LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2023/11/11(土)@心斎橋BIGCAT

  • 出演アーティスト:Dios/THE BAWDIES/梅田サイファー
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』が11月11日、大阪・心斎橋BIGCATで開催された。当日は年に一度の“ポッキー&プリッツの日”ということで、Dios、THE BAWDIES、梅田サイファーと、ジャンルを越えた3組が宴に花を添えるスペシャルバージョン!司会進行のFM802DJハタノユウスケが、来場者全員にグリコのお菓子に加えポッキー型の風船も配られることを伝えると、会場は大盛り上がり。前身イベントを含めて20年の歴史を誇る、『GLICO LIVE“NEXT”』の2023年を締めくくった盛大な一夜をレポートします!

Dios

登場のアナウンスがされるなり湧き立つ歓声。幕が開くのと同時に鳴り響いたギターとシンクロし、トップスピードで鼓動が加速していくような劇的なオープニングで魅了したのは、たなか(前職:ぼくのりりっくのぼうよみ・Vo)、川谷絵音らとインストバンドichikoroでも活躍するギタリストIchika Nito(Gt)、トラックメイカー/シンガーソングライターのササノマリイ(Key)により、2021年に結成されたDiosだ。「アンダーグラウンド」の壮絶なサウンドウォールでいきなり圧倒し、そのままグラマラスでゴージャスなビートに酔いしれる「ラブレス」と、冒頭から強烈なインパクトで場の空気を掌握。たなかの「楽しく踊っていってください!」との言葉を瞬時に具現化した「Virtual Castle」、ドラマチックに躍動する「&疾走」と、オーディエンスが跳ねに跳ねる熱狂をみるみるうちに作り上げてしまう。

「対バンイベントに出るのが久々で緊張しつつも、皆さんを楽しませる準備はできてます!」と宣言するたなかに、「大阪のイベントにこうやって呼んでもらえるのってうれしくない?」と、FM802のある大阪・南森町出身で、そのすぐ近くの某コーヒーショップで長らくバイトしていたというエピソードでも和ませるIchika。メンバーの人柄が分かるざっくばらんなやりとりでも、フロアはすっかりDiosのとりこに。

後半戦はダークで壮大なミドルバラード「逃避行」を皮切りに、ササノの美しい旋律とIchikaのエモーショナルなギターが絡み合う「渦」~「鬼よ」と、Diosの世界にじりじりと引きずり込まれていく背徳感がたまらない。その後も、たなかのフロウとIchikaの高速ギターがぶつかり合う「Struggle」、ササノもマイクを手にたなかと掛け合うスリリングな新曲「スタンダロン」と、バンドというトライアングルにさまざまな角度から光を当てるように、自らの魅力を最大限に発揮してみせたDiosの圧巻のステージだった。

THE BAWDIES

SEの「ダンス天国(Land of 1000 Dances)」が流れ、一発爆音を鳴らしてシャウトすれば、もう勝負は決まった。楽しいことが起きる予感しかないTHE BAWDIESのライブは、1曲目の「IT’S TOO LATE」から「お祭り野郎の登場でございます。お祭りですから皆さん一緒に楽しんで、参加していただければと思います!」とROY(Vo.Ba)がブチ上げ、理屈抜きで鳥肌が立つ最高のサウンド、極上のグルーヴ!お次はJIM(Gt.Cho)とTAXMAN(Gt.Vo)のドライヴするギターが代わる代わる炸裂する「YOU GOTTA DANCE」~「LET’S GO BACK」と、あっという間に予感を確信に変え、ハッピー極まりない空間を揺らしていく。

「今日はお誘いいただき本当に光栄です!」(ROY、以下同)とあいさつ後も、かつてポッキーのCM曲に自身の楽曲が選ばれ、渋谷のスクランブル交差点の巨大なビジョンで流れたのを目にしたとき、ROYに気付いた見知らぬ女性から突然「歌ってよ」と言われたものの断ったという話に場内は大ウケ(笑)。その流れで「先ほど話したギャルにリクエストされた曲です(笑)」と「KEEP YOU HAPPY」を披露するなど、演奏もMCもさすがとしか言いようがない素晴らしさ。「うすうす気付いてる人もいると思いますが、我々の曲は1番を聴いたら2番3番が歌えるようにできてます(笑)」と突入した「GIMME GIMME」でも、BIGCATを興奮の渦にぐいぐい巻き込んでいく。

そして、クライマックスは恒例の小芝居を挟んだ(笑)「HOT DOG」で踊らせ、MARCY(Dr.Cho)のダイナミックなドラミングが導く「T.Y.I.A.」ではコール&レスポンスもバッチリ!「このお祭りを心に焼き付けるために、打ち上げ花火を上げたいと思います!」と、最後はトドメのアンセム「JUST BE COOL」へ。徹頭徹尾、ライブバンドであり続けたTHE BAWDIES、もう完璧!

梅田サイファー

イベントにより流動的にラインアップが変わる梅田サイファーだが、この日は12MC+1DJのフル編成がそろった、『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』にふさわしい一日に。関西ヒップホップシーンの猛者どもが居並ぶさまは壮観で、初っぱなから主役が次々とスイッチしていくマイクリレーで魅せた「KING」、縦横無尽に板の上をうごめきながら矢継ぎ早にブッ刺しまくる「かまへん」、見渡す限りのハンズアップとともに届けた「PARTY」と、個性豊かなMC陣はまさに十二者十二様で、目まぐるしく見せ場が変わっていく怒濤の展開!

「めちゃめちゃ素敵な日にお呼びいただきまして、グリコさんありがとうございます!俺たちは元々、梅田の歩道橋で集まったラッパー集団で、そこからお互いしのぎを削り合うようになったんですが、誰かがヤバいバースをぶちかましたら、自分ももっとぶちかましたいなと思う。刺激し合って、お客さんを盛り上げて、今日の最高到達点まで一緒にいきたいんですけど、ついてきてくれますか!?全員がトップで、全員がイケてて、全員がぶちかます。この状況を一言で表すピッタリの言葉があるので!」(KZ)

ILL SWAG GAGAの全身全霊のタイトルコールで始まったその名も「アマタノオロチ」は、マッシブな重低音もろとも見る者の心も体も奮わせる。「BIGCAT、もっとブチ上がれると思います。その盛り上がりの進化形を見せてくれますか?」というR-指定のいざないから沸点まで駆け抜けた「トラボルタカスタム」、心地良過ぎな疾走感がたまらない「トメラレランナイ」では、タオルに拳にポッキー風船まで回る絶景が広がっていく。

「もう15~16年このメンツでラップしてるんですけど、今年3月に晴れてメジャーデビューさせてもらいました!そして、もう一つ大阪で38年ぶりに奇跡が起こったのを知ってますか?阪神タイガースが日本一になりました!関西旋風が巻き起こった2023年、この場所を一瞬だけ俺たちの地元である梅田に持って行ってもいいですか?グリコ片手にナイトフィーバーしてくれますか!?」(KZ)

ラストは、アリーナだろうがクラブだろうがライブハウスだろうが梅田の歩道橋にトリップさせる、鉄板の「梅田ナイトフィーバー’19」!アウトロでは「六甲おろし」をマッシュアップするなど徹底的に楽しませ続けた梅田サイファーが、今年の『GLICO LIVE“NEXT”』のフィナーレを見事に飾ってくれた。

STAFF COMMENT

ライブ後は、グリコのお菓子の豪華詰め合わせ“セレクション・ザ・グリコ”が当たる抽選会も実施され、最後まで大にぎわいのまま幕を閉じた『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』。なお、この日のライブの模様は11月30日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内にてオンエアされるので、そちらもぜひチェックを。来年も関西から“新しい音楽との出会い”と“新たな才能を応援”をモットーにまい進する、『GLICO LIVE“NEXT”』をお楽しみに!