LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2018/07/24(火)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:マカロニえんぴつ/mol-74/ユアネス
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

FM802DJの樋口大喜も登場するや否や会場のオーディエンスをねぎらう灼熱の大阪で、今年2回目の開催となった関西発のニューカマー・サポートイベント『GLICO LIVE“NEXT”』。マカロニえんぴつ、mol-74、ユアネスと、歌心に定評アリの3バンドが、心斎橋JANUSをそれぞれのサウンドアプローチで沸かせた魅惑の一夜をレポートします〜!

ユアネス

アンビエントなSE『飛行』を背に、ゆっくりステージに現れたトップバッターはユアネス。雨音とナレーションから楽曲の世界へと一気に誘い込み、それに溶け込むように艶やかなギターが滑り出すオープニングの『雨の帰り道』から、暑さもやわらぐような叙情感でフロアを満たしていく。続く『虹の形』『あの子が横に座る』といい、1曲1曲が小説であるかのような物語性を、歌詞、メロディ、歌声、そして光=照明とともに次々と表現していく。

MCでは、お菓子が大好きな古閑(g)がバックヤードに並んだグリコのお菓子に歓喜したエピソードや、黒川(vo&g)のSNSは大阪のフォロワーがズバ抜けて多いことなどに触れ場を沸かせ、「大阪の皆さんに、僕の一番好きな歌を」と『凩』を披露。一聴して言葉が浸透する不思議な引力を備えた楽曲に、オーディエンスも自ずと耳を傾ける。そのままダークなギターリフから突入した『色の見えない少女』では、田中(b)が奏でる歪みとスラップでも楽曲を疾走させ見せ場を作り、『夜中』では黒川の歌声がJANUSの天井に星空すら浮かべるような神々しさで響き渡る。楽曲のドラマの輪郭を際立たせるプレイヤー4人が、1つずつ丁寧に色を塗っていくようなユアネスのライブには、バンドのポテンシャルと音楽家としての誠実さを感じる。

時折、福岡弁を交えながらこの夏の野外フェス出演を報告し、そんなステージに立てる感謝と決意を語った後は『Bathroom』『pop』とたたみかけ、真夏の『GLICO LIVE“NEXT”』に確かな存在感と清涼感を残したユアネスだった。

mol-74

SEの『The Stars In Spring』(Epic45)の美しいサウンドがJANUSを包む中、ブルーの照明に浮かび上がる4人。坂東(ds)の叩き出す心地いいビートに誘われた1曲目は『エイプリル』。静かに躍動する高橋(b)のベースライン、儚い音色で楽曲を立体化する井上(g)のギター、鍵盤を奏で歌声でオーディエンスとコネクトする武市(vo&g&key)。続く『light』でも予感を確信に変えるような、得も言われぬネクストブレイクのムードが漂う。

一転、『%』ではトライバルで力強いドラミングが心臓の鼓動とリンクするようなクラップを沸き立たせ、ポップで疾走感のあるメロディがフロアをロックオン。かと思えば、再び『▽▽(夜行)』では深淵なるサウンドスケープでmol-74の世界に引きずり込むなど、変幻自在のマジックミュージックに翻弄されるこの歓びは、他のバンドではなかなか味わえない体験かもしれない。

「『GLICO LIVE“NEXT”』、楽しんでますか?僕はお菓子が好き過ぎてパティシエの専門学校に行ったぐらいなんですけど、グリコで好きなお菓子はジャイアントコーンです(笑)」とは武市。楽曲にも通じる、クールな佇まいに潜むぬくもりや優しさみたいなもの。最後の『▽(Saisei)』まで、その才能と可能性を存分に感じさせたステージには、mol-74が話題となる理由がきっちりと刻まれていた。

※▽は右向き三角形が正式表記。

マカロニえんぴつ

ビートルズの『Hey Bulldog』が会場に鳴り響く最中から歓声が上がる期待感を、「グリコ〜!」という雄叫びでさらに煽った今日の大トリは、マカロニえんぴつ!しょっぱなから『鳴らせ』『girl my friend』とエネルギッシュなポップソングを立て続けに放射し、フロアから無数に伸びる拳が促さずともそれに応える絶景が生まれる。

MCでは、ケータリングが一面グリコという手厚い歓迎と、司会の樋口がマカロニえんぴつの楽曲をラジオで熱く解説してくれたことを話しつつ、「同じライブは2回とない。大阪、ついてこれる?この1回きりに懸けられる!?」(vo&g・はっとり、以下同)と『洗濯機と君とラヂヲ』でブチ上げ、「ありがとう、最高です!音楽は好きですか?」と『MUSIC』を届ける。ソングライティング力の高さと人懐っこさもないまぜに、オーディエンスをどんどん虜にしていく光景は痛快だ。

そして、「今日ここに入ってきたときに、そんなに飲みたくもないのにワンドリンク料金を払った人はいますか?」と投げかけ、思いのほか小さいリアクションに「そうか、今日は暑かったもんね。飲みたいよね(笑)」なんて一幕もありつつ披露した『ワンドリンク別』では、改めて大きいリアクションをもらい、そのまま『ハートロッカー』に突入!今宵最高速のBPMでフロアを引っ掻き回し、いよいよラストの曲へ。

「最近、“調子いいじゃん”とか言われることが増えたんですけど…ずっと変わらずにやってきたことに、あななたちが気付いてくれたことで、足を止めてくれたことで、少しずつですけど、音楽が楽しくなってきました。FM802では、まだ僕らが全然知られてない頃から飯室大吾さんがラジオで流してくれて、“マカロニえんぴつはポップスを作ってる”、って言ってくれたとき、本当に嬉しくて。樋口大喜さんも曲を流してくれてるし、こういう人たちに、みんなに、“間違ってなかった”って言ってもらうために、大事な歌を置いて帰ります」

最後は彼らの代表曲と言える『ミスター・ブルースカイ』を高らかに歌い上げ、『GLICO LIVE“NEXT”』に大いなる感動を引き寄せたマカロニえんぴつが、見事にエンディングを飾ったステージとなった。

STAFF COMMENT

イベントの最後は、恒例のグリコの豪華お菓子の詰め合わせ=グリコボックスの抽選会!
こちらも大いに盛り上がる中、しっかり8月17日(金)の『GLICO LIVE“NEXT”』の告知も。次回は、コレサワ、the peggies、The Floorと女子率高めのラインナップで、とりわけ華やかなライブになるかも!?乞うご期待です!