LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2016/08/04(木)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:Shout it Out/Halo at 四畳半/My Hair is Bad
  • 取材・文:文:奥“ボウイ”昌史(ぴあ関西版WEB)
  • 撮影:田浦ボン

開演を前にしても階下まで途切れぬ長蛇の列…。今年2回目の『GLICO LIVE“NEXT”』は、FM802DJ飯室大吾が「すでに暑く=熱くないですか!?」と言うのも納得の、満員御礼ソールドアウト!それを見事に成し得たラインナップは、Shout it Out、Halo at 四畳半、My Hair is Badと、まさに“NEXT”ブレイクな爆発力を秘めた強力アクトたちだ。JANUSを埋め尽くすオーディエンスのはち切れんばかりの熱気に後押しされつつ、キラ星のニューカマーがぶつかり合う『GLICO LIVE“NEXT”』、今宵もいよいよ開演です!!

Shout it Out

幕が開けば、そこにはオレンジの光に照らされた4人。「大阪堺、Shout it Out始めますよろしく!」(山内・vo&g)と開口一番、瞬時に火が点いたクラップと共に『光の唄』からライブはスタート。平均年齢19歳ながら途切れぬライブデイズで鍛えられたバンドサウンドが、衝動を見事に形にして猛進。フックと粘りのあるギターリフから間髪入れず突入した『逆光』でも、フロアから無数の拳と歓声が上がる。

「『GLICO LIVE“NEXT”』に呼んでいただき、そして来ていただきありがとうございます!楽屋にたくさんお菓子が用意されてたので、食べた分頑張ります(笑)。あと、みんなが階段に並んでたのを上から見てたんですけど…マイヘアTシャツ多過ぎでしょ!(笑)今日は男も女もそのTシャツを(熱さで)脱がして帰しますのでよろしく!」(山内)

中盤戦も、パーカッシヴなビートが躍動する『列車』、ギター×ベース×ドラムが壮絶に絡み合いながらスリリングに突き進む『若者たち』と、年齢ノットイコールなタフなバンドサウンドで、満場のオーディエンスを前に一切たじろぐことなく己を鳴らしていく。

「Halo at 四畳半にも、My Hair is Badにも負けたくないなと思ってステージに立ってます。でも、それを決めるのはあなただし、そもそも勝ち負けかどうかを決めるのもあなたで。ここに来た1人1人に想いがあって、1人1人にドラマがあると思ってます。刻んで帰ります」(山内)と披露した『17歳』、そして、「10代が終わろうが、一生青春は続く」(山内)という願いにも似た情熱を決死の5分間に詰め込んだメジャーデビューシングル『青春のすべて』…。この時代にしか生まれない奇跡を存分に響かせたまばゆきトップバッター、Shout it Outの行く末が楽しみでならない。

Halo at 四畳半

ステージに現れた飯室大吾も思わず「暑っ!!」と漏らすほど、転換中も強烈な熱気がフロアに充満。それを和らげるようなトクマルシューゴのSEを背に登場したのは、二番手のHalo at 四畳半!アンビエントで浮遊感漂うギターに大陸的なビートが寄り添い徐々にスケールを増していくオープニングナンバーは、『リバースデイ』。続く『アメイジア』といい、熱気を倍返しするようなアッパーさでなく、持ち前のグッドメロディでオーディエンスを貫く様は、全国各地のライブハウスでHalo at 四畳半を知らしめてきた理由がきっちりと示されているよう。

「このスリーマンをずっと楽しみにしてきました。同世代のバンドが集まると負けたくないなとか思うんですけど、僕らが音楽をやっている理由は、お客さんと、今日の2バンドと、いい夜を作ることだと思うんで。それを信じてこれからもやっていくんで、最後までよろしくお願いします!」(白井・b)

共鳴するかのように響き合うギターと疾走するビートが誘う『春が終わる前に』、深海のような静けさを力強い渡井(vo&g)の歌声が切り開く『水槽』と、シーンに翻弄されることなき揺るぎないスタンスを楽曲でとことん観せていくステージは、このバンドの未来を信頼せずにはいられない説得力で胸に迫る。

「僕らは今日も千葉県という7時間ぐらい離れた土地から車に揺られて来たんですけど…。それぞれの人生があって、この後交わることがあるなんて全く分からない、だから俺は伝えることを諦めない。死ぬ間際に思い出してくれたら最高だな。そんな一瞬を作りに来ました」(渡井)

“あの日からずっと夢を見ている”。最後にそう歌う『シャロン』で幕を閉じたHalo at 四畳半のステージ。楽曲で、MCで、そのまなざしで、バンドの志を刻んだドラマティックなライブは、この30分が人生において掛け替えのない時間であることを伝えてきた4人の、音楽人生の縮図のようだった。

My Hair is Bad

「やっとこの『GLICO LIVE“NEXT”』に出てもらうことができました。どこかの曲の、どこかの歌詞が、絶対に刺さる瞬間があるんで、それを楽しみに!」という飯室大吾のアテンドに、「命を燃やしに来ました、My Hair is Bad始めます!」(椎木・vo&g)と口火を切った今宵の大トリは、フロアから放たれる熱気という名の大いなる期待を全て受け止め、『夏が過ぎてく』をしょっぱなからブチかます! 続けざまの『アフターアワー』でもそのボルテージは増大する一方で、現場で鍛え上げられた3ピースのソリッドなサウンドが、言葉の弾丸と共にオーディエンスに浴びせられていく。3曲目にしてすでに汗びっしょりのメンバーと観客で作り上げた『元彼氏として』の頃には、このライブのピークはどこまでいくんだ!?という青天井ぶり!

そんな中でも、「ハッキリ言わしてもらうが全然ダメだ!全然足りねぇ!ロックバンドやりに来ましたMy Hair is Badですよろしく!時間が足りない、何もかも足りない、俺のバンドにはたなしん(グッドモーニングアメリカ)も鈴鹿さん(夜の本気ダンス)もいねぇ(笑)」etcと、オーディエンスの渦に乗り上げガンガン語りかける椎木。「Shout it OutがマイヘアのTシャツを脱がすって言ってたけど、いや、俺が全員脱がす!(笑)」、「いつも100点取ってるヤツには絶対取れない120点取りに来ました!」、「平日のライブハウスで輝けなかったら嘘だろ!?」、「毎回同じMC、同じライブ、それが楽しいか? 本物のロックバンドを観て帰ってくれよろしく!」…歌詞の殺傷力もさることながら、正真正銘二度と来ない今日この瞬間に次々と生まれてくる言魂が、いちいち観る者を突き動かしていく。

フリースタイルで想いを畳み掛けるようなイントロから、「お前の人生に残り時間はどれくらいある?」と突きつける『フロムナウオン』、「もう二度と書き切れないようなことを曲にしたんで聴いてください」と届けた『戦争を知らない大人たち』…凄まじい音楽のエネルギーにもみくちゃにされながら、ライブはいよいよクライマックスへ。

「いい日でした。平日のライブハウスに集まって歌える、何かが起こせるような気がする日を作ってくれて、ありがとうございます! あの日あの3バンドを観てよかったなって言えるようなバンドになるんで」(椎木)

ラストの『真赤』まで、全6曲とは思えない想いの情報量とまじりっけなしの純度、2010年代にロックバンドとして生きる存在意義…My Hair is Badここにありのライブは、『GLICO LIVE“NEXT”』のヒストリーに忘れられない一夜をもたらしてくれた。

STAFF COMMENT

終演後、オーディエンスもFM802DJ飯室大吾も思わず放心状態。濃厚な3組の圧倒的なライブが続いたイベントの最後は、恒例のグリコの豪華お菓子の詰め合わせ=グリコボックスの抽選会も。そして、次回9月26日(月)の『GLICO LIVE“NEXT”』は、Wienners、Shiggy Jr.、LILI LIMITと、もはや“NEXT”の域を超えたこれまたソールドアウト必至のメンツがラインナップ。チケットの確保はお早めに!