LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2023/07/18(火)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:オレンジスパイニクラブ/Subway Daydream/帝国喫茶
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”』が7月18日、大阪・心斎橋JANUSで開催された。前身の『GSGP PROJECT』時代より「新しい音楽との出会い」と「新たな才能を応援」をモットーに20年もの歴史を持つ同イベントは、今年度よりFM802の現役大学生DJハタノユウスケをMCに据えたフレッシュな新体制でお届け。2023年2回目の開催となる今回は、オレンジスパイニクラブ、Subway Daydream、帝国喫茶の3組が、ネクストブレイクの予感をひしひしと感じさせるパフォーマンスを展開。真夏の一夜をアツ~く盛り上げた、『GLICO LIVE“NEXT”』をレポートします!

Subway Daydream

温かい拍手で迎えられた今宵のトップバッターは、Subway Daydream。TVアニメ『もういっぽん!』のオープニングテーマとして書き下ろされた1曲目の「Stand By Me」から、双子の兄弟、藤島裕斗(gt)と雅斗(Gt.Vo)による躍動感溢れるツインギターと、たまみ(Vo)のポップアイコンたる魅力をいきなり爆発させる。Kana(Dr)の力強いリズムが満場のクラップを途切れさせることなく促し、お次は「Timeless Melody」へ。タイトルを地でいくエバーグリーンなグッドミュージックが何とも心地良い。一転、ディープブルーの照明と静寂を優しく切り開く鐘の音のようにきらびやかな音色が、徐々に増していく高揚感を演出した「Teddy Bear」、耳をつんざくフィードバックノイズがいざなう重厚なサウンドウォールと甘い歌声が溶け合う「Canna」と、メンバー自身が何よりミュージックラバーであるのが伝わってくる楽曲群には思わず聴きほれてしまう。

「皆さんを大いに盛り上げて、後の帝国喫茶とオレンジスパイニクラブにバトンを渡します。僕らはいろんな楽曲があるので自由に楽しんで帰ってください。今日は最後までよろしくお願いします!」(雅斗)

後半戦の幕開けは「ケサランパサラン」。たまみが「みんな、いい顔してるよ!」と叫んだのもうなずける多幸感がJANUSを包み込む。続く「Dodgeball Love」でも、ズシリとしたビートの重さとメロディの軽快さの黄金配合がたまらない。クライマックスはノイジーな轟音をかき鳴らす爽快オルタナティブナンバー「Freeway」、「今日は本当にありがとう! みんなでいい一日にしましょうね」(たまみ)と、ラジオへの愛と憧れをつづったライブの定番曲「Radio Star」を。Subway Daydreamの名が、その音楽が、世に知られるのは時間の問題だと確信させる絶景を早々に生み出した。

帝国喫茶

サウンドチェックで演奏した「カレンダー」から、本番を待ち切れない拳が幾つも上がっていたのが、二番手の帝国喫茶だ。いざ、杉浦祐輝(Gt.Vo)がアカペラで歌い出した「君が月」では、その感情の抑揚を宿したようなエモーショナルな旋律で一気に魅了し、あっという間にオーディエンスをくぎ付けに。今年6月には若手バンドの登竜門『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023』に参加するなど注目度も高まる中、ノスタルジーな真骨頂「夜に叶えて」や焦燥感漂う青春狂騒曲「じゃなくて」と、バンドの持ち味を余すことなく堂々と発揮していく。

そして、「『GLICO LIVE“NEXT”』、楽しみにしていました。いい夜にしましょう。明日配信の新曲をやります」(杉浦)と、アクリ(Gt)の駆け巡るフレージングも印象的なサーフロックナンバー「夏の夢は」をいち早く披露。疋田耀(Ba)と杉崎拓斗(Dr)はボトムだけでなくコーラスワークでもアンサンブルを支え、続いてもスリリングに疾走する「季節すら追い抜いて」と、帝国喫茶の現在進行形とも言えるセットリストで次々と魅せていく。

ラストは、荒々しいバンドサウンドを響かせた重低音ロックンロール「ガソリンタンク」、情熱的にギターをかきむしった「春風往来」と立て続け、すさまじい熱量でフロアを圧倒。ハンドマイクで杉浦がステージを無軌道に動き回り、最終的にメンバーもろとも絶叫する光景は、見る者の心を動かさずにはいられない問答無用のすごみに満ちていた。

オレンジスパイニクラブ

満を持して登場したトリのオレンジスパイニクラブは、スズキユウスケ(Vo.Gt)の人懐っこいボーカルが導いた冒頭の「ルージュ」から、祝祭感たっぷりのいいムード。スズキナオト(Gt.Cho)が艶やかなギターソロもバッチリキメて、「ポッキーみたいに、ここにいるみんなと楽しい時間をシェアしたいと思います!」(ユウスケ、以下同)とのナイスMCで、会場の熱気はさらに急上昇。TVドラマ『真相は耳の中』主題歌「タイムトラベルメロン」をはじめ、ゆっきー(Ba.Cho)のドライブするベースラインとゆりと(Dr)のスタッカートな打撃音が絶妙なグルーヴを作り出す「レイジーモーニング」と、たった3曲で観客は彼らのとりこに。

MCでは、メンバーそれぞれが好きなグリコのお菓子を発表。ユウスケ=ポッキー、ナオト=チーザ、ゆっきー=カプリコ、ゆりと=カプリコのあたま、のおいしさを語り合いトークでも沸かせた後は、TVドラマ『#居酒屋新幹線』エンディング曲としても話題となった「7997」の浮遊感に身を委ねる幸福のまま、「タルパ」へと漂着。その後も、これぞオレスパな代表曲「キンモクセイ」~激情と衝動の「君のいる方へ」~ぶん投げパワーパンク「急ショック死寸前」~灼熱のライブ鉄板「敏感少女」と畳み掛けた、怒濤の流れがもう最高!

「本当にありがとうございました。めちゃくちゃいいバンドとこうやってスリーマンできて良かったし、何よりこんなにたくさんのお客さんの前で歌えて幸せでした。グリコにはね、パピコというとても素晴らしい商品がありまして。あれって2つで1つじゃないですか。一度切り取ったらもうくっつかない感じがするんですけど、僕らは離れないぞ、みたいなね。そんな曲を最後に味わって帰ってください」

興奮冷めやらぬアンコールでは、『GLICO LIVE“NEXT”』でやらずにどこでやるという名ラブソング「パピコ」で感動のフィナーレを創出。ダメ押しにセットリストにはなかった「スリーカウント」をぶち込み駆け抜けたオレンジスパイニクラブ、さすがでした!

STAFF COMMENT

ライブ後は出演者全員での記念撮影と、グリコのお菓子の豪華詰め合わせ“セレクション・ザ・グリコ”の抽選会も実施。なお、この日のライブの模様は、8月3日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内でオンエアされるとのこと。また、次回の『GLICO LIVE“NEXT”』は、9月19日(火)大阪・心斎橋JANUSにて開催。出演は、バイリンジボーイ、bokula. 、YUTORI-SEDAIと、次回も必見のメンツが勢ぞろいです!