LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2020/08/19(水)@「Streaming+」

  • 出演アーティスト:Ivy to Fraudulent Game/climbgrow/w.o.d./Hakubi
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

前身イベント時代から、“新しい音楽との出会い”、“新たな才能を応援”というコンセプトのもと、大阪のライブハウスから発信し続け17年。
今年は新型コロナウイルスの影響を受け、無観客ライブ配信という形態で『GLICO LIVE NEXT』の2020年がついに開幕!
オーディエンスの声が言葉となってタイムラインを駆け巡るチャット機能はもとより、出演者とのオープニング&アフタートークや終演後のスクショタイムの実施など、FM802DJ樋口大喜のナビゲートのもと、通常のライブでは見ることのできない新たな試み満載でお届けする今年の『GLICO LIVE NEXT』。Ivy to Fraudulent Game、climbgrow、w.o.d.、Hakubiと、2020年もしょっぱなから注目のライブアクト4組が揃った熱い一夜をレポートします!

Hakubi

会場である心斎橋JANUSの屋上にて出演前に行われたオープニングトークでは、“ぐりこ千本つり”と称したくじ引き形式で夏にまつわるテーマに答えつつ、「久しぶりの対バンライブになるので、ドキドキワクワクしてます!」(vo&g・片桐、以下同)とその高揚感を語ったHakubi。切々と歌い上げていく歌声とシンクロする鼓動のようなビートが物語を加速させた『光芒』は、2020年の『GLICO LIVE NEXT』の幕開けを飾る静かに熱いナンバー。「その日にしか、その瞬間にしか起こらないこと、その目に焼き付けてください!」と、ライブの充実感に満たされながら疾走した『ハジマリ』、ポエトリーリーディングのように想いを重ねていく『サーチライト』と、これぞHakubiな世界観にズブズブ引きずり込まれていく。大人になっていくどうしようもない惑いを歌にした『大人になって気づいたこと』といい、オンラインでも軽々突き刺さる言葉の引力には魅了されるばかりだ。
後半戦も、「ここでしか生まれない心、時間を、ちゃんと確かめて、またライブハウスに戻ってきてほしい」「このまま忘れてしまいそうになるライブハウスのこの熱量、この気持ち…今、やっと思い出した。このドキドキワクワクって、ここでしか生まれないものだと思う。また戻ってきてよ」と、時折メッセージを織り交ぜながら『辿る』を絶唱する片桐。最後の『mirror』まで、ライブハウスというかけがえのないホームへの情熱をたぎらせたHakubiのステージだった。

climbgrow

オープニングトークでは夏の思い出をざっくばらんに語りながら、「フルパワーで暑さなんてぶっ飛ばします」(vo&g・杉野泰誠、以下同)と意気込んだclimbgrow。「最高の夜にしよう!」といきなりブチ上げた『極彩色の夜へ』から有言実行の熱量とザラついたバンドサウンドで圧倒し、「環境が変わろうと関係ない、全力で来い!ここからが勝負だろ?」と放った『ラスガノ』でも、配信だろうが一切容赦なしに画面の向こうのオーディエンスと真っ向対峙。切れ味抜群の『THIS IS』から『TIGHT ROPE』の流れでも、ワイルド&タフなロックンロールでたたみかけていく佇まいは最高にクールで、まさにステージこそ俺たちの生きる場所とでも言うかのような凄みのあるパフォーマンスの連続!
「『GLICO LIVE NEXT』、今日は呼んでもらってありがとうございます。どんだけ世界が終わっても、折れることなく生きてやりたいと思ってます」
言葉は少なくとも、その端々からにじみ出る覚悟には見てるこっちまで奮い立たされる。そんな想いを乗せて放たれた『MONT BLANC』の破壊力たるや…!「俺たちにしか鳴らせない音を、刺さって抜けないような棘を、ブッ刺して帰ります」との予告通り、胸を貫いた『風夜更け』の叫び、ハンドマイクでステージを横断した『RAIN』のほとばしる衝動。バチバチの真剣勝負でライブバンドの真髄を見せつけたclimbgrowだった。

w.o.d.

リラクシンなムードのトークタイムとは打って変わって、ド頭の『Mayday』からサイケでオルタナティヴなサウンドでオーディエンスを飲み込んだw.o.d.のライブ。続く『PYRAMIDS』、そして『lala』でも、フルドライヴするベースラインと壮絶なドラミング、エッジィなギターとしなやかな歌声の波状攻撃を浴びていると、「この爆音を生でくらいたい」「次はライブハウスでこれを聞きたい!」とチャットが賑わうのも大いに納得。ハードボイルドな魅力で迫る『サニー』『スコール』のミドルチューン2連発といい、スリーピースロックバンドの最高到達点とでも言うべきフレージングのセンスと、徹底的に音でロックオンしていくストイックなパフォーマンスには、ただただシビれるばかり。
「新曲やります」(vo&g・サイトウタクヤ、以下同)とさらりと披露した『楽園』でもw.o.d.のそのセオリーは変わらず、コロナ禍でライブの本数が減っているとは思えない鮮度と説得力が凄まじい。声を荒げずとも楽曲で伝わるボルテージは『Fullface』でも言わずもがな、「ラスト1曲です、バイバイ」とラフにライブを締めくくった『1994』まで、配信であることを忘れてオーディエンスを前のめりにさせた30分間の非日常は、w.o.d.のライブがもたらすエナジーを如実に物語っていた。

Ivy to Fraudulent Game

「画面の向こうまで届くよう精一杯演奏したい」(vo&g・寺口宣明、以下同)とトークタイムに語ったこの日のトリのIvy to Fraudulent Gameは、通常のライブ同様SEと共にゆっくりとステージへ。ブルーの照明を背に『水泡』から始まったライブは、その楽曲同様、絵面も神秘的で美しい。一転、躍動感溢れる『blue blue blue』では、画面越しでもまるで色褪せることのないシャープなサウンドで完全包囲。序盤からバンドの確固たる存在感をこれでもかと見せつける。
「『GLICO LIVE NEXT』、呼んでくれてありがとうございます!今日は新曲をやりたいと思ってるんですけど、この曲だったら今だからこそ、画面越しでもちゃんと伝わるんじゃないかと。現場に来れない状況でも、俺たちは音楽を再生することをやめないから、信じて待っててほしいです。再生って“再び生まれる”って書くじゃない? 俺は“再び生きていく”と今は捉えてます。音楽を再生しよう、どんなときでも。音楽で再生しよう。絶対にまた会おうね、この場所で」
事前にSNSでも予告されていた初披露の新曲『旅人』は、まさに今のMCが、答えの見えないコロナ禍で生まれた光が形になったような、生命力に満ちた楽曲。溢れ出す想いをたたみかけるようなリリックや、曲中に「大丈夫」と画面に語りかけた寺口のそのひと言は、きっとオーディエンスに力を与えたことだろう。続く『革命』も、コロナ禍以前に書かれた曲にも関わらず、今の時代にもフィットするような言葉の1つ1つに心をフックアップされる。
「こんなにもライブがない生活は初めてです。だからこそ今、どうしようもなく生きてることを実感してます。幸せに思ってます。ここに立って出てくる言葉は心から思ってることだと、俺たちのやってることは絶対に響くと信じてます。本当に見てくれてありがとう」
そんな言葉の後の『Memento Mori』が、刺さらないわけがないだろう。音楽は距離も時間も超えていけることを証明したIvy to Fraudulent Gameが、コロナ禍に立ち向かう2020年の『GLICO LIVE NEXT』に力強いバトンを渡してくれた。

STAFF COMMENT

ライブを終えてやり切った表情のIvy to Fraudulent Gameの寺口と樋口大喜が言葉を交わし合った後は、この日の出演者4組のスクショタイムも実施されるなど、配信ライブであることをフル活用した今回の『GLICO LIVE NEXT』。なお、次回9月11日(金)のラインナップはAttractions、Omoinotake、Sano ibuki、the McFaddinに決定!ここから一気に2020年を駆け抜ける『GLICO LIVE NEXT』に要注目です〜!!