LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2025/06/30(月)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:THE BAWDIES/Blue Mash/CAT ATE HOTDOGS
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

江崎グリコのサポートの元、“関西から新たな才能を応援”をコンセプトに、新しい音楽との出会いをお届けするライブイベント『GLICO LIVE "NEXT"』。前身の『GSGP PROJECT』時代より22年の歴史を誇りながら、今年は話題のニューカマーに歴戦のライブバンドをマッチメイクした刺激的なブッキング、6・8・9・11月に行われる計4回のライブを全通した来場者には素敵なプレゼントを贈呈するスタンプラリーなど、新たな試みも満載だ。6月30日に大阪・心斎橋JANUSで開催された2025年度の初回公演には、CAT ATE HOTDOGS、THE BAWDIES、Blue Mashの3組が登場。満員御礼ソールドアウト、FM802DJハタノユウスケの一声により口火を切った燃えたぎるようにアツい夜をレポートします!

THE BAWDIES

ウィルソン・ピケットの「ダンス天国」の軽快なSEが流れるなか、ROY(Vo.Ba)が「ロックンロール界のお祭り番長、THE BAWDIESです!」とシビれるシャウト一発!ド頭のリフからJANUSが揺れまくった「IT'S TOO LATE」では荒々しいガレージサウンドをフルドライブさせ、瞬く間に場の空気を掌握してしまう。おおよその予想を裏切り、トリではなくまさかのトッパーが無敵のロックバンドとなれば、ハートに火がつくまで秒しかかからない。「いつだってお祭り事ですから、我々は打ち上げ花火が見たい。打ち上げ花火になって飛んでくれますか!?」(ROY、以下同)と、お次もMARCY(Dr.Cho)の跳ねるドラムから流れ込んだ「JUST BE COOL」と、こりゃ早々に仕留める気の4人。満場のオーディエンスを日々のしがらみから解放し、しっちゃかめっちゃかジャンプさせていく!

「15年ぶりのJANUS、そしてグリコの皆さん、FM802、いつもありがとうございます!我々、今年の春に新しい事務所HOT DOG RECORDSを設立しました。申し遅れました、代表の渡邊です」と本名を名乗り名刺を見せるROY(笑)。ここで披露されたのは、独立後第一弾音源となる「SUNNY SIDE UP」だ。力強い疾走感とコーラスワークが印象的な新曲では、JIM(Gt.Cho)とTAXMAN(Gt.Vo)という自慢の両ウイングが、充実した表情でギターをかき鳴らす!

「初めての方もいるので業務連絡なんですけど、我々「HOT DOG」にしがみついて15年間やっておりますが(笑)、なかなか伝わっておりません」と、自らのアンセム前に一芝居する恒例のミュージカル「HOT DOG劇場」に突入。某名作野球マンガをモチーフとした茶番劇を経て、再び沸点超えのテンションで高速「HOT DOG」をぶちかます!「今改めて音楽が楽しい」、そんな気持ちが一音一音から伝わる最強のグルーヴマスターの壮絶なパフォーマンスには、後に控える後輩たちがだんだん心配になってくる。爆裂コール&レスポンスを瞬時に浸透させた「T.Y.I.A.」、大音量のクラップもろとも、身も心も弾け飛んだトドメの「POPCORN」……今年の『GLICO LIVE “NEXT”』のラインナップの意図を理解し、与えられたミッションを完璧にやり遂げたTHE BAWDIES、お見事!

CAT ATE HOTDOGS

ひこ(Gt.Vo)がメロウなギターを奏で「準備はよろしいかMusic Club JANUS!まだまだ遊べるだろ!?」と呼び掛ければ、バンドは一気に躍動。「魔法をかけて」という曲名通りの非日常へ、あっという間にフロアを引きずり込んだのはCAT ATE HOTDOGSだ。ハナッペ(Ba)×みや(Dr)のマッシブなリズムに乗せて、ひこは「ここMusic Club JANUSを今夜、世界一熱いライブハウスにしていきましょう!」と高らかに宣言。押し寄せる轟音に圧倒された「DOIT」では、THE BAWDIES先輩から渡されたバトンの重さも吹っ飛ぶ迫力とキレ味でぐいぐい迫りくる。現場で鍛え上げられたフィジカルと風格すら感じさせた「CANKERI」は、CAT ATE HOTDOGS流のクールなダンスナンバー。ロックミュージックで踊らせる高揚感がたまらない!

「『GLICO LIVE “NEXT”』はもちろんずっと知っていたし一つの目標やったけど、さっき見たTHE BAWDIESがハッピー過ぎて、めちゃ緊張していました。でも、みんなの顔を見て、今は最高の舞台やなと思えています、ありがとうございます!」と高ぶる気持ちを抑え切れない様子のひこは、この日に向けてバンドを追いかけ続けてくれた学生サポーター・802wannabesへの感謝も述べる。そんな思いを真っすぐに注ぎ込んだ「ハローミライ」は、理屈抜きで見る者を震わせるエモーションを放出していた。

クライマックスは、「音楽とかラジオって特別な体験を与えてくれるけど、俺らにとって今日は、作っていく上での葛藤が報われた日になりました。だから残りの時間は、みんなとまた次に会うチャンスをつかみ取りにいきます!」とひこが告げ、切なさを抱えながら駆け抜ける「さよなら2」、タフでワイルドな音像をドラマチックに聴かせた「ノラネコ日記」の2連発!THE BAWDIESの後は彼らでしか務まらなかったとさせえ思わせた、CAT ATE HOTDOGSの堂々たる全6曲。このバンドは間違いなくもっとデカくなる。

Blue Mash

サウンドチェックから本番かと見間違うような気合いでトリに挑んだのが、大阪・寝屋川発のフォーピース、Blue Mash。関西からシーンをけん引する彼らが『GLICO LIVE “NEXT”』に名を連ねるのは必然で、銀杏BOYZの「BABY BABY」のSEが流れた時点で大盛り上がり。幕開けの「2002」から耳をつんざく爆音と強烈なボルテージで、優斗(Vo.Gt)が「君の孤独のためだけに俺たちは今日、命を燃やすんだ!」と絶叫した後も、「M19」~「このまま僕らが大人になっても」と心臓をぶち抜く爆速パンクチューンで息つく暇もなく畳み掛け、Blue Mashによる青春狂騒曲「春のまま」でも、すさまじい爆発力で一心不乱に突き進む!

続いて、「今日は平日なのにソールドアウトでしょ。来てくれてどうもありがとうございます!ちょっと予定と違う曲をやってもいいですか。もう会えない大事な人の歌を」(優斗、以下同)と、歌詞のストーリーがじんわり胸に染み込むミドルバラード「マーガレット」を衝動のままに歌い出せば、先ほどまでの喧騒がうそのように静まり返る。マーガレットの花言葉は「真実の愛」。げんげん(Gt)のエモーショナルなギターが哀愁を呼ぶ一曲にグッとつかまれる。

「僕は中学生の頃どうしようもなく一人で、受験のときにFM802をめちゃ聴いていて。お母さんに買ってもらったエレキギターを持って、初めて寝屋川VINTAGEに立ったとき、Blue Mashというバンド名を付けた。それから7年経って今ここであなたに出会えたこと、本当に感謝します。明日から普通の顔をして生きていく中でしんどいことがあったら、俺らみたいなバンドを思い出してくれよ。俺らはずっとこの場所で君の帰りを待っている。THE BAWDIESが打ち上げ花火なら、俺らは線香花火。いつか終わりがくる。それにあらがう。だから美しい。だから俺はバンドをやっている。見つけてくれてありがとうございました!」

イントロから4人が全力で音をぶつけ合いながら前進する「海岸線」に、有無を言わせぬ感動が巻き起こる。ラストの「セブンティーン」では、「モッシュ・ダイブが禁止なら俺らがそっちに行ったるわ!」とステージの前っ面で熱唱する優斗。事前に手渡されたセットリスト通りに演奏した曲が一切なかったのも、「俺たちがいつか散りゆく線香花火みたいなバンドでした」という最後の言葉にも妙に納得。予定調和は一切なしのBlue Mash、完全燃焼!

STAFF COMMENT

ライブ後は、恒例のグリコのお菓子の豪華詰め合わせ「セレクション・ザ・グリコ」の抽選会&記念撮影も!なお、この日のライブの模様は、7月3日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内でオンエア(radiko「タイムフリー」機能で1週間後まで無料聴取可)。そして次回の『GLICO LIVE “NEXT”』は、SHE’S、トンボコープ、Fish and Lipsを迎えて、8月6日(水)心斎橋JANUSで開催へ。チケットのオフィシャル先行予約は、7月13日(日)23:59までhttps://eplus.jp/gln0806/で受付中。