LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2022/09/13(火)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:Cody・Lee(李)/ステレオガール/TOMOO
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”』が9月13日、大阪・心斎橋JANUSで開催された。コロナ禍においても無観客ライブ配信という形態で、前身イベント『GSGP PROJECT』時代より続く19年の歩みを途切れさせることなく行われてきた同イベント。今年は有観客ライブ×配信のハイブリッドなスタイルで実施され、2022年2回目の開催となったこの日は、Cody・Lee(李)、ステレオガール、TOMOOが出演。満員御礼ソールドアウトの中、今宵もFM802DJ樋口大喜のナビゲートのもと、「新しい音楽との出会い」と「新たな才能を応援」をモットーに大いに沸いた一夜をレポート!

TOMOO

「言葉選びは繊細だけどライブは非常にパワフル!」と樋口も評したトップバッターは、シンガーソングライターのTOMOO。冒頭から名うてのバンドメンバーを従えて、6月に配信されたメジャーデビュー曲「オセロ」を歌い上げ、「こんばんは、TOMOOです。『GLICO LIVE“NEXT”』、楽しんでいってください!」とごあいさつ。楽曲からうかがえる確かなポップセンスにいきなり期待値が高まるオープニングで、「大阪でライブができて本当にうれしいです。配信でライブを見てくださっている方も、今日はよろしくお願いします!」と、「酔ひもせす」でもキュートかつ堂々たるパフォーマンスでフロアをロックオン。ネクストブレイクを予感させる十分なポテンシャルを見せつける。

ここで、「大阪は今、日本で一番ぐらい暑い気がする(笑)。JANUSでは初めてやらせていただきますが、すごい素敵ですね!今月は『RADIO∞INFINITY』内のコーナー「GLICO Live Life」で毎回弾き語りをさせてもらっているし、せっかくなので」と、自らピアノを演奏し「レモン」を披露。切ない歌声をしっとりと響かせる。

「大阪には5年前ぐらいから秋~冬によく来ていた思い出があって、年明けには初ワンマンもあったりして。今日は車の屋根の上で目玉焼きが焼けるぐらい暑かったと思うんですけど(笑)、気持ちだけはもう、秋~冬に向かって」と、続いて弾き語りで聴かせた「ネリネ」でも、はかなさの中に垣間見えるすごみのある歌唱でグッと引きつける。

クライマックスには、「ここからはもう1回、灼熱な感じに戻っていただいて、体温高めの曲にいきたいと思います!別にちなんでいるわけじゃないんですけどお菓子の歌を(笑)、ポップコーンの歌を聴いてください!」と、再びバンドサウンドの躍動感と共に「POP’N ROLL MUSIC」を届け、トドメはOfficial髭男dismの藤原聡(Vo.Pf)やVaundy、マカロニえんぴつのはっとり(Vo.Gt)らも称賛した「Ginger」! 出演後の生インタビューでは「大阪をさっさとホームにするぞ!」と意気込み(笑)、グリコにまつわるクイズでも、その人懐っこいキャラクターで場を和ませたTOMOOだった。

ステレオガール

幕が開くなり「今日はよろしくお願いします」と毛利安寿(Vo)が告げ、大塚理玖(Ba)、立崎ゆか(Dr)らのどっしりとしたリズムで「I Don’t(but someday)」を奏でるなど、まるで物おじすることのないライブバンド然としたたたずまいに、頼もしさすら漂ったのが二番手のステレオガールだ。宇佐美莉子(Gt)、吉田奏子(Gt)によるツインギターのワイルドなリフがいざなう「Breaking into the Space」など、今年2月にリリースされた2ndアルバム『Spirit&Opportunity』の楽曲を中心に、怒濤のオルタナサウンドで魅せていく。新曲の「Ruin Garden」の美しいメロディに心地よく揺れながら、こうやってまた新たな才能を提示する『GLICO LIVE“NEXT”』の目利きに感心させられる。

「大阪に来るようになって6年ぐらい経つんですけど、ご飯を食べるところがいつも一緒なので、どこかいいところを教えてください(笑)」(毛利、以下同)とはにかみ、鐘の音のように折り重なるギターが導いた「スクーター」でも、持ち味のグッドメロディでJANUSを完全包囲。いつまでも聴いていたくなる幸福にくるまれながら、新曲の「彗星ハロー」へ。広大なサウンドスケープに引きずり込まれ、どっぷりとステレオガールの深淵に落ちていくようなこの快楽。アガるだけでなく浸るライブの醍醐味をこれでもかと味わわせていく。

「樋口さんには私たちが大学1年生ぐらいの頃からお世話になっているんですけど、TOMOOさんとCody・Lee(李)とは東京でよくすれ違っていたので、そういう方たちと大阪で会うのは面白いなと思っていました」と照れながら、ラストは「おやすみグッドナイト」「Angel, Here We Come」と畳み掛ける!耳に残ったフィードバックノイズにまで、何者にもこびることのない誇り高さを感じさせた、最高にクールな全7曲だった。

出演後のグリコ検定では、観客からの拍手をヒントにご名答(笑)。京都で買った漬物のおいしさに、これまでの概念を打ち砕かれたというエピソードも飛び出した。

Cody・Lee(李)

サーチライトのような照明がステージを照らし、盛大なクラップに後押しされ現れたトリのCody・Lee(李)は、1曲目の「愛してますっ!!」から高橋響(Vo.Gt)、尾崎リノ(Vo.Ag)が代わる代わる見せ場をスイッチする新世代のシティポップを投下。力毅(Gt.Cho)のドライブするギターがアジテートする「W.A.N.」では、ニシマケイ(Ba.Cho)と原汰輝(Dr.Cho)が繰り出すスリリングな疾走感でもオーディエンスをフックアップ。わずか2曲でフロアから拳が突き上がる景色を軽々と生み出す。

「『GLICO LIVE“NEXT”』、呼んでいただきありがとうございます。皆さんに会えることを楽しみにやって参りました。まだ暑いので、夏の歌をやります」(高橋、以下同)とハンドマイクで扇動した「冷やしネギ蕎麦」は、タイトルからは想像がつかないほど洗練された(笑)1曲。清涼感のあるアーバンなサウンドで魅了したかと思えば、MCではドラムの原とステレオガールのベースの大塚が、かつてKING GANG RIDERSというバンドを組んでいた話に(久々の再会を喜び、一緒にタピオカドリンクを飲みに行ったとも(笑))。世代が近く話題のアーティストが揃った一夜に高橋が、「多少なりとも負けてられないなという思いが2%ぐらいはあるわけで(笑)。だからもっとカッコいいライブをして帰りたいと思います!」とぶち上げ、いよいよ後半戦に突入。

リズミックなブレイクを華麗に乗りこなす「悶々」、ビートとコーラスワークがドラマを増幅する「LOVE SONG」と立て続け、高鳴る鼓動のように性急な「初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!」でも大盛り上がり! さらに、「本当はこれで終わる予定だったけど、もう1曲やります!」と急きょ「When I was cityboy」をぶっ込み、JANUSの隅から隅まで手が上がる祝祭を演出。最後までバンドの今の勢いを凝縮したような濃厚な30分間だった。

樋口とのアフタートークでは、「皆さんのエネルギーを感じてついやってしまいました(笑)。後で各所に謝りに行きます」と予期せぬ一曲の内情を語り、グリコ検定にも挑戦。注目のメンツが集った『GLICO LIVE“NEXT”』を締めくくった。

STAFF COMMENT

なお、次回は11月11日(金)大阪・BIGCATにて、年に一度のスペシャル版『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』を開催。ラインナップは後日発表ということなのでお楽しみに!