LIVE REPORT[過去のライブレポート]

LIVE REPORT [過去のライブレポート]

2025/08/06(水)@心斎橋・Music Club JANUS

  • 出演アーティスト:SHE’S/トンボコープ/Fish and Lips
  • 取材・文:奥“ボウイ”昌史
  • 撮影:田浦ボン

前身の『GSGP PROJECT』時代より22年。江崎グリコのサポートの元、関西のライブハウスから新しい音楽との出会いをお届けするライブイベント『GLICO LIVE “NEXT”』。今年は話題のニューカマー×歴戦のライブバンドというマッチメイクで、8月6日に大阪・心斎橋JANUSで行われた2025年度の第2回公演には、SHE’S、トンボコープ、Fish and Lipsの3組が登場。前回に引き続き満員御礼ソールドアウト、FM802DJハタノユウスケのナビゲートにより、三者三様の個性が高め合った刺激的な一夜をレポートします!

Fish and Lips

「1曲目みんなでジャンプしたいんだけど、準備できてますか?」と西村大地(Gt.Vo)が人懐っこく語り掛け、優しき「シンデレララブストーリー」であっという間に心の距離を近づける。埼玉県鳩ヶ谷発の青春ロックバンド、フィシュリことFish and Lipsは、まだ現役大学生ながらきっちりライブを積み重ねてきたのが伝わる堂々たるパフォーマンスで、「大阪まだまだいけるでしょ!」(西村、以下同)と「君のために生きてる!!!」でもドラマチックに疾走。高校の同級生で2022年に結成、今まさにバンドとしても人としても洗練されていく真っただ中なのが、スウィートなポップソング「Honey」からも手に取るように分かる。

「改めて今日は素晴らしいイベントに誘ってくださりありがとうございます!俺らは19歳、今日は最年少のバンドです。俺が16歳のとき、初めてのフェスで一番最初にメインステージで見たバンドがSHE’Sだったんですよ。3年後、こうして同じステージでやれることが決まって、めちゃくちゃうれしくて。でも、憧れるんじゃなくて、勝負しなきゃいけない。19歳の俺らにしか歌えない歌をあなたと共有して、最高の日にしたいと思ってます」

この言葉を聴いたとき、彼らの秘めたる情熱は何ら変わっていないことを思い知る。「まだ俺らはJANUSより狭いハコで毎週毎週ライブをやってるバンドです!」と叫び、もらったチャンスに応えようと必死にギターをかき鳴らした「HERO」、「いいことばかりじゃなくても、こういう日があるから生きられてる。あなたがいるから毎日生きられてるんですよ。あなたの中で俺らがそういう存在であってほしいから、今日もこうしてライブしてる」と放ったバンドの精神的支柱たる「青春ロックを歌って」と畳み掛け、ピュアな衝動を爆発させた「会いたくなったら」の3連発でフィナーレへ!青春を振り返るのではなくド真ん中にいる原石の輝きが、『GLICO LIVE “NEXT”』に新たな光をもたらした。

トンボコープ

SEも照明もない静寂と闇に「トンボコープです、どうぞよろしく」と、雪村りん(Gt.Vo)が一言。派手な演出がなくとも、「フラッシュバック」を聴けばそのサウンドが、アレンジが、全てを物語ると言わんばかりの解像度で迫りくる。フォーピースのロックバンドというオーソドックスな編成で鳴らしているとは思えない楽曲の情報量は、続く「風の噂」でも言わずもがな。ヒットポテンシャル満載のセットリストは全て、9月17日(水)にリリースを控えるメジャーデビューアルバム『FANDOM』の収録曲となれば、期待せずにはいられない。

「今日は」JANUSにみんなどんな気持ちを持ってきた?それを今から全部歌声に乗せようぜ。君とトンボコープで作り上げる音楽だから」と雪村がいざなえば、イントロの時点で感情が溢れ出す。沸き立つ手拍子とシンガロングがリズムと一体となった「喜怒哀楽」では、雪村がハンドマイクでステージを横断。一曲ごとに幸福度が高まっていくようなトンボコープのライブは、不思議な包容力と魅力に満ちている。雪村が「まだまだ盛り上がれるか、まだまだ楽しめるかJANUS~!」と雄たけびを上げ突入した最新曲「Freeedom!」では、跳ね回る高速グルーヴが炸裂!

MCでは、でかそ(Ba)が「楽屋に致死量のビスコがあって、バケモンみたいな量をすでに食べました(笑)」と笑えば、「グリコと言えば、小学生の頃ジャンケンとかしなかった?30分ぐらいの通学路でずっとそれをやって2時間ぐらいかけて帰って(笑)」と雪村が思い出話に花を咲かせる。そして再び雪村が、「そんな思い出のあるグリコのライブに今日は出られてうれしいです。小学生の自分のグリコマインドは今日に通じていたんだなと。音楽は心とか人とか物とか場所をつなげる力があると思っていて。それを証明するために書いた曲を歌います」と宣言。後半戦はトンボコープ流ハイパーポップ「HEART BEAT」を皮切りに、壮大でアンセミックな「彗星」を経由し、ライブには欠かせない鉄板の「Now is the best!!!」では見渡す限りの手が挙がる!ロックシーンを飛び越えお茶の間すら射程距離に入れた、このネクストブレイクの予感は本物に違いない!?

SHE’S

8年前にCreepy Nuts、Saucy Dogらと『GLICO LIVE “NEXT” SPECIAL』に出演以来の凱旋ライブとなった大トリのSHE’Sは、ゆったりとしたマーチのような幕開けから一気にトップギアへと加速した「The Everglow」でスタート!ライブハウスをいとも簡単にドライブさせるマッシブなビートを響かせ、すぐさま、促さずとも満場のクラップが並走する「Un-science」へ。冒頭から多幸感いっぱいの地元大阪のフロアを前に、井上竜馬(Vo.Key)も「大阪いいね~!」と充実した表情で、アガらずにはいられないスリリングなダンスチューン「Raided」でもオーディエンスをとことんフックアップ!「Cloud 9」では先のニューカマー2組に背中を見せるような圧巻のサウンドスケープを轟かせる。

服部栞汰(Gt)が「JANUSに帰ってくるのは5年ぶり、『GLICO LIVE “NEXT”』には2017年に出ていて8年ぶりということで、めちゃめちゃ楽しみにやって来ました!」と告げれば、「しかも前回JANUSでバンドでやったのはFCイベントだったし、かなり久しぶりで。こうやって先輩という立ち位置でトリで帰ってこれたことに、喜びとともに加齢を感じてます(笑)。Fish and Lipsも3年前にフェスで初めて俺らを見て、やっと一緒のステージに立てたって……早いよ!怖いね、最近の若手の売れていくスピードは(笑)。負けてられへんでお兄ちゃんたちも!」と井上。

MCの回しもさすがのSHE’S先輩は、その後もスケールとダイナミズムで圧倒した「Kick Out」、異国情緒漂う「Masquerade」と立て続け、ラストは「大阪のみんな、最後にデカい声出せるか~?一緒に歌って帰りましょう。俺たちのずっと続いていく人生を、未来を踊ろう!」と井上が導き「Dance With Me」へ!誰もが手を振り叩き歌い踊る祝祭空間に、自ずと体が動き出す。

アンコールでは、井上がピアノを奏でながら見事なハイトーンボイスを聴かせ、「Grow Old With Me」を披露。久々の『GLICO LIVE “NEXT”』で最高の余韻というエンドロールを残した。

STAFF COMMENT

ライブ後は、恒例のグリコのお菓子の豪華詰め合わせ「セレクション・ザ・グリコ」の抽選会&記念撮影でも大にぎわい!なお、この日のライブの模様は、8月7日(木)24:00~『RADIO∞INFINITY』内でオンエア(radiko「タイムフリー」機能で1週間後まで無料聴取可)。次回の『GLICO LIVE “NEXT”』は、9月24日(水)心斎橋JANUSで開催。6・8・9・11月の計4回のライブを全通した来場者には素敵なプレゼントを贈呈するスタンプラリーも実施中なので、気になるラインナップはSNSをチェックを!