LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2020/11/11(水)@「Streaming+」

  • 出演アーティスト:WOMCADOLE/THE KEBABS/TENDOUJI
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

今年はコロナ禍の影響を受け、無観客ライブ配信で実施されてきた、関西発のニューカマー・サポートイベント『GLICO LIVE NEXT』。毎年恒例となる11月11日=“ポッキー&プリッツの日”には、昨年出演を果たしたWOMCADOLEとTENDOUJIが早くも年に一度の大舞台へと帰還したのに加え、佐々木亮介(vo&g・a flood of circle)、新井弘毅(g・ex. serial TV drama)、田淵智也(b・UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(ds・ex. ART-SCHOOL)からなる大型新人(!?)THE KEBABSが参戦と、スペシャルバージョンに相応しいラインナップが勢揃い。FM802DJ樋口大喜のナビゲートのもと、さまざまな企画も織り交ぜた配信ならではの構成で送る、今年最後の熱い夜=『GLICO LIVENEXTSPECIAL』をレポート!

THE KEBABS

開演前には“グリコ運動会”と称しフラフープに挑戦した新井が驚異の記録を打ち立て(笑)、豪華お菓子の詰め合わせ“セレクション・ザ・グリコ”をゲット。「日本で一番いい加減だけど、一番楽しいバンドなんで張り切っていきます、よろしくどうぞ!」(佐々木、以下同)と意気込んだトップバッターは、まさかのTHE KEBABS! 鋭いカッティングで一気に最高速まで加速した、この日のために書かれた新曲『おかしのはなし』で幕を開け、「Are you ready!? We are THE KEBABS!!」と『THE KEBABSのテーマ』へとなだれ込む。実力、個性、経験、そして遊び心の全てを備えた新人と呼ぶにはズル過ぎるロックバンドが、エモーショナルに急き立てる『THE KEBABSは暇だった』、緩急自在にビートを操る『恐竜あらわる』、“踊れるやついるか”と何度もオーディエンスに訴えかける『猿でもできる』と、司会の樋口大喜が「トップバッターからクライマックス」と評したのも頷けるハイボルテージなパフォーマンスの連続! 突き上げる激情を解放するような『おねがいヘルプミー』では、会場となったBIGCATのだだっ広いフロアにメンバーが次々と降り立ち、獣のように徘徊しながら弾き倒す。

「もっとくれ! 足りねーぞ!!」という咆哮と共に突入した『オーロラソース』、激しくステージを転がり回った『THE KEBABSは忙しい』といい、もはや失神寸前のファイターをマウントポジションで容赦なくブチのめすような、徹底的で圧倒的なライブバンドぶりがもう強烈! その手を一切緩めることなく完遂した『ジャキジャキハート』、そして再びの『THE KEBABSのテーマ』まで、初出演にしてモノの違いを見せつけたTHE KEBABS。樋口大喜曰く、彼らはFM802出演時に「このバンドでは最高の瞬間を生み出すことだけを考えてる」と語ったそうだが、その瞬間が1秒たりとも途切れない圧巻のライブだった。

TENDOUJI

オープニングの“グリコ運動会”からユーモアとチームワークで大いに沸かせたTENDOUJIは静かにステージへと現れ、抑制の効いたリズムから瞬時に沸点へと駆け上がる『YEAH-SONG』でスタート。9月にリリースされた静かなる情熱を内に秘めるような新曲にグッと引き込まれたかと思えば、「TENDOUJIです、今日は『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』に呼んでいただいてありがとうございます! 配信で皆さん画面の前だと思いますけど、ポッキー100万本分楽しんでいってください。最後までどうぞよろしく!」(アサノケンジ・g&vo)と挨拶後は、ライブ鉄板『Killing Heads』の躍動感に心も身体も踊る。画面越しにも伝わってくるグッドヴァイブにまみれながら、『NINJA BOX』ではモリタナオヒコ(g&vo)からアサノにメインボーカルがスイッチ。異なる二声の魅力で充実の楽曲群を代わる代わる披露していく。

「久しぶりに大阪まで来てライブしてます。今日は車で遠征してきて…もう半年以上ぶりだよね? 改めてすげーことをやってたんだなと思いました(笑)。でも、ツアーで毎週どこかに行ってた頃も、お客さんがついてきてくれたりして…みんなあっぱれです。来年の『GLICO LIVE NEXT』は、またここに集まって見れたらいいなと思います」(アサノ)

10月にリリースされた新曲『SURFPUNK』では、ノスタルジー漂うメロディをモリタとアサノのツインボーカルで色とりどりに届けていく。続く『LIFE-SIZE』でも、これぞグッドメロディな楽曲を情感たっぷりのギターソロで彩るなど、TENDOUJIの珠玉のアーカイヴスを惜しみなく投下。後半戦は、『HAPPY MAN』、『THE DAY』とライブではおなじみのアンセムで畳み掛ける!

「お客さん入れてはまだなかなかライブができないんだけど、バンドもお客さんも最近は一番いい形を探してる気がして。最初はこれすらあり得なかった話だから、少しずつ進化してると思います。今度は皆さんに直接会えるように、それまでバンドを続けていきます。なので、皆さんも生き続けてください。どうもありがとうございました!」(モリタ)

最後の『GROUPEEEEE』まで、熱気溢れるステージングとメッセージで見る者の感情をとことん揺さぶったTENDOUJI。彼らの真骨頂はやはりライブだと再確認した夜だった。

WOMCADOLE

ライブ前の“グリコ運動会”では、黒野滉大(b)が抜群の身体能力を発揮しセレクション・ザ・グリコを獲得。そこでは僅か1秒で戦線離脱した樋口侑希(vo&g)が(笑)、「フラフープはヘタクソですが、あなたの心をぶん回しにいきます!」とぶち上げた、『GLICO LIVE NEXT SPECIAL』の大トリはWOMCADOLE! 「目の前にお前らがいることは確認できないけど、独り占めしてやってくれ、気持ちよくなってくれ。楽しもうぜ!」(樋口、以下同)と誘ったオープニングナンバーは『人間なんです』。すさまじい熱量を抱えながら疾走し、フロアに舞い降りたマツムラユウスケ(g)はギターをかきむしる! 「夢を見ようぜ、一番色の濃いやつを。足りないなら色を付けてやるよ!」と扇動した『YOU KNOW?』でも、テンション爆上がりのギターリフとノイジーなボーカルが溶け合う壮絶なサウンドを、画面の前のオーディエンスにぶっ放す。「どうだそっちの世界は!? 届いてるかー! 1人じゃねーぞ!!」と絶唱した『少年X』まで、WOMCADOLEここに在りという存在感をまざまざと見せつけていく。

「欲張ればいいんだよ何事も。画面の向こう側で独り占めすればいい。俺らは一緒の空間にいるようなもんだ。キツくなったら何にでも頼れ。痛いって言えばいいんだよ。言葉じゃなくてもいい、投げてこいお前の魂!」

後半戦は、燃えたぎる激情を炸裂させるような『ヒカリナキセカイ』、「決して前までのような生活じゃないにしろ、今できることに必死になればいいだけ。あとはお前に俺らが足し算してやる。いったい何が足りないんだ。生活から消えたものか? 違うだろ!? 変わっちまった熱量ちゃうんか!」と放った『アオキハルへ』は、コロナ禍で心にくすぶる想いを言葉にしてくれたような感動もろとも胸の奥に迫りくる…。何度も何度も画面の向こうに語りかける樋口に奮い立たされるように到達した『アルク』では、マツムラ、黒野、そして樋口の3人がステージを降り、フロアのド真ん中から360°アングルで歌い上げる!

「あなたの声がいつか直接、俺の耳に聞こえますように。その日をずっとずっと待ってる。その日まで俺は声を枯らし続けてやる。今日はありがとうございました、WOMCADOLEでした。また会おう!」

“あなたに会いたい”と熱唱した最後の新曲が、ライブ後のアフタートークで「マジで魂が丸ごと震え過ぎて、本当に今日は呼んでくださったグリコさんに感謝してもし切れないぐらいで…俺自身もすげー感動したし、嬉しかったです。お客さんがライブハウスにいようが目の前にいなかろうが、見てくれてるのは分かってるのでめちゃくちゃ心強かった」と語るのも納得の一夜を締めくくる。『GLICO LIVE NEXT』にとっても忘れられない1年となった2020年を象徴するかのような、WOMCADOLEの渾身のステージだった。

STAFF COMMENT

最後は、司会の樋口大喜のもと出演者3組のスクショタイムも実施され、11月26日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内にてこの日のライブの模様が1時間にわたってオンエアされることも発表! 来年の『GLICO LIVENEXT』にしっかりとバトンをつないだ、最高の“ポッキー&プリッツの日”となった。