LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2024/07/23(火)@Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:ポップしなないで/ポンツクピーヤ/レトロリロン
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”』が7月23日、大阪・心斎橋JANUSで開催された。「新しい音楽との出会い」と「新たな才能を応援」をテーマに掲げ、前身イベント『GSGP PROJECT』時代より21年。今や日本を代表するニューカマーサポートイベントの2024年度第2回目は、ポップしなないで、ポンツクピーヤ、レトロリロンと、さまざまベクトルで表現する個性的な3組が集結。FM802DJハタノユウスケのナビゲートで、文句なしの真夏日に身も心もアツくした一夜をレポートします!

ポンツクピーヤ

「優しそうなビジュアルからは想像できない鋭い言葉を投げ掛けるバンド」「主人公でもヒーローでもないかもしれないけど、だからこそ人の心を動かすことができる」と、ハタノからのレコメンを受け登場したトッパーは、京都発のハイパーキューティーウルトラポップバンドこと、ポンツクピーヤだ。SEがTHE BLUE HEARTSの「ラインを越えて」という時点で最高だが、それが鳴りやむと同時にいきなり性急なビートをぶちかました「喫茶店に蔓延る」からヒリヒリするような爆発力で、フレッシュな衝動のまま己をかき鳴らした「こんにちはスーパーマン」をはじめ、8月7日(水)に配信リリースを控える1stフルアルバム『俺の中の戦争なんて誰も興味ない』の収録曲を惜しみなく披露していく。

「今日は『GLICO LIVE“NEXT”』ということで、こんなにめちゃくちゃ人に集まってもらったんで、僕らのことを知らない人も結構いると思うんです。今日は僕らの喜怒哀楽、全部伝えて帰りたいと思います」(大石哲平・Vo.Gt、以下同)

まだ粗削りながら見る者の心を動かすには十分な求心力を備えた「こんばんは暗闇」、彼らの存在を知らしめるきっかけとなった初シングル「19歳」と、2022年4月の結成からわずか2年で21年の歴史を誇る『GLICO LIVE“NEXT”』に抜擢された理由を、自らの音で証明せんとばかりに駆け抜けるポンツクピーヤ。大石が敬愛するとあるミュージシャンに捧げたアルバムの先行配信曲「悪いようにはせえへんから」、堂々たるたたずまいで歌い上げた「死にたい夢」からも、若くしてすでにロックバンドとしての信念を持っているのがひしひしと伝わってくる。

「この曲は自分と自分の家族に向けて書いた曲なんです。そういう曲がいろんな人の心の支えになって本当にうれしく思いますし、僕らもこの曲を大事にしないといけないなと思った曲です」

ラストは心震えるエモーショナルなミドルバラード「愛してるって言って」。楽曲もMCも混じりっ気なしの純度で、オーディエンスの信頼を勝ち取ったポンツクピーヤだった。

ポップしなないで

「いろんな手札を駆使して代わる代わる世界観を出してくる。今日もあなたの心を何度も裏切ってくれると思います!」とハタノが太鼓判を押したのは、男女ツーピースバンド、ポップしなないで。ブルーの光に照らされたステージには、鍵盤とドラムセットが左右対に配置されたフォーメーション。かめがいあやこ(Key.Vo)による寸劇風味の導入部を経由し、いざ歌い出せばガラリと声質が変わるインパクト大の「UFOを呼ぶダンス」から、その個性と才能が一気に溢れ出す!体が思わず動き出すかわむら(Dr)のダンスビートに支えられ、お次の「白昼きみとドロン」でもめくるめくポップソングであっという間に魅了。メンバーはたった2人ながら物足りなさは皆無の華のあるパフォーマンスで、気付いたときにはもう、ポップしなないでのとりこだ。

「ポンツクピーヤとレトロリロン、こんな楽しみなスリーマンはないですよ。特にレトロリロンはライバル視してるんで。ドラムは負けても筋肉だけは絶対に負けない(笑)」(かわむら)

「(笑)。皆さん今日は自由に楽しんでいってください!」(かめがい)

そう、何より自由に楽しんでいるのは、ポップしなないでの方かもしれない(笑)。ファニーな曲調に潜むメランコリーにグッとくる「魔法使いのマキちゃん」では、ストーリーテラーの手腕を存分に感じさせ、「大阪、お前らを救いにきたぜ~!」(かめがい)とぶち上げた「救われ升」でも、高速BPMに乗せたリリックの速射砲で圧倒。ユーモアを交えたコール&レスポンスへのいざないも巧みで、中毒性の裏にある実力は確かどころか相当なもの。

クライマックスは、一人で全登場人物を演じ切ってしまうがごとく多彩なボーカルで魅せた「魔王様」~「暴露」と畳み掛け、「ポップしなないででした、また物販でお会いしましょう!」と近い未来でお約束(笑)。好きにならないわけがない、ポップしなないでの独壇場、完遂!

レトロリロン

「4人全員優しくて人柄もいいんですけど、感情がすごく曲に乗っているのが好き。そういうところもライブで体感してもらえれば」というハタノの呼び掛けに応え、一人また一人と現れ持ち場についていくメンバー。「レトロリロンです、どうぞよろしく!」。この涼音(Vo.Ag)の一言までの尺がSEとジャスト。冒頭のFM802の2024年6月度のヘビーローテーション曲「焦動」から、ニューカマーにしてプロフェッショナルな演奏力と構成力を見せつけたレトロリロン。「ヘッドライナー」は、「大阪の春の野外フェス(=『METROCK 2023』)でトリのMrs. GREEN APPLEを見て、自らの力不足や憧れから生まれた曲」とハタノの解説にもあった、関西に縁ある一曲。「いやいや、レトロリロンも時間の問題だわ」とうならせる楽曲のクオリティ、ネクストブレイクの得も言われぬ予感に胸が高ぶる!

「お菓子を食べる時間って贅沢というか癒やしじゃないですか?音楽も娯楽じゃないですか?絶対に必要ではないかもしれないけど、同時に必要だと思ってくれる人もいる。生活への寄り添い方は違っても、ちょっと似たところがあるのかなと。せっかくいただいた30分、レトロリロンのライブをして帰りたいと思います」(涼音)

そう告げるなりフロアを揺らしたチルでアーバンな「Document」に続いて……と思ったところで、ギターのカポをバックヤードに忘れてきたことに気付いた涼音。完璧なだけじゃないそんなところもほほ笑ましく、誰よりも今回の出演を喜んだというmiri(Key)は、「本当に毎日、幸せをいただいております(笑)。一番好きなのはプリッツのロースト 塩バター味」とうれしそうに語るなど、思いがけずメンバーのキャラクターを垣間見たトークを経て、『GLICO LIVE“NEXT”』もいよいよ終盤へ。

「みんなの中で音楽が必要だなとちょっとでも思ったら、自分の好きなタイミングで、僕らのライブに会いに来てくれたらいいなといつも思ってます」(涼音、以下同)と導いた代表曲「深夜6時」でフロアをグッと引き込み、躍動感たっぷりのリズムとソウルフルな歌声を響かせた「TOMODACHI」で本編はフィナーレへ。「せっかくアンコールをいただいたので!」と、最後はピアノが跳ねる「カウントダウン・ラグ」でハッピー極まりないラストシーンを演出。レトロリロンが見事にクローザーの役割を果たした。

STAFF COMMENT

恒例のグリコのお菓子の豪華詰め合わせ「セレクション・ザ・グリコ」の抽選会&記念撮影ももちろん実施され、イベントを通して終始グッドヴァイブな空気が流れたこの日の模様は、8月1日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内で一部オンエアが決定!そして、次回の『GLICO LIVE“NEXT”』は、osage、チョーキューメイ、muqueを迎え、9月24日(火)心斎橋JANUSで開催へ。現在、FM802 RADIO∞INFINITYの公式TikTok(@fm802_ri)にて、TikToK先着先行を8/2まで実施中!