4月29日(水・祝)、大阪・大阪城ホールにて「FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2026」が開催された。
「REQUESTAGE(以下、リクステ)」は「REQUEST + STAGE」を組み合わせた造語で、
大阪のミュージックステーション・FM802が「番組にリクエストされるアーティストのステージをリスナーに生で観てもらいたい、ライブを通してさらに好きになってほしい」という想いから
2002年にスタートしたもので、今回で23回目の開催となる。
その名の通り、アーティストにはFM802がリスナーから募った「ライブで聴きたい曲」が事前に共有される。
アーティストそれぞれのFM802や楽曲への向き合い方が表れるため、一味違うライブが観られるとして人気を博している。
今年の出演はキタニタツヤ、10-FEET、なとり、PEOPLE 1、フレデリック、WANIMA(50音順)。いずれもFM802と関係が深く、音楽シーンを最前線で牽引するアーティストが集結した。
例年同様、これまでライブを経験したことがない10代の若いリスナーにもアーティストのライブを生で体感してほしいとの想いから、来場支援企画「UNDER19 シート」を用意。
この日は「UNDER19 シート」を含む全券種がソールドアウト。立ち見も出るほど盛況で、リスナーの『リクステ』への期待がうかがえた。
開演の時が近づき、ステージにはMCをつとめるFM802 DJの大抜卓人と落合健太郎が登場し、拳を合わせる。大抜は「ジャンルレスな音を届けるアーティストがたくさん集っている。
今日だけの特別な瞬間と熱気を、皆さんと楽しみたいと思います!」、落合は「FM802でもお馴染みの6組のアーティストが音楽で包み込んでくれますので、最後まで楽しんで!」と気合いたっぷりに盛り上げると、1組目のアーティストへバトンを繋いだ。
なとり
トップバッターを飾ったのは、現在FM802で『MUSIC FREAKS』(隔週日曜22:00〜24:00)のDJをつとめるなとり。
この日の出演者で最年少の彼は『リクステ』初出演で、大阪城ホールに立つのも初めてだ。とはいえ、今年2月には日本武道館2Daysを大成功させたとあって、その勢いを示すようにバンドメンバーと共に熱狂を巻き起こした。
割れんばかりの歓声と壮大なSEが会場を高め、ライブはアニメ『推しの子』第3期のEDテーマ「セレナーデ」からスタート。
なとりはパワフルかつ流れるように広音域の歌声を飛ばし、会場を染め上げていく。続いては今年1月にリリースされた2ndアルバム『深海』収録曲の「ヘルプミーテイクミー」。
『深海』リリース後のワンマン以外のイベント出演はこの日が初めてということで、アルバム曲がセットリストに入ることも期待されていたが、ビジョンに曲名が映し出されると観客は歓喜の声を上げた。
さらに「大阪の皆さんに、今世紀最高のプロポーズを」という言葉から、2025年の名曲として呼び声も高い「プロポーズ」を披露。会場は瞬く間にクラップで包まれた。
MCでは「すごいメンツの中にひよっこが混ぜていただいていますが、皆さん手放しで楽しんでくださってる感じがして嬉しいです」と緊張した様子で挨拶しつつも、
「新参者として全員に噛み付くくらいの勢いで、全員ぶっ倒していきたいと思いますんで、よろしくお願いします!」とギアをアップ!
後半は「ぶっ飛べー!」と煽りまくり、一面ジャンプの波を作り出した「非常口 逃げてみた」を経て、ラジオでもたくさん流れた代表曲「Overdose」のRemixバージョン、
さらに「IN_MY_HEAD」「絶対零度」とバチバチのライブアンセムを連投。
「今日でなとりのこと大好きになった人ー! 俺も大阪大好き!」と絆も結びつつ、アーティストとしての確かなる進化と自信をしっかりと大阪城ホールに刻みつけた。
キタニタツヤ
2番手はキタニタツヤ。大抜が「文学性と衝動、クールとエモーショナル、その対極にあるものを美しい言葉で紡ぎ、オリジナルのサウンドを確立。新世代の表現者を迎えよう!」と紹介し、バンドメンバーとキタニが姿を現すと、すさまじい歓声が会場を貫いた。
ピンスポを浴びたキタニがギターソロを放ち、披露したのはアニメ『BLEACH 千年血戦篇』のOPテーマ「スカー」。エッジーなロックサウンドに乗せて、ハリのある歌声を遠くまで飛ばしていく。
続き「踊れるかい大阪!」と「ずうっといっしょ!」へ。キタニと秋好が鳴らす激しいバッキング、齋藤と佐藤の繰り出すビートはあまりにもロックで、ステージから迫りくる衝動に呑み込まれて目が離せなかった。
ここからはBABYMETALをフィーチャリングに迎えた、アニメ『地獄楽』第二期OPテーマで1月配信リリースの「かすかなはな」、アニメ『日本三國』OPテーマで4月5日にリリースされたばかりの「火種」と、きっとラジオでも耳にすることが多いであろう新曲を連投。
ハイレベルな楽曲構成と演奏力、ダイナミックなパフォーマンスで圧倒した。
キタニは「もちろん僕は僕の音楽を1番好きだよと言ってくれる人を愛しているけど、僕は自分の好きな音楽を大切にしている人がカッコ良い人間だなと思っているので、“自分の大切な音楽”が僕の音楽でなくてもよくて。イベントが終わって家に帰って1人になった時に、1曲でもふと心の中から取り出せるような言葉やメロディーが、自分の音楽にあったらいいなと思って演奏してます」と述べて、「自分にとって鮮烈な出会いの歌を歌います」と「まなざしは光」をとびきり爽やかにプレイした。
抜群の存在感を放ったアニメ『呪術廻戦』第2期主題歌で大ヒットソングの「青のすみか」を経て、ラストは「次回予告」でフィニッシュ。魂を突き動かすような圧巻のステージだった。
フレデリック
2017年ぶりに『リクステ』にカムバックしたフレデリック。「音楽で別次元に連れていってくれるバンド」と落合に紹介されたように、最近は一層その芸術性を高めている。照明、映像、SEが三位一体となったオープニング。
「1.2.3.4」というカウントに合わせてクラップが発生、そこに赤頭隆児(Gt)、高橋武(Dr)、三原康司(Ba)がジョインし、セッションで雰囲気を高めていく。
やがて三原健司(Vo.&Gt)が登場、「『リクステ』、俺たちのこと知ってようが知らまいが関係ありません、フレデリックですよろしく!」と叫び、2016年6月度のヘビーローテーション「オンリーワンダー」を投下。聴き馴染みのあるギターフレーズに、観客はのっけから手を上げて喰らいつく。
続いて雪崩れ込んだ「銀河の果てに連れ去って!」では、健司の卓越したボーカル、緻密に練り込まれたバンドサウンド、レーザーと映像を駆使した演出が楽曲の世界観を押し広げる。
健司は「あなたの“聴きたい”、その気持ちが音楽になって、このステージから溢れ出しております。“あなた”のリクエストにしっかりお応えします。それは関係者も出演者も同じです。なとりくんが“この曲好きなんです”と話していた曲やります」と、
『MUSIC FREAKS』の対談でのやり取りをキッカケに「シンセンス」を披露。そこからライブアレンジを加えて「スパークルダンサー」「オドループ」とアンセムを連打。
「この音楽をここに連れてきたのは、あなたの声のおかげなんですよ。あなたの声聴かせてくださいよ!」と煽ると、オーディエンスは拳を突き上げシンガロング。
終盤、思い切り加速し「改めまして俺たちがフレデリックです!」と高らかに打ち立てた。
ラストに演奏されたのは、先週完成したばかりで、リリースもされていない、未発表の新曲「まなざしはプリズム」。
健司は「皆の声から始まったイベント。これを未来に繋げるためにも、今日の帰り道にこの曲を思い出すことがあれば『リクステ』の続きが始まるんじゃないかな」とイベントの趣旨を汲んで想いを伝え、ライブを締め括った。
FM802へのリスペクトを感じると同時に、“今現在”の彼らの飽くなき創造をしっかりと提示した。五感を刺激する表現に圧倒された観客は、鳴り止まぬ拍手を贈っていた。
WANIMA
現在全国ツアー中で、完全に仕上がった状態で登場したのは、『リクステ』初出演のWANIMA。
「JUICE UP!!のテーマ」が流れ、ビジョンにバンドロゴが映し出されると総立ちの客席は大騒ぎ! KENTA(Vo.&Ba)は「今日はラジオ大好きな人と音楽大好きな人が集まってるって聞いてます。俺らもその1人やから、皆で最後まで楽しんで帰ろうぜ!」と叫び、3月リリースのミニアルバム『Excuse Error』に収録の新曲「Die on Young fellow」を勢いよく投下。
続いて暗転のステージにKENTAのラップが鋭く響き、「メンタルも身体もボロボロにされた時にできた曲」と述べて、アニメ『刃牙道』のOPテーマ「フルボコ」を披露。
生命力がたぎる強いリリックとサウンドが胸に突き刺さる。息つく間もなく叩き込まれたのは「BIG UP」。「騒げ!」という言葉に呼応して、後方の立ち見エリアまでしっかりハンズアップ! 熱量は高まるばかりだ。
こちらも新曲の「十分だった」の前にKENTAは「フェスの醍醐味はひとつになることやって、先代から教わってきました。サビでタオル回してもらっていいですか?」と提案。一面見事に咲いたタオルの花で会場のテンションはMAXに。
一方で、内側の感情をさらけ出した「inside」では、時折慈しむような眼差しを見せつつも、叫ぶように歌い上げるKENTAの姿が深く印象に残った。
「ここにいる全員、ともに歌いましょう!」と披露された大アンセム「ともに」では、「待ってました!」とばかりにオーディエンスの拳が上がり、大きくジャンプで飛び跳ねる。
さらに2015年11月度のヘビーローテーション「THANX」にありったけの感謝を乗せてパンキッシュに音をぶつけ、一体感を増幅させた。さすが802リスナー、シンガロングもお手のものだ。
新旧織り交ぜたセットリストでWANIMAの歴史と現在地を示したパワフルなライブ。「なにわ x WANIMA」で生まれた壮観な景色は、間違いなくハイライトのひとつだった。
PEOPLE 1
2024年ぶり、2度目の『リクステ』出演となったのはPEOPLE 1。
前回トッパーで登場した時にスマホライトが会場全体を照らした「常夜燈」の景色は、今も鮮やかに蘇るほど記憶に残っているが、この日も「常夜燈」が1曲目に披露された。
SEなしで暗闇にバンドロゴが静かに映し出されると、Ito(Vo.&Gt)の優しい歌声が響き渡る。「親愛なる諸君、初めまして。よければ僕らと一緒に、この暗闇を照らしてみないか?」と促すと観客は一斉にスマホを取り出し、再び光の粒が城ホールを埋め尽くした。
じんわりと心に残る、感動的な光景。歌い終わるとItoは「ありがとう、ほんとに綺麗でした」と小さく述べた。
続いては、FM802で事前に放送された特別企画「DJ!DJ! REQUESTAGE」でも「リクエストが多い」とItoが語っていた「メリバ」、「ハートブレイク・ダンスミュージック」をライブアレンジに強化した「新訳:ハートブレイク・ダンスミュージック」を投下。
ItoとDeu(Vo.&Gt.&Ba)は声質の異なるツインボーカルで、前のめりに煽りながら会場をガンガン揺らしていく。
2人とTakeuchi(Dr)、サポートのTaguchi Hajime(Gt)、ベントラーカオル(Key)が鳴らすアンサンブルも大迫力。洪水のように押し寄せる音圧に、全身がヒリヒリした。
客席からメンバーの名前を呼ぶ声に、Deuは「大阪の人はTakeuchiのことが好きすぎる!」と反応。
Takeuchiは嬉しそうに「まだまだやれるよな大阪ー!?」と笑顔で拳を掲げる。後半はDeuの口ドラム(と、Takeuchiのエアドラム)から始まる「夏は巡る」を経て、「DOGLAND」「銃の部品」「エッジワース・カイパーベルト」と怒涛の展開で畳み掛けた。
すごみを感じる圧倒的なエネルギー、孤独に寄り添うあたたかさもありながら、貫禄すら感じさせる存在感。“これが今のPEOPLE 1か”と思わせる、有無を言わせぬステージだった。
10-FEET
大トリをつとめたのは10-FEET。大抜、落合と観客全員で「10-FEET!」と呼び込み、TAKUMA(Vo.&G)、NAOKI(Ba.&Vo)、KOUICHI(Dr.&Cho)がステージに現れると客席からはクラップが発生、一気に高揚感が増す。
「いけそう?大阪の勢い見してや」と微笑むTAKUMA。「よっしゃー皆しゃがめー! やっぱやめとくわ、立って(笑)」というやり取りも楽しい。1曲目は名曲「RIVER」。
のっけから拳で呼応するオーディエンスを見て嬉しそうなTAKUMAは「今日絶対、全員で笑顔で帰ろなー!」と言葉を投げかける。当然ながらコール&レスポンスもバッチリ。ワンマンさながらの熱量で疾走する。
1曲目を終えて「ありがとうございました、10-FEETでした! 今日これで終わります!」というボケを挟み、「よっしゃ、次の曲『-OCHIKEN Goes ON!!-』!」と、MCの落合が担当する番組名をコールするTAKUMAの粋な演出から「goes on」へ。「今度こそいこう。しゃがめ」と、しゃがんだところからの爆発力で大ジャンプ! すっかり会場全体を掌握すると、3ピースとは思えない重厚さで「壊れて消えるまで」を放っていった。
MCでTAKUMAは、寄せられたリクエスト全てに目を通したことを明かし、亡き祖母への想いが込められた「アンテナラスト」を披露。
「(大好きな祖母に)いっぱい会いに行ったつもりやけど、もっと会いに行ったら良かったなと後悔した。何回会いに行っても絶対後悔するから、会えるうちに会いに行っとけ!」と優しく説いたTAKUMAの切実な想いを乗せた歌声は、深く沁み渡った。
そしてお待ちかね、映画『THE FIRST SLAM DUNK』EDテーマ「第ゼロ感」!
重厚なビートと最高のギターリフに乗せて、NAOKIが勢いよく回転するパフォーマンスは何度見ても本当にカッコ良い。サビの熱狂は言わずもがな。そして「次もお前らがリクエストしてくれた曲!」とドロップされた「蜃気楼」。「お前の敗北は絶対無駄にならない」と言うTAKUMAの包容力に涙が出そうになる。
ステージと客席の心の距離をぎゅっと近づけ、最後は「ヒトリセカイ」を全力でプレイした。この日TAKUMAは何度も「幸せになれよ」と言っていた。
ライブ会場で直接会うことで受け取れる愛や思いやりが確かにある。相変わらずの優しさと力強さに満ちた、熱い熱いライブ。その場にいた全員が10-FEETの音楽と言葉に救われ、活力を受け取ったに違いない。
こうして今年の『リクステ』も大団円で幕を閉じた。ライブで聴きたい曲を聴けたことももちろんだが、新曲やこれまで知らなかった曲など、この日出会えた新しい音楽があるはずだ。それらをまたリクエストすることで、アーティストやラジオ局FM802との繋がりが生まれる。その喜びを味わってほしいと切に願う。
なお、この日の模様は、5月31日(日)20:00~22:00生放送のFM802の特別番組『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2026 LIVE SPECIAL』にて、ライブ音源などが放送される予定。
ぜひ『リクステ』の感動をもう一度味わおう。
【 特番情報 】
2026年5月31日(日)20:00~22:00
DJ:大抜卓人、落合健太郎
文:久保田瑛理
撮影:渡邉一生


































