2017-08-06   ◇MORNING STORY◇

今週ご紹介した小説は、
本多 孝好さんの「dele ディーリー」でした

『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』。
真柴祐太郎がその殺風景な事務所に足を踏み入れたのは、
三ヶ月ほど前のことだった。

所長であり唯一の所員でもある坂上圭司いわく、
「死後、誰にも見られたくないデータを、
その人に代わってデジタルデバイスから削除(delete)する。
それがうちの仕事だ」。
誰かが死ぬと、この事務所の仕事が始まるのだ。

新入りの祐太郎が足を使って裏を取り、
所長の圭司がデータを遠隔操作で削除する。
淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、
祐太郎はどこか疑問を感じていた。

詐欺の証拠、異性の写真、隠し金——。
依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、
次々と事件に巻き込まれる。

この世を去った者の〈記録〉と、遺された者の〈記憶〉。
そこに秘められた謎と真相、込められた切なる想いとは…?