昨年『GSGP PROJECT』からリニューアルし、2ndシーズンに突入したニューカマー・サポートイベント『GLICO LIVE“NEXT”』。2012年2回目のこの日は、WHITE ASH、忘れらんねえよ、The Flickersと、表現のベクトルに違いはあれど、昇り調子の3組が集まるだけあって、オーディエンスのワクワク感が開演前から会場に充満。FM802DJ飯室大吾の“ええ声”の開会宣言のもと、今宵の『GLICO LIVE“NEXT”』、いざスタートです!
サウンドチェックの音がすでに突き刺さる。「やってきました『GLICO LIVE“NEXT”』、皆さんいけますか〜?」と、しょっぱなからヘヴイなビートをドライヴさせたのは、今年は多くの夏フェスでもその名を轟かせたWHITE ASH! この日の着火剤的な役割を果たすには十分なオープニングチューン『Jails』から、会場の方々で拳が突き上がる。続く『Kiddie』と言い、身体が否が応にも反応するリフの応酬で、オーディエンスを仕留めにかかる4人。自然発生的なクラップといい、本日のお客さんは分かってらっしゃる!
「そんなもんじゃないでしょ? もっともっといけますか? 行くぞ〜大阪!」。続く『Paranoia』ではのび太(vo&g)がハンドマイクにスイッチ。ステージを左右に移動し、真紅の照明を浴びながら全方位型でオーディエンスをアジテイトする。そこでは「アルバム聴いたで。最高やった!」とお客さんから掛け声が上がるのも大阪らしい一幕(笑)。
「僕すごく甘いものが好きでね、今日はグリコのお菓子たくさん食べれるんじゃないかと楽しみにして来たんですけど、楽屋にいっぱいお菓子があったんで、どうにかたくさん持ち帰りたいなと(笑)。僕も最後のグリコボックス抽選会に参加したいです(笑)。でも、お菓子もそうなんですけど、皆さんに持って帰ってもらいたいものがありまして…1stフルアルバム『Quit or Quiet』、自分で言うのもアレですけどカッコいいと思いますよ(笑)」という絶妙な流れのMCを汲み、最新アルバムからの『Flashback』で後半戦は幕開け。緩急自在&リズミックなビートでグイグイと会場を引っ張っていく。そのまま剛(ds)のパワフルなドラミングを背に「僕らまだまだ踊り足りないんですけど、一緒に踊ってくれますか〜?」と披露された『And Gypsy』に、オーディエンスも心地よく身体を揺らす。そして鳴り響く不穏なギターの音色に観客も大興奮! 最後のトドメは鉄塔鉄扉のキラーチューン『Stranger』!! 重たいビートと変則リフもビシッと決めて、見事この日のトップバッターの役目を果たしたWHITE ASH。のび太がステージを降り、DJブースでアピールする場面もあるなど、終始会場をあたためてくれた、これ以上ないファーストアクトだった。
幕が開いた途端、柴田(vo&g)がヘタクソなトランペットのSEに合わせ、いきなり“NO SEX, NO CHILD”のスローガンをぶちまけるなどやりたい放題(笑)。バンドの世界観を濃厚に現したオープニング曲にしてバンド名と同名の『忘れらんねえよ』から、WHITE ASHとあまりにも異なるカラーに、戸惑いながらも優しく受け入れる(笑)オーディエンス。己の熱をたっぷりと込めて繰り出される音の塊を注入した『僕らチェンジザワールド』では、そのエネルギーに揺さぶられ上がるオーディエンスの拳に、「サンキューセックスありがとう!」と応える柴田(笑)。続く『あんたなんだ』といい、およそ歌詞では聴くことのないキワどいワードが次々と飛び交う(笑)。
「いつもはこんなにSEXとか言わないんですよ〜GLAYみたいなライブしてるんで(笑)。これからは大企業に媚を売っていこうと思ってるんで、今日は終わったら土下座します(笑)。そんな記念すべき日なんで、特別な話をしようと思います」と、初恋の相手“おがっち”に対する執拗な想いを告げる柴田。周りを見渡せばそのMCで完全にオーディエンスをロックオンしているのが分かる。トドメの、「みんなを虜にするflumpoolみたいな曲作ってきたんで聴いてください! 『慶応ボーイになりたい』」という曲の入りには爆笑させられたが(笑)、きっちりと時間をかけてストーリーを導いたただけに、歌詞がオーディエンスにグイグイ刺さっているのが手に取るよう。汗水垂らして絶叫し、MCで時には敵を作ろうとも、ただでは帰らないこの男たち。続く、飲み屋でボコボコにされた実体験を歌にした(笑)『ドフトエフスキー』でも、最初は様子見、もしくは怪訝な目で見ていたオーディエンスですら、今では肩を揺らし、嬉々としてステージに眼差しを向けている…あいつら完全に会場を掌握している!
「改めましてくそバンド忘れらんねえよです! 相手にとって不足はないですね。思い切り媚売るからね、全員の靴舐めるよ(笑)」なんてフザけつつも、『この街には君がいない』のドライブ感のあるビートに乗せ絶唱する柴田に、オーディエンスの拳も上がる上がる! そして、軽快でパーカッシヴなAメロからサビになだれ込みブリッジではレゲエになる(笑)『北極星』、そして最後は彼らのデビュー曲『CからはじまるABC』!! 「ありがとうございました、くそバンド忘れらんねえよでした! サンキューセックスありがとうバイバイ!」。会場に強烈なインパクトと確かな傷跡を残した忘れらんねえよ。天晴れ!
そしてこの日のトリを飾るのは、ダンス番長The Flickers! SEからフェードインする強烈なドラムのキックに導かれ、まずは『black light』に突入。しかし、いざ歌い出すと硬質なビートに乗っかる少年性と狂暴性が共存する安島のボーカルが鮮烈な印象を与える。「ウォーリャー大阪!」と追い打ちをかけるように続く『break bits』といい、シンセのトリッキーなサウンドと共に破壊力抜群のリフでブッ壊しにかかる『non-fiction』といい、ダンスミュージックの中に強烈な破壊的衝動を装填したダンスチューンの数々が、オーディエンスを圧倒する。
かと思えばMCでは突然GLICOクイズも。“会社の創立以来作ってきたおまけの種類は2万個”“ビスコのパッケージの子供は3代目”などマメ知識も多数披露し会場を驚かせたが、どうやらビスコのパッケージに書かれていた模様(笑)。ってズルい! 音とギャップあり過ぎ!(笑)
「今日は最後なんで思いっきり踊って楽しんでいってください!」。後半戦は抑えたビートからジワジワと熱を上げていくメロウな『white heat』で、3ピースながら多彩な音の濁流で会場をロック。さらには、『orenage sunshine distortion』で魅せる低音と高音を行き来するボーカルにジャギーなギター、スウィートなメロディを、マッシブなサウンドごとフロアに投下! そして最後のトドメは、“終わらない今日の続きを歌うのさ♪”とリフレイン&絶唱されるフレーズがまさにエンディングにふさわしい『lovender』!! ラストに心地よい音の雨を降らせたThe Flickersの見事なステージで、この日は幕を閉じた。
そして恒例のグリコの豪華お菓子の詰め合わせ“グリコボックス”の抽選会では、オーディエンスも抽選権を握りしめてスタンバイ。和気あいあいの中幸運な当選者にグリコボックスがいきわたれば、最後は記念の撮影会へ。そこではFM802DJの大抜卓人やのび太のまで参加しパチリ。そして次回『GLICO LIVE“NEXT”』は9月16日(日)と初の週末! パスピエ、THE★米騒動、THEラブ人間の3組が心斎橋JANUSにて火花を散らす。お楽しみに〜!