LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2016/05/25(水)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:赤色のグリッター/雨のパレード/サイダーガール
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史(ぴあ関西版WEB)
  • 撮影:田浦ボン

今をときめくバンドの楽曲揃いのSEをフェードインする、“あの”おなじみのBGM。「来ましたね〜『GLICO LIVE“NEXT”』のシーズンが!」とのFM802DJ飯室大吾の開口一番、遂に幕を開けた『GLICO LIVE“NEXT”』の2016年。そんな今年のスタートラインを飾ったのは、サイダーガール、赤色のグリッター、雨のパレードと、「ラインナップ発表時の反響も大きかった」と飯室大吾も認める、ブレイクを見据えた厳選アクトがスタンバイ。今年もまた新たな歴史を刻み始めたグッドミュージック×グッドライブなニューカマー・サポート・イベント『GLICO LIVE“NEXT”』、いざ開幕です〜!

サイダーガール

ブルーの照明と大歓声を切り裂くフラッシュライトと轟音で、今年の『GLICO LIVE“NEXT”』の開演を告げたのは、サイダーガール!結成僅か2年で歴史あるこのイベントのステージに立った理由を楽曲で指し示すように、切なポップな『空にこぼれる』、ドラマティックなビートナンバー『群青』と立て続けにフロアに放射していく。

MCでは、ライブ前日に初めて道頓堀のグリコの看板の前に出向いたものの、ポーズをして写真を撮っていたのは自分以外は全員外国人(しかも撮った写真が暗過ぎて見えなかった)というフジムラ(b)エピソードでも会場を沸かせつつ(笑)、Yurin(vo&g)の独唱から突入した『魔法』では会場がグッと息を呑むシーンも。続く『ドラマチック』といい、どこか懐かしさも覚える物語性の高い楽曲と、最新のサウンドフォームを取り入れつつも一辺倒ではないオーソドックスなロックバンドの佇まいが、かえって今のシーンに新鮮に響く。

「大阪で初めて観たライブですっげーヤジが飛んでて、俺らが大阪でライブするときは心が折れて帰るんだろうな…ってはじめは思ってたけど(笑)、あれからずっとあたたかく見守ってもらってる気がします。今日はこの場に立てて、ホントによかった」(Yurin)

最後はフロアから拳が上がった鉄板アッパーチューン、『アイヴィー』でエンディング。つたなさも蒼さも若さも、全て魅力に変えてしまうような“未完成の輝き”とも言うべき大器が、『GLICO LIVE“NEXT”』を経由してシーンを突き進むこれからの景色を確信させるようなステージだった。

赤色のグリッター

転換中のカーテンの向こうから「大阪の皆さんよろしくお願いします〜!」と佐藤リョウスケ(vo&g)がいち早くご挨拶(笑)。SEの『Introduction』からそのまま間髪入れず『神様の涙』で始まるアルバム『存在証明』さながらのオープニングで、いきなりオーディエンスをフックアップしたのは二番手、赤色のグリッター!真紅の照明を背負いながら「大阪の皆さんついてこれますか?」と佐藤が問うた佇まい、そのまま突入した『continue』でのタフなパフォーマンスと、ライブアクトとしての地力を着実に積んでいるのは一目瞭然。ファニーさとポップさが絶妙な配合の新曲『わたしのほんね』も、赤グリの旨みがどんどん磨かれているのが分かる1曲だ。

MCではクラカズ(ds)が「こうやって力強いドラムを叩けているのは、ビスコを食べてきたからです!」と宣言しつつ(笑)、7月6日(水)リリースの新曲『ラン・ロン・ロン』を披露。フロアから自ずとクラップが巻き起こる様子には、メンバーから思わず笑みがこぼれる。そして、盆踊りのビートに乗せメンバーが思い思いに振り付け指導しつつなだれ込んだ『海より』のサビでは、身振り手振りをいち早くマスターした会場一体の光景が生まれ(お客さん器用!)、「皆さんのおかげで夏をいち早く感じられた気がする」と佐藤が語るのも納得のハッピーな絶景を作り出していく。

そしてラストは、名曲『風は突然に』。ロックバンドとしての成長も覚悟も鳴らしたとっておきのステージで、赤色のグリッターここにありの存在感を見せつけた躍進著しいライブだった。

雨のパレード

福永(vo)激プッシュのOceanのアバンギャルドなSEを背にステージに登場するや、大きな期待を込めた拍手が雨のパレードを出迎える。サウンドのボリュームに連動するかのように陽が昇るような照明を浴び、ステージに浮かび上がったメンバーの姿から、もうこの30分のドラマは最高のスタートを切っていた。そんな雨のパレードのクリエイティブとポップセンスを存分に宿したしょっぱなの『Tokyo』から、熱いライブが続いたフロアの空気は一変。続く『epoch』でも、抑制の利いたビートと洗練されたトラック上を舞うように浮遊する歌声に、オーディエンスが思い思いに揺れていく。

「僕らはここ1ヵ月ぐらいライブもあまりしてなくて、曲をいっぱい作って、レコーディングもしてたんですけど、その内嬉しい報告ができると思います。今日は2曲も新曲を持ってきたんで、よろしくどうぞ」(福永)

そんな宣言通り、よりフィジカルに、より早く、脳内にコネクトする言葉がドラマを浮かばせ静かなるエモーションを鳴らす新曲を2曲を披露し、早くもライブはラストの『new place』へ。硬質なビートとエレクトロなサウンドに溺れていく快楽がフロアを満たしたフィナーレは、まさに新次元のダンスミュージック。「大阪、大好きなんで、またすぐに会えると思います」(福永)との言葉が心底待ち遠しくなるような恐るべき才能を見せつけたニューカマーが、今年最初の『GLICO LIVE“NEXT”』をしっかりと締め括ってくれた。

STAFF COMMENT

「もっと踊っていたいわ!」とFM802DJ飯室大吾もたまらず言い放ったこの日のイベントの最後は、今年も恒例、グリコの豪華お菓子の詰め合わせ=グリコボックスの抽選会! そして、次回8月4日(木)の『GLICO LIVE“NEXT”』のラインナップもここで解禁。Shout it Out、Halo at 四畳半、My Hair is Badと、アナウンス早々歓声が上がった顔ぶれが、真夏の大阪を大いに盛り上げてくれそうですよ〜!