LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2023/06/20(火)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:シンガーズハイ/鉄風東京/ヤングスキニー
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

コロナ禍は無観客ライブ配信で、昨年は3年ぶりとなる待望の有観客ライブ×配信のハイブリッドなスタイルで、その音と志を途切れることなく鳴らしてきた、関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”』が6月20日、大阪・心斎橋JANUSで開催された。前身イベント『GSGP PROJECT』時代より「新しい音楽との出会い」と「新たな才能を応援」をモットーに20年!全国的に見ても有数の歴史を持つ同イベントの2023年のスタートを切ったのは、シンガーズハイ、鉄風東京、ヤングスキニーの注目新人3組。今年度よりMCにFM802DJハタノユウスケを据え、新体制で挑む『GLICO LIVE“NEXT”』。いきなりの満員御礼ソールドアウトとなった、記念すべき2023年第一夜をレポート!

シンガーズハイ

パンパンのJANUSにFM802DJハタノユウスケが現れるや、オーディエンスは大歓声でお出迎え。前任のFM802DJ樋口大喜の後を引き継ぎ、今年の4月より『RADIO∞INFINITY』(木曜24:00~)の担当となった彼にとっては、この日が初の『GLICO LIVE“NEXT”』。「プリッツでお腹を、音楽で心を満たして帰ってほしいと思います!」と意気込み、まず呼び込んだトップバッターは、シンガーズハイだ。

4人が登場するなり沸き立つ熱気を、即座に自らのエナジーに変えてフロアにブチまけるかのように、1曲目の「daybreak」から絶叫する内山ショート(Gt.Vo)。荒々しいバンドサウンドを四身一体となって叩きつけ、「僕だけの為の歌」でも突き上がる拳に応えるように、ほりたいが(Gt)がギターをかきむしる。

MCでは、内山ショートが勝手知ったる仲の鉄風東京とヤングスキニーのメンバーをいじりながら、「別に誰のことも嫌いになりたくないし、だったらみんなに好きになってほしいし、何なら基本的にどんな人も好きだし。自分の好きじゃないものに攻撃的になりがちじゃない?そんなの気持ち良くないじゃん。もうちょっとさ、純粋に音楽を楽しもうと思って書いたんだけど、勘違いされがちな曲を(笑)」と、最新EP『DOG』からの映えるアンセム「Kid」へ。心臓を殴られるかのようなヘヴィなリズムと耳に残るギターリフの応酬で魅せたかと思えば、そのまま「エリザベス」に突入!熱狂の渦へと全力疾走する。

“尖ってる”というイメージに不服そうな内山ショートは(笑)、「俺は俺の王道をやってるだけだから。普通にさ、ラブソングとか作りたいやん。好きな人に好きって言いたいやん。それだけでいいと思うんだけどな」と、後半戦はバンドの代表曲と言えるラブソング「ノールス」を皮切りに、「グッドバイ」「我儘」と一気に駆け抜け、ネクストブレイクぞろいの『GLICO LIVE“NEXT”』に初っぱなから強烈な足跡を残した。

鉄風東京

SEと共に堂々とステージに現れ、チューニングするたたずまいからもうライブバンド。平均年齢20歳にして同じ長さの歴史を持つ『GLICO LIVE“NEXT”』に初出演を果たした、フロム仙台の急先鋒、鉄風東京。「ライブハウスへようこそ!」と大黒崚吾(Vo.Gt)が告げ、幕開けの「咆哮を定め」から重さと鋭さが共存するマッシブなサウンドで見る者を圧倒!一転、「外灯とアパート」ではメランコリーなビートと衝動を爆発させる轟音を行き来する。

「いいですね平日に。楽しいねライブハウス。『GLICO LIVE“NEXT”』、誘ってくれてありがとうございます!すげぇ量のお菓子が楽屋にあった、ヤバい(笑)。機会を与えてくれてマジで感謝です。俺らが今日、何で呼ばれたのかすごく考えて……例えば、好きな子が泣いていたとする。ヤングスキニーは“大丈夫?”って言ってくれる。シンガーズハイは泣かせた相手をやっつけに行く(笑)。俺らはその子より泣いて引かれるタイプ(笑)。三者三様の野郎がいる状況で、そういう情けないヤツを救いに来ました。今日は配信もないみたいなんで、俺たちだけの秘密にしましょう」(大黒崚吾)

そんなMCからも、鉄風東京が何者なのかが伝わってくる。バンド総出で雄たけびを上げた「BORN」、4時間後に配信を控えたハイボルテージな新曲「TEARS」、こぼれ落ちていく感情に叫ぶしかない「21km」……ハンズアップしなくとも、ただそこに立ち尽くそうとも、己の音楽を信じひたむきに突き進む、鉄風東京のメッセージが刺さりまくっているのが分かる多くの背中。ラストの「遥か鳥は大空を征く」まで、全身全霊で“鉄風東京ここに在り”とシーンに証明する圧巻の30分だった。

ヤングスキニー

セッティング中から抑え切れない興奮が場内に充満。4人がそろい、いざ歌い出すと同時に溢れ出した期待感はクラップと声となり、会場の熱量はド頭の「ヒモと愛」から最高潮!この日のトリを飾ったヤングスキニーは、ソリッドなギターと切なきメロディを軸足に「愛の乾燥機」へとつなぎ、「ヤングスキニーを初めて見ていただく方! おー案外いる」とは、かやゆー(Vo.Gt)。「ゴミ人間、俺」の演奏中に観客が倒れてしまうハプニングにも動じることなく場を気遣い、仕切り直してしっかりと歌い届ける姿はまだ平均年齢21歳の若さながら、確かな経験値を感じさせる。「いつの間にかきれいになってしまった昔話の歌を」(かやゆー)と始まった「美談」といい、一曲一曲が私小説のような濃度で、近年の躍進の理由が楽曲の端々からにじみ出る。

「『GLICO LIVE“NEXT”』、前回まではオンライン×有観客だったということですけど、こうやってみんなの前でライブができるのはめっちゃうれしいです!」としおん(Dr)が語れば、りょうと(Ba)は楽屋のプリッツを食べ過ぎていると指摘されるなど(笑)、MCでは和気あいあいのムード。その空気感を引き継いだ軽快なポップソング「本当はね、」、ゴンザレス(Gt)指導の元、跳ねに跳ねたメジャデビュー曲「らしく」と、あっという間のクライマックスもグッドミュージックを連発!

アンコールでは「ヤンスキなりの応援ソングを」(かやゆー)と「憂鬱とバイト」を披露しシンガロングが巻き起こるなど、2023年の『GLICO LIVE“NEXT”』の開幕を最後の最後まで盛り上げた、さすがのヤングスキニーだった。

STAFF COMMENT

ライブ後は出演者全員での記念撮影と、グリコのお菓子の豪華詰め合わせ“セレクション・ザ・グリコ”の抽選会も実施し大にぎわい。なお、次回の『GLICO LIVE“NEXT”』は、7月18日(火)大阪・心斎橋JANUSにて開催へ。出演はオレンジスパイニクラブ、Subway Daydream、帝国喫茶と、今をときめく3組だけに見逃せません!