関西発のライブイベント『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』が11月11日、大阪・BIGCATで開催された。11月11日=「ポッキー&プリッツの日」に行われる年に一度のスペシャルバージョンに、今年もCLAN QUEEN、シャイトープ、w.o.d.ら話題のバンドが集結。FM802DJハタノユウスケのナビゲートの元、前身の『GSGP PROJECT』を含め21年の歴史を誇るニューカマーサポートイベントの2024年を締めくくる、刺激満載の一夜をレポートします!
初のワンマンツアー『PARADE OF TOYS』中にも関わらず、それを見事に全公演ソールドアウトさせ『GLICO LIVE“NEXT”』に初出演。しかもいきなり年に一度の『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』に登場と、全てがニューカマーと呼ぶには異例のCLAN QUEENは、冒頭の「自白」~「プルートー」から強烈な重低音を轟かせるマッシブなサウンドで圧倒!yowa(Vo)とAOi(Gt,Vo)の異なるカラーを持つボーカルが溶け合う造形はどこかはかなくも美しく、「求世主」や「天使と悪魔」では、シアトリカルでドラマチックな旋律が二声と共にきらりと光る。
さらに「ファンデーション」では、AOiのラップパートも絶妙に機能したアーバンでアダルトなフレーバーで魅了。各曲のイントロへといざなうSEも楽曲に没入する加速度を増すのに抜群に効いており、「花一匁」でもその世界観にトップスピードで引きずり込まれていく。マイ(Ba,Cho)の歪んだベースがBIGCATをビリビリと震わせた壮絶極まりない「APPLE」で度肝を抜いた後は、「サーチライト」~「踊楽園」で軽やかに、そして華やかに駆け抜ける!
メンバー各々が作詞・作曲・編曲のみならず、デザイン、映像など全てを担う……というのはCLAN QUEENを紹介する際によく触れられるポイントだが、何よりライブアクトとして確かな地力があることはステージを見れば明白。一寸の隙も無駄もないパーフェクトな音像は、立つべくしてこの場所に立っているとうならせる説得力とエナジーに満ちていた。
静寂をかき分けるざらついたギターと、佐々木想(Vo,Gt)の「会いたかったぜ大阪!」という咆哮がシャイトープの幕開けの合図だ。1曲目の「Begin Again」からみずみずしい疾走感と朗々とした歌声を響かせ、「誘拐」ではフロアから上がった拳に「最高です大阪、ありがとう!」と顔をほころばせる佐々木。「curry & rice」ではギターを置きハンドマイクで「バカになって叫び返してください!」とコール&レスポンスを試みるものの、「カレー」と「ライス」という親しみやすいワードに対して促す佐々木の声が良過ぎる違和感も楽しい(笑)。その後も「ポッキー&プリッツ」、「グリコ&ライブ」と声を上げ、イベントへの敬意も忘れずきっちり盛り上げるライブ巧者ぶり。
一転、「小さい頃から大好きで食べているグリコさんと、大好きな大阪が掛け合わさってできているイベントに呼んでもらってうれしいです。僕たちにとって大切な曲を歌いたいと思います」(佐々木、以下同)と届けた「ランデヴー」は、王道にして感動のロックバラード。キャリアに転機をもたらしたアンセムながら、トレンドに左右されないエバーグリーンな魅力を放つのは新曲「再会」も同様で、飾らないグッドメロディがシャイトープの心臓だと次々に証明していく光景は頼もしくも痛快だ。
「独りぼっちのあなたに、孤独を抱えているあなたに、傷ついて夜も眠れないあなたに心を込めて」と念願のBIGCATで鳴らしたメジャーデビューシングル「ヒカリアウ」、続いて「みんなが明日に向かって気持ち良く踏み出していけますように」とささげた「マーガリン」でライブは終了。小細工なしの真っ向勝負で自らのポテンシャルを見せつけたシャイトープ、素晴らしき!
コロナ禍の2020年に無観客ライブ配信で出演、4年の月日を経て満を持して『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』に凱旋を果たした大トリはw.o.d.。鋭利なギターリフが突き刺さるド頭の「STARS」から、会場のどこにいようと逃れられない問答無用の高揚感が、轟音もろとも降り注ぐ!日本どころか世界までぶっ飛ばすスケールの最強スリーピースは、「楽園」~「あばく」でも見る者全てにロックミュージックの洗礼を受けさせるがごとく、完膚なきまでに音で叩きのめす。
「楽しんでいきましょ、よろしく」とサイトウタクヤ(Vo,Gt)がフランクに語り掛けたのもつかの間、「喜劇」を歌い出せば場内は再び瞬く間に沸点に到達。が、ここで「俺らは地元が尼崎なんで戻ってこれてうれしいなと思ってます……って、コードを弾きながらMCするのめちゃ嫌いやのにやってもうてたわ(笑)」とサイトウ。メンバーにも散々いじられながら、「地元の海を友達と見たときのことを思い出しながら作った曲です。曲はいいんで聴いてください(笑)」と「オレンジ」へ。有言実行のミドルチューンにオーディエンスも心地良さそうに肩を揺らす。
後半戦はまさに怒濤の展開で、ワイルドなビートで踊らせた「Take It Easy」を皮切りに、「1994」~「踊る阿呆に見る阿呆」~「My Generation」と、すさまじい爆発力で畳み掛けるw.o.d.の独壇場!最後に「ライブハウスはめちゃシンプルな感情で楽しめる場所やと思います。また遊びましょう」とサイトウが告げ、10月にリリースされたばかりの1stアルバム『あい』の収録曲からも多数聴かせたw.o.d.が、孤高の現在地と変わらぬ情熱を突きつけた。
ハタノユウスケも「めちゃくちゃカッコ良かった、本当に最高でした!」と太鼓判を押した3組の終演後は、恒例のグリコのお菓子の豪華詰め合わせ「セレクション・ザ・グリコ」の抽選会を実施。なお、この日の模様は11月28日(木)24:00~のFM802『RADIO∞INFINITY』でたっぷりオンエアされるのでぜひチェックを。
今年は6月にmoon drop/the paddles/パーカーズ、7月にポップしなないで/ポンツクピーヤ/レトロリロン、9月にosage/チョーキューメイ/muque、11月にCLAN QUEEN/シャイトープ/w.o.d.の計12組がラインナップ。どの日も初見でも間違いなく楽しめるハズレなしの名演となった『GLICO LIVE“NEXT”』、今後も期待大です!