(大山)、「皆さんポッキー食べました? 僕はもうたくさん食べました」(伊藤)、「なんで嘘つくんだよ(笑)」(ナカヤマ)、「あとでいっぱい食べます(笑)」(伊藤)なんて和気あいあいのMCからも、今のバンドのムードの良さを感じる。
最後のブロックでは切れ味鋭い『cast off skin』、そして彼らの代表曲とも言える『Sunnyday』の鉄板2連発でシメ!
自然体ながらわびさびの利いたロックチューンの品揃え、さすがです。

ねごと

バンド名がアナウンスされるや歓声が。続いてはこの日の紅一点となった、ねごとの4人が登場。ファニーなSEに乗って、ポッキー風船片手にステージ現れた4人はホントにキュート! この日は蒼山(vo&key)が奏でる『透き通る衝動』からスタート。続く、鍵盤、ギター、ベース一体となってシンプルなユニゾンのイントロで贈る『季節』といい、少女性を湛えた透明感&疾走感のある楽曲は、これぞねごと節という感じ。

MCのコーナーでは「BIGCATは初めてなので、すごくいっぱいの人が来てくれて嬉しいです」と蒼山が語れば、澤村(ds)はポッキー風船をスティック代わりに叩くマネ(笑)。「鳴らないね」って、当たり前だけどかわいいやないか(笑)。「次の曲で皆さんと宇宙にまで行きたいと思います!」と披露されたのは、キラーチューン『ループ』! 会場一糸乱れぬウェーブが発生するのも納得だ。続いてメランコリックな『メルシールー』といい、サウンドの肌触りは曲ごとに次々変われど、芯を貫くポップ性と中毒性はスゴい。バラード『ふわりのこと』でも、蒼山の歌声がシンと静まり返ったBIGCATに響きわたり、どこか懐かしい風景を喚起させるノスタルジックなメロディが胸に迫る…。これには会場もグッと引き込まれる…名曲!

クライマックスは「よかったらいっしょに歌ってください!」エレクトロな鍵盤からタイトなリズムから流れ出す『カロン』! au「LISMO!」のCM曲としても知られるもう1つのキラーチューンは、サビでのスペーシーな広がりと高揚感がホントに気持ちいい!! 会場の各所でオーディエンスの拳も上がる。そして最後は、「今日会えたことも何かの縁だと思います。また皆さんとどこかで会えることを楽しみに…皆さんが今日、いい夢をみれますように」と、バンドのダイナミズムを感じさせる『夕日』へ。オレンジの照明と優しいメロディが会場を包み込んでいく…。4人揃ってペコリとおじぎして、ステージを去ったねごと。やわらかな魅力と抜きん出たポップセンスをオーディエンスに刻み付け、『GLICO LIVE"NEXT"』この日最後にして今年最後のアクトにバトンタッチ!

[Champagne]

そして、この日の大トリにして'11年を締めくくる大役を担うのは、ひときわ大きい大歓声に迎えられた伊達男4人組、[Champagne]! 開口一番「大阪〜!」、『For Freedom』でオーディエンスに点火! いきなりのモッシュ発生! 細かいブレイクにもしっかり付いてくるお客さんの準備は万端、ソリッドなロックンロールをぶちかます者とそれを欲する者の需要と供給が完全に成立したライブ、いや〜おそろしや!! 続くクラップからの『Yeah Yeah Yeah』では、グラマラス&クールなリフに脳内をこねくり回すベースラインで瞬殺ノックアウト! 煽る言葉もポーズもいらない。楽曲一発で会場を沸点にまで持っていく彼らは、こいつらがイかなきゃおかしいでしょ!ってなライブで、観た者にブレイクの予感をヒシヒシと感じさせる。これぞUKロックなトリッキーなイントロから始まる『She's Very』でクールに畳み掛ける様といい、ロックンロールミュージックが元来持っている気持ちよさをライブできっちりと感じさせてくれる。 「ただいま大阪! マジで来れて最高です。俺は大阪は第二の故郷だと思ってます。いや故郷です(笑)。サラリーマン時代に2ヵ月住んでましたから、故郷です。ポッキーバカ食いしたからカロリー消費していいですか?」と川上(vo&g)が言葉を投げれば、破壊力抜群のロックチューン『Rocknrolla!!』キター! 中盤のブレイク部分のハイボルテージぶりたるや昇天必至。続くコミカルなユニゾンを狂暴なギターが切り裂く『cat2』は、そらサークルモッシュ起こるわ!ってなくらいにめまぐるしく展開していくハイスピードロックチューン。後半のハードロッキンなブレイクも面白い。まだまだその手を緩めない彼らは、ここで怒涛のドラミングからメランコリックなギターリフと共になだれ込むキラーチューン『city』に突入! 抑制の利いた前半の期待感が、サビの爆発力を高めているのが肌で分かる。ヤッヴァいな〜もう完全無敵状態。

ワンマンかと見間違うばかりの会場の盛り上がりに、「大阪楽しんでますか? 弾いててここホントに大阪かと思ったんですけど…(笑)、ヤッター!」と彼らが思わず喜ぶのも無理はない。「今日は来てくれてホントにありがとうございます。今日は次世代のバンドが集まってるってことだと思うんですけど、それはバンドだけじゃなくて皆さんもだと思います。みんなで世界を目指しましょう」。そして、ラストチューンは、今年結成10周年という彼らの今にフィットする新曲『spy』。切々と聴かせるスケールの大きいミドルチューンに、じっと聴き入る会場。感動のエンディングを飾るのにふさわしい最後の曲だった…。

…はずが、鳴り止まない拍手に応えて、なんと再び4人が登場! 通常アンコールのない『GLICO LIVE"NEXT"』では異例のことだ。「いっぱい愛を頂いて、うちらがそれを返す番です。今日はありがとうございました!」と、最後の最後にセットリストにはない『You're So Sweet&I Love You』をドロップし、BIGCATを完全掌握した[Champagne]。未来への大いなる可能性を存分に感じさせ、フィードバック音と共にステージを後にした彼ら。もういつブレイクしてもおかしくない沸点直前のバンドの強さを存分に見せ付け、この日最後の、そして今年最後のアクトの大役を、十分に果たしたパフォーマンスだった。

STAFF COMMENT

飯室大吾が『RADIO∞INFINITY』の番組オンエアに向かったため、エンディングは鬼頭由芽がひとり司会を担当。「エンディングを迎えられずスネてましたので、ライブの感想を送ってあげてください」なんてMCも挟みつつ(笑)、この日も恒例のグリコのお菓子・豪華詰め合わせ抽選会が開催された。そして、この初のスペシャルをもって、今年の『GLICO LIVE"NEXT"』は無事終了。ミュージックラバーの皆さん、また来年お会いしましょう〜!