LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2019/11/11(月)@BIGCAT

  • 出演アーティスト:THE BACK HORN/teto/ハンブレッダーズ
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

11月11日=“ポッキー&プリッツの日”であり令和元年と、1が5つも並んだ2019年最後の『GLICO LIVE NEXT』。
今年もフィナーレのBIGCATに、THE BACK HORN、teto、ハンブレッダーズと豪華ラインナップが揃ったこの日は、初の試みとしてアコースティックステージを設置。
そこにはKANA-BOONの谷口鮪(vo&g)とtetoの小池貞利(vo&g)が出演するなど、その進化と挑戦は留まることがない。
FM802DJ樋口大喜のナビゲートのもと行われた、年に一度の盛大な宴=『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』をレポート!

teto

ニルヴァーナのSEからなだれ込み、「グリコのお菓子より甘い1日にしようぜ!」(小池、以下同)といきなりハイボルテージな轟音でオーディエンスを圧倒したのはteto。初出演にしていきなりの『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』に抜擢というバンドの勢いは、『高層ビルと人工衛星』のほとばしるエネルギーからも伝わってくる。魂を燃やし尽くすような『蜩』でもその熱量は増すばかりで、4人が一体となって疾走する爆裂サウンドをBIGCATにぶちまける! 続く『拝啓』でも、エッジィなギターとうねるベースライン、タイトなビートで徹底的に攻め立て、曲間では小池がフロアにダイブする独壇場。「月曜日からライブハウスに来ている全ての屑どもに歌います!」と愛ある咆哮でブチ上げる。

「前回、大阪でライブをしたときに、“再会”は約束じゃなくてもいいんじゃないかっていう話をして。音楽が好きだったら約束しなくてもまた会えると思うんで、願う必要も祈る必要も約束する必要もないって、そんな話をしたのは10日ぐらい前で(笑)、また大阪に帰ってきちゃいました!好き放題楽しんでいってください!!」

後半戦は『コーンポタージュ』『9月になること』と、熱を発散するのではなく内に秘めることでエンジンにするように、想いが乗りまくったミドルチューンを立て続けに放っていく。そして、「幼稚園生ぐらいのとき、家の戸棚を開けるといつもポッキーが入ってて。おばあちゃんが買って置いといてくれるのをばくばく食べて、結果すくすく太っちゃったんだけど(笑)、あのとき自分のためを思って買ってくれた1箱のポッキーは、今100本、1000本食べるより満たされた。やっぱり数じゃなくて想いでしたね」と、最後に届けたのは『光るまち』。アコースティックギターに持ち替え、あの日のノスタルジーから地続きの今を歌うまなざしは、このバンドの大いなる可能性と音楽へのひたむきさを表しているようだった。

【谷口鮪(KANA-BOON )/小池貞利(teto)】
「“皆さん調子はどうですか〜!”って煽っておきながらアコギ1本でやりますけど(笑)。アコギで盛り上がるような曲がそんなにないので、失恋の曲をやっていいですか?」とつま弾いた『生きていく』から、フロアが息を呑み引き込まれたのはKANA-BOONの谷口鮪だ。『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』初のアコースティックステージで、「RADIO∞INFINITY」番組出演アーティストのサインが入ったバックドロップを背に、切々と歌い上げる谷口。

「『GLICO LIVE NEXT』には何年か前に出たことがあるんですけど(’13年出演)、メンバーとよってたかって楽屋にたくさんあるお菓子を持って帰って、対バンから白い目で見られるっていう(笑)。今年はaikoさんの書いた曲にボーカルで参加させてもらったり(=『FM802×TSUTAYA ACCESS!』キャンペーンソング『メロンソーダ』)、FM802と一緒に過ごした1年だったし、あんまりカバーとかはやらないんですけど、大好きなaikoさんの曲をやろうと思います。aikoさんには内緒で!(笑)」

名曲『カブトムシ』のカバーでは、グッと聴き入るオーディエンスに言葉がしっかり沁み渡っていくのが分かる。ここで「貞ちゃん!」と同世代のtetoの小池を呼び込みじゃれ合う姿には普段からの仲の良さを感じさせ、実は元来スケジュールNGだった谷口が「802とポッキーとみんなのためなら飛んできます!」と調整の後、出演を果たしたことが明かされるひと幕も。そして今度は小池が弾き語りで『蜩』を奏で、先ほどのバンド形態とはまた異なるエモーショナルさで響かせる。その後も、最初は『カブトムシ』を一緒に歌おうと思ったものの、小池が歌詞もコードも覚えられずに頓挫した裏エピソードが暴露されたりと(笑)、本当に仲睦まじい2人。最後は小池が、「そもそも今年の3月にまぐちゃんとイベントで一緒になったとき、銀杏BOYZの『漂流教室』をカバーしてるのを聴いたのがきっかけで。せっかくだから2人の出会いの曲をやろうと」と促し豊かなハーモニーで魅せるなど、終始ここだけのシーンの連続となった、『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』ならではのセッションだった。

THE BACK HORN

オープニング映像に映し出された名前にどよめき、一気にステージ前へと駆け寄るオーディエンス。続いて登場したのは、まさかのTHE BACK HORN!1曲目の『シンフォニア』から、揺るぎなきバンドサウンドに呼応するかのように拳が上がり、クラップが巻き起こる。BIGCATが小さく感じるライブモンスターの強烈な存在感には、ただただシビれるばかりだ。かつてポッキーとコラボCMを作った楽曲『ビリーバーズ』でもアガるしかないワイルドなギターリフの雨をフロアに降らせ、音楽に打たれるこの心地よさたるや…!

「この日に呼んでいただいて、ここBIGCATで演奏できて、とても嬉しいです。ポッキーもプリッツも大好きで、バンド界いち詳しいんじゃないかと思ってます(笑)。この3バンドじゃないとありえなかった夜を、心臓を動かして最高の夜にしましょう!」(ds・松田)

深紅の照明に染まったヘヴィでシアトリカルな『心臓が止まるまでは』、蒼の光に包まれた壮大なミドルバラード『With You』と、ライブの熱量のみならず楽曲で、歌で、しっかりとオーディエンスを貫く佇まいには頼もしさしかない。「最高の時間を、最高の人生を歩んでいきましょう。この瞬間は今しかないよ、まだいけるだろBIGCAT!」(vo&g・山田)とフロアに火を点ける雄叫びとともに、オリエンタルでサイバーな『太陽の花』から突入した後半戦は、続けざまにライブアンセム『コバルトブルー』をブチ込む容赦ない展開で、天に手を伸ばし絶唱する山田を筆頭に、獣のようにステージ上でうごめくメンバーが、会場の気温を一気に吊り上げていく。最後のトドメの『刃』まで王者の風格を突き付け続けたさすがのライブで、『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』に絶景を作り上げたTHE BACK HORNだった。

ハンブレッダーズ

初出演でいきなり『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』、さらにはそのトリという大役を務めることとなったハッブレッダーズ。その期待値はメンバーを出迎えるオーディエンスの歓声からも伺え、「フロム大阪、終わらない青春を歌いに来ました、ハンブレッダーズです!」(vo&g・ムツムロ)と口火を切れば、『口笛を吹くように』から一気に会場を包み込むグッドミュージック。軽やかにビートが駆け出した『DAY DREAM BEAT』といい、得も言われぬ衝動をくすぐるメロディと歌詞が、心と身体を満たしていく。そんなエバーグリーンさと同時に、『エンドレスヘイト』のように今を生きるバンドマンだからこそ、ムツムロ アキラだからこその目線で綴られた物語が胸に迫る。

「今日のチケット代、ポッキー30個分以上は楽しんで帰ってもらえたらと思います、どうぞよろしくお願いします!BIGCATでは毎回ハプニングが起きてて、前はミナホでメジャーデビューを発表したら、次にやる曲で音が出ないっていう(笑)」(ムツムロ)とメンバーと笑い合う光景からも、今のバンドのムードが伝わってくる。「君が涙を流さなきゃいけないなんてクソくらえだと思ってます!」と始まった『CRYING BABY』は、サビのリフレインにヒットポテンシャルを感じさせるポップソングで、『ファイナルボーイフレンド』で見せたラブソングの手腕しかり、1曲1曲に才能の片鱗を感じさせる充実のパフォーマンスが続く。

「中2のときにMDでTHE BACK HORNをよく聴いてて。FM802で流れてた曲がめっちゃいいサビだなと思って、近所のレンタルショップに借り行って…まさかこんな日が来るとは」(ムツムロ)、「でも、まさか先輩の後にやることになるとはね(笑)」(b・でらし)、「そうだよ! 逆だよね(笑)」(ムツムロ)と語りつつ、そんな思い出ともシンクロする『RADIO GIRL』へと流れる構成も絶妙で、ラストの『銀河高速』でも徹底して歌い手の顔が見える楽曲の世界観を提示。来年のメジャーデビューが楽しみになるソングライティング力を存分に発揮し、ハンブレッダーズがその大器の予感をBIGCATに刻み付けた。

鳴りやまないアンコールに応え、『RADIO∞INFINITY』内でも行われた出演者によるクロストークの再現とも言うべき、THE BACK HORNの山田×菅波+ハンブレッダーズのムツムロが再びアコースティックステージに登場!「緊張して、ほぐれて、また緊張する(笑)」というムツムロのごもっとな意見に会場がドッと沸きつつ、最後はTHE BACK HORNの名曲『美しい名前』を3人で披露。見どころ満載のまさに“SPECIAL!”な一夜は、こうして見事にエンディングを迎えた。

STAFF COMMENT

恒例のお菓子の豪華詰め合わせ“セレクション・ザ・グリコ”の抽選会では、THE BACK HORN、teto、ハンブレッダーズ、谷口鮪がステージに勢揃い。各アーティストが引き当てた10名の幸運な当選者にプレゼントされ、出演者全員とオーディエンスで記念撮影も行われた。なお、この日のライブの模様は11月21日(木)、28日(木)の2週にわたり『RADIO∞INFINITY』でオンエアされるので、そちらも要チェック。それではまた来年、『GLICO LIVE NEXT』でお会いしましょう〜!