LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2022/07/27(水)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:クジラ夜の街/the dadadadys/ねぐせ。
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

『GLICO LIVE“NEXT”』、3年ぶりの有観客でクジラ夜の街、the dadadadys、ねぐせ。が激突

関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”』が7月27日、大阪・心斎橋JANUSで開催された。前身イベント『GSGP PROJECT』時代より「新しい音楽との出会い」と「新たな才能を応援」をモットーに19年の歴史を持つ同イベントは、コロナ禍においても無観客ライブ配信という形態で、その音楽と志を途切れさせることなく前進し続けてきた。今年は3年ぶりとなる待望の有観客ライブ×配信のハイブリッドなスタイルで、クジラ夜の街、the dadadadys、ねぐせ。と注目のニューカマーが火花を散らすことに。FM802DJ樋口大喜のナビゲートのもと、ライブ直後の熱気冷めやらぬ生インタビューやグリコのお菓子のプレゼントなど、通常の公演とはひと味違うおもてなしの姿勢はそのままに、新たな歴史を刻む2022年のスタート地点となった一夜をレポートしよう。

the dadadadys

「うわ、すごい……!」とステージに現れたFM802DJ樋口大喜も、2022年の初回にして満員御礼ソールドアウトの景色に思わずグッとくる中、早速コールされたファーストアクトは、the dadadadys。1曲目の「超々超絶絶頂絶好最高潮」から強烈なフィードバックノイズと爆音を浴びせかけ、重さと切れ味のあるバンドサウンドで一気に攻め立てる。プロフィール上は2022年1月に始動と紛れもない新人だが、tetoとして6年間活動してきた小池貞利(Vo&Gt)と佐藤健一郎(Ba)、元2のyucco(Dr)、そして4月に新たに加入した山岡錬(Gt)により結成された、そんじょそこらのニューカマーにはないすごみのある演奏で、「ROSSOMAN」でもこれぞライブなド迫力と求心力で見る者を圧倒していく。

「さっき2バンドとも楽屋であいさつさせてもらって、若くてビックリしました。我々はアダルトです(笑)。でもね、バンド歴は俺らが一番短いから、大人の色気で子どもの遊びをたくさん作っていく。最後まで適当に遊んで帰ってください。踊り方は自由、踊るも踊らぬも自由!」(小池、以下同)

「しぇけなべいべー」では、衝動的でロマンチックなロックンロールをJANUSに炸裂させ、「今日が初めてのライブハウスだったり、初めてのJANUSだったりする人もいるみたいだけど、今日感じたことを全部家にキャッシュして持ち帰って、また集まって遊ぼう!」と始まった「青二才」でも、飾らないメッセージを突き刺し、若きオーディエンスのハートをたぎらせる。ユニゾンの轟音ギターリフと情熱的な言葉が胸を揺さぶる「恋」のさなか、「ロックで狂わせたい!」と絶叫する小池。ラストに「Pain Pain Pain」をやる頃には、フロアから心の叫びが聞こえてくるかのように各所で拳が上がり、「このライブを見て音楽を始めるヤツがいるんじゃないか!?」と思わせるほどの熱狂ぶり。歴代最強クラスのトップバッターとして『GLICO LIVE“NEXT”』に名を残した、the dadadadysだった。

ライブ後の生インタビューでは、完全燃焼した小池が「怪しい者ではございません」と怪しげに登場(笑)。「バンドってカッコいいし最高だし最低だから、みんなとそれを更新していきたいんです」と熱い思いを告げ、グリコにまつわるクイズではユーモアのセンスも抜群に場を沸かせた。

クジラ夜の街

「僕たちがファンタジーを作るバンド、クジラ夜の街です」と宮崎一晴(Vo&Gt)が開口一番、躍動感のあるリズムで幕を開けた「あばよ大泥棒」でライブはスタート。曲調に合わせて巻き起こるクラップと共に絵本のような物語をみずみずしいポップソングに昇華し、「ここにいるよ」でも前書きのように世界観を語り楽曲に突入。おとぎ話のような口上が導いた「ラフマジック」といい、ファンタジックでエモーショナルな楽曲群にいつの間にかとりこになってしまう中毒性が何とも心地いい。あまたいる若手バンドの中でも、ここでしか聴けない個性が確かに鳴っているサウンドスケープだ。

続いて、「僕たちは音で夜景を見せることができるバンドなので、それを今から皆さんに証明したいと思います」(宮崎、以下同)と、「ヨエツアルカイハ1番街の時計塔」では閃光の中で絶唱。楽曲の壮大なスケールと共振する、問答無用の感動が会場を完全包囲する。その音楽性や優しげな物腰とは裏腹に、ロックバンドとしての確かな筋力を備えたパフォーマンスはしっかりマッシブで、「夜間飛行少年」でも壮絶さすら感じるこれぞライブな光景をJANUSに創出。「これで終わらない、これ以上にいきませんか!?」と宮崎がいざなえば、高鳴る鼓動とシンクロするようなベースラインが「超新星」へと連れて行く。山本薫(Gt)、佐伯隼也(Ba)、秦愛翔(Dr)、そして高田真路(サポートKey)のメンバーそれぞれが、プレイヤーとしての実力と華を手にトップスピードで駆け抜けた、音楽のテーマパークのような最強の30分間だった。

出演後は、ドラムの秦がグリコに関するクイズに挑戦。樋口とのアフタートークからも、バンドの人柄が伝わる貴重な機会となった。

ねぐせ。

4人でステージ中央に集まり気合一発。トリのねぐせ。は、りょたち(Vo&Gt)が「踊ろうぜ~!」と呼び掛けた「グッドな音楽を」から、ポップでファニーな魅力を振りまき、「最愛」でも鼻にかかった甘い歌声を響かせJANUSをロックオン。当日、入場者に配布されたビスコに含まれる乳酸菌の数についてメンバー間で問答するMCもほほ笑ましい限りで、「人がいっぱいですね。せっかくトリを任せてもらったんで、最後まで駆け抜けていきます!」(りょたち、以下同)と、日々と地続きの切なきラブソング「愛煙家」、ライブで長い間演奏されてきた名バラード「日常革命」と、一曲一曲を大切に届けていく。

後半戦は、なおや(Gt)、しょうと(Ba)ら共々シンガロングするロックナンバー「ベイベイベイビー!」で盛り上げ、なおと(Dr)がそのままビートをつなぐ中、「改めて今日は来てくれて、ありがとうございます! その感謝の気持ちをいっぱい込めて、ラブソングを歌って帰ります」と、溢れんばかりの熱量を乗せたストレートな言葉選びがクセになる「スーパー愛したい」を披露。「最高に気持ちよかった、ありがとう! 俺たちが宇宙で一番温かいバンド、ねぐせ。でした。気を付けて帰ってね」と最後に感謝を述べ、2022年の『GLICO LIVE“NEXT”』の幕開けを余韻たっぷりに締めくくってくれた。

樋口とりょたちの軽妙なやりとりでも楽しませたクイズコーナーでは、観客からのヒントを大いに参考にして(!?)見事に回答(笑)。ライブでもトークでも人懐っこさを存分に発揮した、愛されキャラのねぐせ。だった。

STAFF COMMENT

なお、次回の『GLICO LIVE“NEXT”』は、9月13日(火)大阪・心斎橋JANUSにて開催。出演はCody・Lee(李)、ステレオガール、TOMOOの3組と、こちらも見逃せない一夜になりそうだ。