Walkin' Talkin' -徒然ダイアローグ-

monday 21:00-22:00 ONAIR

1 week talking

1 week talking

「お互いのことは知っていた?」
岡野昭仁)さあ、Aimerさん。僕のことは知ってくれていましたか?
Aimer)もちろんです。
岡野昭仁)こういう風に入るっていうのも、なかなか厳しいもんもあるけど…。台本通りに進めてみました。 ポルノグラフィティは、いつくらいに、初めて聴きましたか?
Aimer)デビュー曲から、もちろん知っています。当時は、自分から積極的に聴きにいかなくても、受信してしまうくらいでした。
岡野昭仁)おお〜、じゃあもう、アポロから認識してくれていたんだ。「アポロ」はもう17年も前になりますから、相当前でございます。
Aimer)すごいですよね。ライブも、DVDとかで見たりして、勉強させていただいていました。
岡野昭仁)ああそう!本当。へえ〜嬉しいな〜。
Aimer)逆に、じゃあ、私のことはご存知でした…?
岡野昭仁)しっかり認識出来たのは、申し訳ないけど、遅かったんだけど…。やっぱり去年TAKA(ONE OK ROCK)とコラボした曲。「insane dream」から。あれを聴いたときに、プロデュースしたり、コラボしたいとTAKAが思った気持ちが分かったというか。今の日本の音楽シーンで、Alternative Rockで、かつLoud rockというか、エモい感じの曲でチャートにしっかり上がってくる女性シンガーってなかなか無いことだから。しかもそれが無理矢理やらされている感がなくて。今のJ-POPにはない、歌と楽曲が相まっていて、凄いなあって思いましたよ。
Aimer)ありがとうございます。嬉しい、もったいないお言葉です。去年出したアルバムで、いろんな方とコラボしたことで、いろいろ挑戦出来たのは、自分にとってすごく大きかったですね。

「自分を語る上ではずせない音楽 その1」
岡野昭仁) まず初回は「音楽で自己紹介」ということで。 Aimerさんは、何をもってきてくれましたか?
Aimer)私は、スピッツさんの『運命の人』という曲を持ってまいりました。
岡野昭仁)なるほど〜。なぜこれは?
Aimer)そうですね…。私は元々、音楽を聴く時に、歌詞よりもその人の声に、重きを置いていたんですけど、スピッツの曲に出逢ったときに、日本語で歌うことの、素晴らしさに気が付いたんです。
岡野昭仁)へえ〜なるほど。じゃあそれまでは、聴いたり、自分で口ずさんだりするのも、洋楽が多かったの?
Aimer)そうですね。わりと父の影響で、ジャズとかブルースとか。
岡野昭仁)ほお〜ジャズですか…、父の影響。ええな〜、父の影響とか受けたかったな〜。まったく父は音楽を聴いてなかったからね〜。(笑)
Aimer) そうなんですか。当時は幼かったっていうのもあって、意味が分からなくても、 聴いていて心地よい、「音」として音楽を聴いていたんですけど。 スピッツは、それを初めて言葉でほどいてくれた、アーティストです。
岡野昭仁)なるほど〜。マサムネさんもずっと変わらない。歌詞の世界と声の質というか、声色がすごくマッチしている。自分の声をよく理解されている方ですよね。
Aimer)本当にそう思います。全てのバランスいいですよね。では、岡野さんはどんな曲を選ばれましたか?
岡野昭仁)僕はね…、ずいぶん古い曲になっちゃうんだけど、BO GUMBOSの「魚ごっこ」という曲を。もう、デビューから30周年かな。解散しちゃって、ボーカルの、どんとさんもお亡くなりになって、バンドとしては存在していないんですが、  僕が中学生くらいの時に、バンドブームが日本で起こって、今でも活躍しているような、UNICORN、、JUN SKY WALKER(S)とか、すごい方々がたくさんいたんだけど、BO GUMBOSも、その中の一組。その中でも、BO GUMBOSはね、ライブ映像を見ても、なんか神々しかった。音楽の神に愛されているんだな〜っていう。ステージの上で悦に入って、音楽を楽しんでいる姿が、当時、中学生だった僕の心にすごく響いて。他のバンドとは、一線を引いて違っていたというか…。
Aimer)へえ〜。じゃあ中学生のときに、よく聞いていたんですか?
岡野昭仁) うん、よく聞いてた。ライブにおいて、BO GUMBOSの姿はとにかく、「お祭り騒ぎをしよう」、「ライブを楽しもう」というのがステージの上で体現されていて。僕が今ライブをやる上で、いろんな顔を見せるかもしれないけど、「最後にはみんなでお祭り騒ぎをしようじゃないか」、というのが、根っこに出来たのは、BO GUMBOSに出会ってからじゃないかな〜、と思います。
Aimer)へえ〜、なるほど。じゃあこの曲が、岡野さんのルーツなんですね。

「自分を語る上ではずせない音楽 その2」
岡野昭仁)じゃあ、もう一曲。Aimerさんが、自分を表すような曲を教えてください。
Aimer)次の曲はですね、Björkを持ってまいりました。
岡野昭仁)なるほどね〜、それは分かるかもしれない。雰囲気からして
Aimer)本当ですか!嬉しいです。いろんな海外アーティストを好きになるんですけど、Björkは、曲で好きというよりも“Björk”という、世界が好きだなって。口で説明するのは難しいんですけども、彼女の、感情をあまり考えないで歌えているところ、に惹かれるのかなと。私はものすごく考えて、理屈っぽく歌っちゃうので…。
岡野昭仁)そうなんだ。
Aimer)Björkは女性らしさがナチュラルに歌声に出ているのが、魅力的で。激しさもあるし、母性みたいなものもあるし。
岡野昭仁)あ〜母性は感じるね、突き放すような冷たいものじゃなく、何か包み込むような、包容力があるような。それは、Aimerさんの声にも、そう思うよ。
Aimer)えっ、本当ですか?ありがとうございます!
岡野昭仁)それこそ、TAKAとの曲でもそうだし。ロックで、メタルな声にもなるんだけど、でもそれは突き放すものではなくて、ぐっと母性を感じるような。多分、声質でもあると思うんだけど、それは。
Aimer)Björkに憧れて、そういう世界を作りたいという気持ちがあるので、嬉しいです。
岡野昭仁) それこそ Björkは、次に僕自身を語る上で外せない音楽、 Radioheadと、ある意味近しいかも。
Aimer) Björkとトム・ヨークとのデュエット、すごく良かったですよね。
岡野昭仁)うん、良かった。Radioheadは、97年のアルバム『OK COMPUTER』がいろんなミュージシャンの考えを変えてくれた、って言われてて、僕もリアルタイムでは聴いていた訳じゃないんだけども…。例えば自分が、曲とか歌詞を作っているときに、いっぱい作っていたら自分だけのイメージの枠にとらわれて、悩んじゃうというか、抜け出せないときがあって。その時に、Radioheadを聞くと、それを打ち破ってくれる。もっといろんな考え方で、音楽を作っていけるんだなって。っていうのも、『OK COMPUTER』という作品は、何回も何回も、やり直して出来たものなんだって。“自分たちが作ったものが素晴らしい” という土台があった上で、その土台を、あえてミックスのときにやり直したり、どう壊していくかっていう。自分たちがもう一歩いくために。Aimer)へえ〜、すごい。あえて壊していくんですか…。
岡野昭仁)それって、すごく勇気のいることでしょう?だから僕は、自分だけのイメージの枠にとらわれて、がんじがらめになっている時に、Radioheadを聴くと、ただただヒットチャートを狙うばかりじゃなくて、もっと自由に音楽を作っていいんじゃないかなと、もっともっと音楽を楽しんでもいいんじゃないかと。Radioheadは、自分への戒めになるアーティストですね。
Aimer)なるほど。でもポルノさんも、作品ごとに新しいトライをされているなあと、1つのことにこだわっていないなあと、同じようなものを感じました。
岡野昭仁)本当?でも難しいところなんだけどね。パブリックイメージがあって、それも大事だし、でも自分の中にもイメージがあって。それが合致したときはいいんだけど、それがずれた時は難しい。でも、ミュージシャンとしてはいろんなチャレンジをしていきたい。指針にはなるよね、Radioheadは。未だにかっこいいからね。
Aimer)そうですね。去年出た新譜もかっこよかったですもんね。

「お互いの曲で好きな曲・気になる曲」
Aimer)いろいろ考えたんですけど、私はあえて、最近の曲を選ばせていただきました。というのも、実は、その曲についての岡野さんのインタビューを読ませていただいて。さっきのRadioheadもそうですけど、ポルノさんも、長いキャリアがある中で、今でも挑戦し続けているんだな、と。かっこいいなと、感じた一曲を選びました。
岡野昭仁)ほお、よく調べてくれているなあ~。
Aimer)私は、バラードを歌うことが多いんですけれど、最近初めて、BPMの速い曲に挑戦して。“テンポが速くて言葉数が詰まっていると、こんなに難しいんだ…”って、体感したんです。その時に、岡野さんがこの楽曲について、“今回、また新しい挑戦になりました”とおっしゃっているインタビュー記事を読んで、凄いなあと思いました。まだまだ、進化し続けるんだなあと。
岡野昭仁)なるほど。でも、無理矢理から始まることもあるからね。やってみたら、出来ちゃったみたいな。どこまでチャレンジするか?みたいなことも大事だなって。レコーディングするまで出来るか分からなかったから。
Aimer)そうなんですね。がむしゃらに挑戦したんですか…?
岡野昭仁)うん、がむしゃらに。チャレンジしてみるっていうのも、大事。
Aimer)でも、BPMが速い曲で、はっきり発音しながら歌うのは大変なことですし、一朝一夕で手に得られることでもないので、岡野さんは、もうそれが染み付いてらっしゃるってことですよね。
岡野昭仁)そうだね〜、そういう意味では染み付いているかもしれないね。だからでも逆に、違う歌い方をしろって言われたら、なかなか出来ないから、その辺りが自分の足りないところだなって思うけど、染み付きすぎてね。
Aimer)私は、いろんな人に音楽を届けるには、雑踏の中や、お店の中、ラジオからふと聴こえてきた時とか、1回聴いただけでも歌詞がすっと耳に入って来て、言葉が残るのが、すごく大切なことだと感じていて。だからこそ、私ははっきりと発音しながら歌える方に、憧れますね。
岡野昭仁) 逆に僕は、Aimerさんの声は、どこにでもとけ込むという武器をもった歌声だなあと、思う。声が1つの楽器にもなっていて。その2つが同居していることは素晴らしいことだと思うんだよね。包容力のある声にもきっと意味があって。Aimerさんのアルバム聴かせてもらうと、表現力が本当に素晴らしいと思う。いろんな人が曲書くでしょ?いつも、どういう風に解釈して歌うの?どうやってAimer色にしていくの?
Aimer)そうですね…。歌を歌い始めた頃は、いろんな曲をコピーして、好きな歌手の声色をいかに真似て、自分に取り込んでいくかっていうことをたくさんやっていたんですけど。今では、自然と、“Aimerの歌い方” が歌えるようになってきました。それこそ、染み付いていて。一番私の声を美味しく聴かせられるところで歌ったほうが、人の歌い方を真似するよりも良いなっていうのが、分かって来ました。
岡野昭仁)なるほど。アルバムとか聴いていても、表現力の幅が、本当にすごいなと思って。世界観をすごく大切にしていて、プロデュースした人にとっては、冥利に尽きると思うのよ。僕が選んだ「ポラリス」もそう。自分の書きたい世界と、声の表現がばっちり合っていて、ぐっと引き込まれる。自分の声をわかってらっしゃるから、それが、きちんと表現できているんだと思う。
Aimer)嬉しいです、ありがとうございます。

on air楽曲

テーマ「自分を語る上ではずせない音楽 その1」
Aimerセレクト: 運命の人 / スピッツ
スピッツに出逢うまでは歌詞よりも「声」に重きを置いて音楽を聴いていたけれど、スピッツの音楽に出逢ってから、歌詞の美しさ、日本語で歌うことの素晴らしさに気が付きました。
岡野昭仁セレクト:魚ごっこ/BO GUMBOS
タイトルも歌詞も、何のこっちゃ分からないけど、そんなこともまた楽しい。しかもそれを、ルーツ・ミュージックにのって演奏しているのがかっこいいなと思います。この曲のライブ映像を見ると、観客席もみんな鳴り物を持って、お祭り騒ぎをしていて。「音楽を楽しもう!」というのが伝わって来ます。今でも僕のルーツ、ずっと大切にしている曲ですね。
テーマ「自分を語る上ではずせない音楽 その2」
Aimerセレクト:Hyperballad/ Björk
女性らしさがナチュラルに歌声に出ているのが、魅力的な歌声。激しさもあるし、母性みたいなものも感じられて、惹かれます。
岡野昭仁セレクト:No Surprises/Radiohead
Radioheadは、ミュージシャンとして、指針になるアーティスト。いろんなことにチャレンジしている。ミュージックビデオも素敵です。97年の『OK COMPUTER』から。
テーマ「お互いの曲で、気になる曲・好きな曲」
Aimerセレクト:真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ/ポルノグラフィティ
岡野さんがインタビューでこの曲について“自分にとって、新たな挑戦だった。またこの曲で、進化したと思います。”とおっしゃられていたのが印象的でした。長く活動されている中でも、常に挑戦し続ける姿勢が、凄いなあと思います。
岡野昭仁セレクト:ポラリス/Aimer
特に前半の低音は、シンガーとして、うらやましいくらいの安定感。自分で書いた歌詞の世界観・包容力をしっかり表現出来ているのは、自分の声をよく分かっているからだと思います。歌の最後で、タイトル「ポラリス」で締めるのも、素敵です。

2 week talking

2 week talking

「この人 上手いなあ〜、と思ったアーティスト」
岡野昭仁)Aimerさんは、他のアーティストの曲を聴くとき、ボーカリストの、どういうところに注目する?
Aimer)私は、声質ですかね。透き通ったような声が好きな時もあれば、深みのある声が好きな時もあります。歌唱力よりも、声質で好きになることもありますね。岡野さんはどうですか?
岡野昭仁)俺はねー、俺もそうかなあ?声質になるんかなあ?
Aimer)どういう声質がタイプですか?
岡野昭仁)やっぱり俺は、ハスキーかな。
Aimer)私、思ってたんですけど、岡野さんも結構、ハスキーですよね。
岡野昭仁)ハスキーかなあ。思うんだけど、ボーカリストって歌い込んでいくと、ハスキーになっていくと思うの。喉の使い方が分かってくると。それは声がダメになっていくんじゃなくて、ハスキーボイスにした方が声が太くて、いろんな音域が出やすいじゃないかって。
Aimer)じゃあ、コントロールしてハスキーにしているんですか?
岡野昭仁)いや、コントロールじゃあないな。自分が一番安定していて、声が枯れなくて、自分が素敵だなって思う声を出すと、それがハスキーになるかな。
Aimer)なるほど。
岡野昭仁)さっきAimerさんは声質でも好きなアーティストが決まるって言ったけど、最近聴いた中で、 “上手いな” って思ったボーカリストは?
Aimer)majikoさんという方なんですけど。いろんな新譜を毎週チェックしている中で、彼女の声がすごく私の好きなところにハマって。あと、曲の感じがダークで。
岡野昭仁)やっぱそういうが好きなんだね、温度が低めというか。でも分かる気がするわ。
Aimer)岡野さんは、温度が高めのほうが好きですか?
岡野昭仁)いや、俺もね、低めが好き。Radioheadとか、Björkもそうだし。自分の声質にはあってないんだけどね。
Aimer)でも、ものすごく暗くて、どん底みたいな曲調の歌を歌っている岡野さん、聴いてみたいです。
岡野昭仁)いやもう、大好きです。自分たちのライブでも何曲かいれるんだけど、実はそれを歌っているときが一番好きなの。どんよりして、皆が引くくらいもっと冷たくしたいって思うんだけど、その勇気はないんじゃけどね。実は、大好きなんだよね、暗あ〜っていうのが。
Aimer)分かります。私も、真夜中に聴いているときに、「このまま私、もう戻れないんじゃないかな…」って思うような曲が好きです。
岡野昭仁)わかるわかる!(笑)音楽における冷たさとか暗さって、加減がないよね。どこまでもいくんだろうって。そこにハマり込む自分もいるね。
Aimer)でも確かに、Radioheadとかもそういう曲、多いですよね。
岡野昭仁)そう。俺、Radioheadにハマってたとき、もう戻ってこれんかなと思った。
Aimer)岡野さんは、これまでたくさんの方と共演されてきたと思いますが、「この人凄い」って思ったアーティストは?
岡野昭仁)もう、たくさんいますね。印象的だったのは、玉置浩二さん。玉置さんは一緒に歌わせてもらったこともあるけど、声が広い。低音は響くし、声も大きいし、高音も出るし、声の面積も広いし、凄まじすぎて、歌バケモノですよ。あとは、小田和正さんや山下達郎さん、浜田省吾さんもそう。俺が思う歌の上手い条件は、「広い」かな。ようするに「太く」て、「音域が広い」、「面積が広い」、かな。
Aimer)私、岡野さんにも同じものを感じます。声が、安定していて。
岡野昭仁)お〜、本当?でもね、実は、僕は低音があんまり得意じゃなくて。低音を出すのがテーマなんですよ。高橋優が歌っているのを生で隣で聴くと、低い声も、めっちゃめちゃ声がでかいの。サビの、一番大きい声を出す時と同じくらい出るのが、すごいな〜って。それが僕には出来ないから、これからのテーマかなあ。
Aimer)声量がってことですか?
岡野昭仁)そう。高いところはなんぼでも出るんだけど。 下の方になると、あんまり出なくなって、ちっちゃくなってしまう。
Aimer)それは、高い方が大きすぎるということでは…?
岡野昭仁)それはあるかもしれんね、よく言われるね。 最近聴いた中で一番上手いなって思ったのは、 ONE OK ROCKのTAKAですよ。昔から知っているけど、 彼らがどんどん成長していく姿を見ていると、 自分ももっと、上手くならんとって思うね。 特にそれを感じたのは、4年前くらいに横浜アリーナで『Wherever you are』を聴いたとき。この曲では、TORUと2人だけのステージで、アコギ1本で、TAKAが歌ってたんだけど。その姿を見て震えた。たった2人だけで、アリーナを説得させるのはすごく勇気のいることだけど、自分の歌に対する自信がしっかりあって、そしてそれをちゃんと形に出来ていたから。本当に震えた。こんな日本人見たことない、って。すげーかっこいいなって思った。
Aimer)岡野さんを、そこまで言わせるTAKAさんって、やっぱり凄いですね。

「自分の声は好き?」
Aimer)私の場合は、好きな部分と、嫌いな部分が共存しています。
岡野昭仁)好きな部分は?
Aimer) 好きな部分は、自分の思い通りになったとき。 ならなかったときの声は、大嫌いですね。
岡野昭仁)僕もそうだね。好きだなと感じるのは、ライブをやっていて、勝手に喉から声が出て行く時。喉が枯れるだとか、モニターがどうだとか、何も気にせずに最後まで歌えた時は、好きです。 この間の台湾公演のときとかがそうだったんだけど。  
Aimer)へえ〜!私はまだ辿り着いたことがないですね…。よくあるんですか?
岡野昭仁)いや、よくはない。本当に何年かに1回。ライブにおいては、自分のコンディションとか、モニターマン、PAさん、その場の音状とか、いろんな条件が揃わないとダメなんだけど、それが全部ばっちり合ったときは、ボーカリストで良かったなあって感じる。その感覚を自分の中でしっかり記憶しておいて、「また、あそこにたどり着きたい」っていう思いが、後々の自分の糧にはなる。
Aimer)すごい。その話、メモしたいです…。私は、“良い”と思うものの最高点を、底上げしなければいけないなと、感じていますね。
岡野昭仁) まずベースとしてその声があるから、きっと大丈夫だと思いますよ。
Aimer) ありがとうございます。鍛錬を積んで、私もその境地に近づきたいと思います。
岡野昭仁)ストイックなんだね。
Aimer)そうですね、ストイックが好きですね。
岡野昭仁)だからこそ、そこにたどり着けないときの声が嫌いなんだね。
Aimer)はい、もう大嫌いで。(笑)たどり着けなかったときのライブは、録音した音源をライブのあと、すぐに聴いて。
岡野昭仁)すごいね〜、ストイックだね〜。

「声」
Aimer)岡野さんが自分の歌声に自信を持てるようになったのはいつぐらいからですか?
岡野昭仁)どうだろ…、本当に自信が持てるようになったのは、つい最近かな…。ここ5年くらい?かもしれない。
Aimer)5年くらい?え〜!
岡野昭仁)まあ、ライブをやったりすると、その場の盛り上がり具合をみて、満足感があったから、そういう意味では、自信はあったんだけど。1つコンプレックスがあったのは、レコーディング。自分の思うような歌を歌えない、表現力の無さが嫌だった。録ったものを聴くのも、ずっと嫌だった。自分の中の理想だけは高かったから、アホだから。これくらい歌えるんだって思っていたものが、聴くと全然録れていなかった。全然達していないって分かったときは、レコーディングするのが嫌で嫌で。
Aimer)じゃあ、5年くらい前は、レコーディングで納得いかないものが多かった?
岡野昭仁)うん、多かった。何回やり直しても、出来ないものは出来ないから。そこから、ボイストレーニングにもう一度きちんと行って、ちゃんと勉強もするようになって。そうしたら、その後の音源が、聴くと明らかに違った。ようは、自分の理想に到達出来ていない時期は、結局は自分の声が好きじゃなかったからだと思う。
Aimer)へえ〜、じゃあ好きじゃなかったんですね。
岡野昭仁)うん、好きじゃなかった。当時は、自分の声はクリアな声で、ロックな声じゃないと思っていたから。それが凄く嫌いだった。自分が憧れるのは、しゃがれた声というか。LINKIN PARKのChesterとか、FOO FIGHTERSのDave Grohlとか。シャウト系に憧れていたから。生まれ変わったらあんな声になりたいよね。声というと、Aimerさんは普段、歌の練習とかやってる?
Aimer)私は、ボイストレーニングに、月に2回くらいずっと通っていて、個人練習も出来る限りやって、1人でスタジオに入ったりしています。  
岡野昭仁)へえ〜、そこではどういうことをするの?
Aimer)私はスロースターターなタイプなので、すぐに、体を唄うモードにするような練習ですね。運動する前のストレッチみたいな。声帯のこともあるので、そこに時間をかけています。岡野さんは?
岡野昭仁)俺はね〜、練習は…あんまりやっていないかなあ。でも、自分のスタジオがあるんだけど、そこで機材を触っているときに、機材のことがよく分からないまま、自分1人で全部レコーディングをするから、“どうやったら、この音量変わるんだ?”って、「わー!」って、何回も何回も声を出したりしてる。それがある意味、練習になっているのかも。「俺、このフレーズ何回歌ってるんだ!」ってくらい。
Aimer)へえ〜!(笑)自分1人でされるんですね。
岡野昭仁)でもそうやって、練習だとか、歌を磨き上げていくことって、自分だけにしか分からない、ボーカリストの喜びじゃないですか。
Aimer)はい、本当にそう思います。まだ理想にたどり着けていないからこそ、まだ歌い続けたいなって思います。

「新たな発見があった曲」
Aimer)私はデビューから数年はバラードをメインに歌っていて、強い歌をほとんど歌っていなかったんですけど、『Brave Shine』がきっかけで、強い曲を歌うようになりました。大阪で、声が出ないライブをしてしまったあとに、その失意の中で作って、レコーディングもした曲なんですけど、あえて力を抜いて歌ってみたら、ここまで歌えたんですよね。
岡野昭仁)へえ〜、不幸中の幸いというか。でもよく、その精神状態でよくやったね、レコーディングを。
Aimer)また、声がいつ出なくなるか、恐ろしかったですね。でも先ほど曲がかかっている間に耳にしてしまったんですけど…。
岡野昭仁)うちらの『アゲハ蝶』ね。名古屋のライブで全然声が出なくなってね、その3日後くらいにレコーディングをしないといけなくて。結局、そこでは何も見い出せず、ただただ声が枯れているっていう音源が、まあまあヒットしたっていう。よく聴いてもらったら、枯れているのが分かると思うんだけど。
Aimer)いやでも、今まで聴いていて全然分からなかったです。
岡野昭仁)でも、結果論だから。それがよかったのかもしらないけどね。僕自身は声が枯れているなって思うけど、あの曲にとっては、バッチリよかったのかもね。
Aimer)でも、自分にしか分からないような違いってありますよね。
岡野昭仁)ある。このとき調子悪くて歌えてないな〜とか、本当は言いたくないこともあるよね。
Aimer)すごくよく分かります。

on air楽曲

テーマ「最近上手いと思ったアーティスト」
Aimerセレクト: ノクチルカの夜/ majiko
声質・曲の温度が自分の好きな部分にハマった曲。可愛い声・かっこいい声など、自分の声を使い分けているのも素敵だと思います。
岡野昭仁セレクト: Wherever you are/ONE OK ROCK
4年くらい前に横浜アリーナで、TORUのアコギ1本と、2人だけでやっている姿を見て、震えた。自分ももっと上手くならないといけないって、思わせてくれた。
テーマ「生まれ変わるなら、こんな声になりたい!最近、声が気になる人」
Aimerセレクト:(No One Knows Me) Like the Piano/Sampha
もともと、鼻にかかったような声に惹かれていて。特に黒人のシンガーの方って、生まれながらにそうじゃないですか。グルーヴとかも、いくら私がストイックにやってもたどり着けない。それでいて、ダイナミックで。
岡野昭仁セレクト: Poison Apples /Motley Crue
初代ボーカリストの脱退後、John Corabiがボーカルを務めたナンバー。賛否両論があり、ジョン・コラビも後に脱退してしまったけれど、彼の個性的な歌声が僕は好きでした。
テーマ「自分のターニングポイントになった曲」
Aimerセレクト:Brave Shine / Aimer
バラード曲を歌うことがほとんどだった中で、強い曲をたくさん歌うようになったきっかけになった曲。それまでは、強い曲は、力んで歌うことが多かったんですけど、こんなに力を抜いても、強くてかっこいい曲を歌えるんだ、という新たな発見でした。
岡野昭仁セレクト:オー!リバル/ ポルノグラフィティ
デビューしてしばらくは、本間昭光さんがプロデュースしてくれて、世の中に「ポルノグラフィティ」の名前を広めてくれたけど、それは感謝でもあり、やっぱりどこかコンプレックスになっていて。 第一期ポルノグラフィティ、第二期ポルノグラフィティがあるのなら、第二期は、本間さんが離れてからで。その中で、自分でこの曲をかけたことで、気持ちが楽になった。 もっともっと、ボーカリストとしての責任を全うすることに集中すればいいんじゃないかと、肩の荷が下りたような曲。自分の書いた曲で、自分の歌がパワーアップしたような気持ちになりました。

3 week talking

3 week talking

「歌詞」
岡野昭仁) Aimerさん、歌詞を書くのは好きですか?
Aimer) 面白いな〜と思うときもあれば、苦しいなあと思うときもありますね。
岡野昭仁) そうだよね〜。出来上がったときは、満足感と達成感があるけど、出てこないときは、結構苦しいよね。スガシカオさんは調子が良いときは、30分くらいで書くって言ってたけどね。 しかもストックもせず、ぱーっと、言葉が集まってくるらしいんよ。
Aimer) え〜!私も集まって来てほしいです。
岡野昭仁) ね〜、集まってきて欲しいよね〜。じゃあ、Aimerさんは自分が好きな歌詞はあったりしますか?
Aimer) 私は、嬉しい歌だけじゃなくて、例え悲しい歌だとしても、その悲しみを肯定してあげられるような歌詞が好きですね。“苦しさ”を押し上げてくれるのと同時に、 “それも良いんだよ”って、 言ってくれるような音楽に、私自身も救われてきたので。それは、自分が歌詞を書く上でも一番根本に置きたいと思っています。
岡野昭仁) ただただ、 “頑張れ”みたいな曲じゃなくて、悲しみも受け入れた上で 勇気をくれるような曲ということですね。
Aimer) はい。まさにそういう歌詞を書きたいと思っています。 特に10代の頃って、毎日同じ事の繰り返しの生活の中で、「誰かに、思いっきりつぶして欲しい」なんて、 鬱屈に感じこともあると思うんですよね。そんなとき、そういう歌詞に 私は影響を受けて、今、音楽をやる理由に繋がっている部分もあります。 岡野さんは、10代のときに味わった感覚が、 音楽をやる理由には、なりませんでしたか?
岡野昭仁)ないなあ…。1つあるとすれば、人前に立つのが好きだったって、ことだけ。
Aimer)それは、何かを伝えたかったとか?
岡野昭仁)……いや、そういうの、いっさい無かった。「誰かに何かメッセージを伝えたい」っていうのも無かったし、10代の頃に、“この歌詞を聴いたから、僕の人生が変わった”、 みたいな経験が無いの。そういうメッセージ性のある曲を聴いても、能天気な10代の自分は何も感じなかったね。「今、充分楽しんでまーす!」みたいな。そういうノリだったからね。
Aimer)でも今、プライベートで聴く曲は、暗いのが多いんですよね。どうしてですか?
岡野昭仁)うん、多い。どうしてだろうね〜?自分が歌詞を書き始めてから、なんかね、ふと何も考えずに書いていたら、「僕は孤独だ」とか、「一人な気がする」とか、そういう歌詞を書く事が多くなってた。
Aimer)それは、歌詞を書き始めて、はじめて気が付いた?
岡野昭仁)そう、書き始めてから。「何でこんな言葉が出て来たんだ?」っていうのが、自分でもよく分からないんだけど。きっと、10代の頃は何も考えずに、幼馴染ばっかりの島で育ってきたから、1つも孤独だと感じたことが無かった。だから島から出た瞬間、友達がいないとかじゃなくて、集団の中で暮らしていたから、自分の個性が無いってことに、気が付いたのかもしれない。「俺って何なんだろう、何も無いじゃん」って、歌詞を書いていて、そんなことを感じていたのかもしれない。
Aimer)じゃあ、岡野さんにとっては、その18歳のときに、周りの環境が変わったということが、大きい?
岡野昭仁)かもしれないね〜。その時に気が付いていれば、もっと違うものが書けていたのかもしれないけど、今頃になって気が付いてきたから、少年時代の自分と、今の自分が乖離しているというか。そんな感じもある。
Aimer)そう考えると、歌詞をご自身の曲調とか、アーティスト性にマッチさせて書くのって、難しくないですか?
岡野昭仁)難しいんだよね。ポルノグラフィティは、いろんな人が曲書くし、歌詞は晴一(Gt.)が書くことも多いから。世の中のパプリックイメージっていうのは、晴一が書いたものがあるわけで。例えば自分が歌詞を担当して書く時に、パブリックイメージに、僕も寄せて書かないといけないみたいな、強迫観念があったりして。そういう意味では歌詞って、自分の中で課題になっていて。何を書けばいいんだろう、っていうのは未だにあって。
Aimer)本当ですか?にわかには信じられないですね…。
岡野昭仁)いやいや、信じてください。(笑)

「自分の曲で、これはハマった!という曲」
岡野昭仁)Aimerさんは、いろんな方が曲を書かれていると思いますが、自分らしい、これは納得!という楽曲はありますか?
Aimer) そうですね…。最近の曲の中で、自分の声が、しっかりこの曲を 導くようになったなあと思うものがあるんですが… andropの内澤崇仁さんが書いてくださった、『カタオモイ』。 これはプリプロのときに、歌詞がない状態で、私が仮歌として「ラララ〜」 と歌ったんですけど、その「ラララ〜」という声から、想像を広げて、 歌詞を書いてくださって。声をほめていただくことは多いんですけど、 “声に引っ張られて言葉が生まれた”って 言われたの初めてだったので、嬉しかったですね。
岡野昭仁)へえ〜、めずらしいパターンかもね。
Aimer)そうなんです。岡野さんの場合、晴一さんは、岡野さんの声に引っ張られたり、インスピレーションを受けて、歌詞を書かれているんですか?
岡野昭仁)どうなんだろう?これだけやってたらそこを抜きにしては、なかなか書けないんじゃないかな、と思うけど。
Aimer)そうですよね。
岡野昭仁) 全く考えずに書いているよって言われたらびっくりするよ。「えっ、俺のこと、そんなに考えてくれてない?!」って。 特徴のある声だから、そうなんじゃないかなあ。 
Aimer) 岡野さんの声で歌って、一番気持ちいいだろうなあっていう言葉を 考えていらっしゃる、とか?
岡野昭仁)多分、そうだと思う。きっと俺の声のいいところ、言葉の乗り方のいいところは、俺自身よりも知っていると思う。
Aimer)すごいですね。歌い回しとか、このメロディーにどの母音を乗せるか?、みたいな作業だけでも、全く違ってきますもんね。
岡野昭仁)うん、変わる。自分で書いちゃうとさ、ある意味何でも出来ちゃうじゃん?自由にやっちゃうじゃんか。逆にそれがハマらないときもあったりするもんね。
Aimer)自分で歌詞を書いておきながら、そんな風に感じるときあります。
岡野昭仁)あるよね〜。ちょっとこれ、やり過ぎたなーってね。でも無理矢理歌ったらいけるしな〜、どうしようって。
Aimer)岡野さんもそういう時、あるんですね。
岡野昭仁)あるある。なんとかなるだろうって、そのまま「えいっ!」ってやっちゃうこともあるんだけど。
Aimer)私もあります。どうしても譜割り的に無理はあるけど、この言葉をどうしても入れたいから、やっちゃおう!って。
岡野昭仁)しょうがないよね〜。エゴを出さんとね。いろいろ歌い手さんも苦労してますよね。

「歌い手あるある」
岡野昭仁)歌い手あるあるでさ、仮歌で譜割りにちゃんと歌詞を当てはめていく作業って、めっちゃしんどくない?俺は、晴一が書いた曲のメロディーに、初めて歌詞を当てはめていくという作業がめっちゃ嫌いなの。多分みんな気が付いていると思うけど、その仮歌を歌う時に、すっげー不機嫌になるの。「ここはこうして…、そこはそうじゃなくて…」っていうやり取りになるんだけど、俺の頭の中では、そんなすぐに曲に慣れるはずなくて、「書いてきたあなたは分かるかもしれないけど!!」って。(笑)めっちゃ考えながら歌ってる(笑)なおかつそれでテンポが速くなると、そのときはもう、「1小節ずつ歌わせて!」「ごめん、4文字ずつ歌わせて!」とか言って。(笑)
Aimer)でも、これ晴一さんが聴いていたら…(笑)
岡野昭仁)大丈夫、大丈夫!(笑)分かっていると思うから、俺がイライラしているのは。本間さんにやってもらっていた時も、そうだったから。「えー、変えるんですか?!」みたいな。(笑)
Aimer)でも、分かります。自分の中で、これが気持ちいいと納得して歌っていたものを、その場で変えることは、すごく違和感がありますよね。
岡野昭仁)あるある。うそーんって、なるよね。(笑)レコーディングって、密室での作業だから余計しんどいんだよね。お客さんとか、誰かが見ているとまた別かもしれないけど、レコーディングブースでいろいろ歌ったあと、向こうの卓側にいる人に「ちょっとしばらく待ってくださーい。」って言われて、考えてられているあの時間が、超嫌なんだよね!
Aimer)分かります、あの間ですよね。何を言われているか分からないっていう。
岡野昭仁)そうそうそう!分かるわ〜。レコーディングあるあるだよね〜、これ。

「主人公になるのが難しかった曲」
Aimer)ポルノグラフィティさんの楽曲は、男性目線の曲、女性目線の曲、両方あるのがすごいなって思って。難しくはないですか?
岡野昭仁) うーん、でもね、そこはあんまり考えてもしょうがないかなと思っていて。 男である俺が、女性目線で歌うこと自体はおかしなことだけど、 別に俺らが初めてやったってものでもないし、 世間では馴染みのあるもので、音楽としては成り立っていることだから、 あんまり考えてもしょうがないかなあ、と。 でも、これは晴一もよく言っているんだけど、 曲とかアレンジ、メロディーが呼んでくることもあると思うんだよね。『サウダージ』っていう曲も女性目線なんけど、あれも曲が呼んできた。
Aimer)メロディーから、歌詞が自然に?
岡野昭仁)そうそう。さっきの『うたかた』も。あれは女性目線の歌詞ではないけれど、曲調が、女々しい感じ、女性らしい世界観をつくってくれた。だから別に、意識して女の人っぽく歌おうとかは思ったことはないし。
Aimer)自然に、歌うとそうなるんですか?
岡野昭仁)うん、自然に。まあでも、僕の中にも女々しい部分があると思うから、そこで歌えているのかなあと。『サウダージ』とかをライブで歌うときは、いつもより繊細に歌っているかもしれませんね。

on air楽曲

テーマ「好きな歌詞の曲」
Aimerセレクト:Lily Chou-Chou/飛べないツバサ
歌詞の世界観が、鬱屈した気持ちを あえて許してくれるような曲。「大きな石が空から落ちてきて私を押しつぶす」という部分が一番好きです。
岡野昭仁セレクト:私の世紀末カルテ/サザンオールスターズ
国民一人一人の声を代弁して書かれたような曲だけれど、実は桑田さん自身が感じる苦しみ、国民的なアーティストとして感じるプレッシャー、などが、歌詞に描かれているような気がします。最後のフレーズ『母さんあなたが歌ってくれた小唄が懐かしい』という本音のような言葉が出てくる瞬間に、ほろほろきます。
テーマ「歌詞の世界にばっちりハマった曲」
Aimerセレクト:カタオモイ/Aimer
andropの内澤崇仁さんが書いてくださった曲。自分の “声” から想像して歌詞を書いてもらうことは初めてだったので、そのことがまず嬉しかったですし、そういう背景があるからか、歌詞とメロディーに、自分の声がナチュラルにハマったと思います。
岡野昭仁セレクト:うたかた/ポルノグラフィティ
本間昭光さんが作ってくださったこの曲は、原曲が出来上がった時点で、歌詞の世界がすぐに見えた。「二胡」という中国の楽器の、異国情緒ある音色が入っていて、それがすごく、女性の雰囲気に感じられて。僕は男なので完璧に女性目線では歌えないけれど、その雰囲気に寄せて、女々しい気持ちを書くべきなんだろうな、と思いました。曲と歌詞の世界観がばっちりハマったのでは、と思います。僕にしては珍しく、納得出来た数少ない曲かもしれない。
テーマ「これは苦労した、難しかったという曲」
Aimerセレクト:誰か、海を。/Aimer
スタジオやレコーディングメンバーなど、全てがいつもとは違うシチュエーションでレコーディングした楽曲。その上、今までに挑戦したことのないような曲調だったので、かなり苦労しました。でも結果的に、今までにやってこなかった世界観だったので、挑戦できて良かったと、今は思います。
岡野昭仁セレクト:横浜リリー/ポルノグラフィティ
晴一が書いた歌詞なんですが、たくさんの人物・場面が出てくるドラマ性の高い歌詞で、非常に苦労しました。未だに完成していないと思っているんですけど。曲をつくった本間さんも、レコーディング中にメロディーをばんばん変えていったし。全体のアレンジ、歌詞の世界観も、完成度が高い曲なのでその分、“俺はどこで完成しよう”って、今もまだ迷い中かもしれない。未だに完成しない、とっても難しい曲です。

4 week talking

4 week talking

「今後チャレンジしてみたいこと」
岡野昭仁) Aimerさんはデビュー5年ですが、今後何かチャレンジしてみたいことはありますか?
Aimer) ライブでお客さんと一緒に盛り上がれるような、 グルーヴィーで、ちょっと踊れるような音楽をやってみたいです。
岡野昭仁) なるほど〜。それは、ブラックミュージックのようなものが入ってくるような?
Aimer) そうですね。やっぱり自分の音楽はバラードが多くて、 最初は静かな曲しかなかったので、 ライブも自然と “シーン”っという、静かな感じになっていたんです。
岡野昭仁) そうなっちゃうよね。
Aimer) はい。そうだったんですけど、何年かやっていくうちにだんだんと、盛り上がれるような曲も書いていただいたりもして、ライブで盛り上がる場面も増えてきたんですけど。自分も、もうちょっとお客さんと盛り上がれるシーンが欲しいなって考えたときに、私の場合は、拳を突き上げるというよりは、大人な感じで、リラックスした感じで体を動かせるぐらいの、時間を醸し出せるような音楽があってもいいのかなと、思っています。
岡野昭仁) なるほど〜。でも、Aimerさんの声は聴いていて、ロックなこと、Jazzyなこと、いろんなジャンルハマっていけると思うよ。 そういう感じの音楽、俺も聴いてみたい!ブラックミュージックとかも。
Aimer)本当ですか、嬉しいです。挑戦してみたいですね。じゃあ、今度は岡野さんの番ということで…。これまでに既にたくさんのことにチャレンジされていると思いますが、何か、ありますか?
岡野昭仁)チャレンジね〜。実は、それが悩みでもあったりするんだけどね。場所も環境も、結構やり尽くしちゃった感があって。
Aimer)それだけのことを、今までやってこられてますもんね。
岡野昭仁)まあ、幸せなことだと思うんだけど。でもこうやって、キャリアが長くなってくると、自分の苦手な部分にずっと蓋をしていたなって思っていたりもして。例えば、プロデューサーの本間さんとやるときも、「まずは得意分野を出してあげよう」というとこから始まって。それがパブリックイメージになって、そこだけでやってきてから、苦手な部分が隠されて来たんだけど。ポルノって、“動”か“静”なイメージでいうと、きっと“動”のイメージがあるでしょ? そうなんだけどもう少し、“動”か“静”があるなら“静”を、“タイト”と“ルーズ”があるなら、“ルーズ”なものをそういうやってみたいかな、と。
Aimer)じゃあ、 さっきの私と逆ってことですか?
岡野昭仁)そうかもしれないね。ちょっと一歩引いて、溶けるようにお客さんに届くような歌い方だとか、そういう音源を自分ではまだ作れていないと思うから、チャレンジしてみたいかな。すごく好きな世界だけど、自分ではまだ表現できていないと思うから。そろそろそういう苦手なところの蓋も開けていかんと、次のステップにはいけないかなあ、と。

「ルーティーン」
Aimer)岡野さんは、必ずライブの前にすること、ルーティーンってありますか?
岡野昭仁)ルーティーンは、あるね。一緒にツアーを回っているトレーナーの子と、ライブ当日に、時間があるときは30分くらい外に走りにいって、汗をかいて、体をほぐしてもらう。
Aimer)走って、汗をかくことで、逆に疲れなくなる?
岡野昭仁)俺の場合はね。疲労が抜けて、声も出るようになるから、必ずやるかな。これはもう強迫観念のようにやっているかな。Aimerさんは、何かやってる?
Aimer)そうですね…、私は、ライブ前に発声をとにかく丹念にやるってことはありますけど、それ以外は特にコレっ!ていうのはないですね。発声だけは本当に、時間をかけてやらないと分からなくなってしまうので。
岡野昭仁)そうだよね〜。あっ、俺1つ思い出したわ、必ずする、願掛けあるわ。
Aimer)何ですか?
岡野昭仁)ライブの直前に、神様がいるとして、「お願いだから、歌詞間違えませんように、最後まで声が出ますように、 よろしくお願いします!!」って、お願いしてる。一番怖いことだから。 声が出ないことと、歌詞を忘れるっていうことだけは…。
Aimer)それは分かります。 岡野さんも、ライブ中に「歌詞を忘れちゃったら…」とか、思うんですね?
岡野昭仁) いつも間違えるんだけど…、思ってるよ。それだけは、いつも願掛けしているかもしれない。あんまりストイックになりすぎてもダメだけど、緊張感を持たないといけない。緩い気持ちで入ってしまうと、えらいことが起きちゃうよっていう、緊張感を持たせるっていう意味でも「今日もよろしくお願いします!」っていう願掛けは、いつもやろうと思ってる。嫌じゃん?ライブアーティストとして、ライブに対して怠慢になる気持ちっていうのがイヤだから、ね。
Aimer)素敵ですね。ライブにおいて、どこまで緊張感を持って、どこまでリラックスしていいかっていうバランスは、すごく大事ですよね。
岡野昭仁)そうだよね。僕が、変な緊張をしなくなったのは、ボイストレーニングに行ってから、声が枯れにくくなって、最後まで声が出るっていう保証ができてきてから、かな。安心感が出てきた分、今まで一番大きかった不安が1つ解消されたから、変な緊張はしなくなった。
Aimer)それは、デビューしてからどれくらいのときですか?
岡野昭仁)でも本当に最近だよ。ここ5年くらいじゃない?
Aimer)すごいですね…。長くやってらっしゃるのに、ここ5年でその確証にいたるって。それだけいろんなライブがあったってことですね。
岡野昭仁)そうそう、全然声が出なかったライブもあるし。昔、初めて武道館に出たときかな?ニューヨークから帰ってきて、2日後ぐらいライブがあったんだけど。すごく良いイベントで、それにかけていたっていう想いもあったのに、時差ボケで、全然声が出んくなってしまって。イライラして途中で投げちゃったのよね。マイクスタンドをライブ中に、ばーんって倒しちゃったりして。それを見ていた当時のボイストレーナーに、それをすごく咎められて。「アナタの声が出ようが出まいが、お客さんには関係ない。ステージに立っている人間なんだからそういう立ち振る舞いはだけはやめなさい。」って言われて。それが、武道館の思い出の1つとしてあるかな〜。だからそれ以降は、そういう立ち振る舞いをするのはダメだなあと、感じるようになりましたね。
Aimer)私もありますね。表には出なくとも、自分が考えているものを思うように表現できないもどかしさが募っていくと、ナーバスになっちゃったり。それを、いかにコントロールして、お客さんと一緒に楽しめるかっていうのが課題ですよね。
岡野昭仁)そうなんだよね〜。声が出てなくて、コンディションも悪いのに、「もうどうにでもなれ!」って、とにかく楽しんでやろうって思ってやったライブが、意外と後から「すごい良いライブだったよ」って言われたりすることもあるんよね。ライブの本質って、そういうところにあるんじゃないかなって、思うよね。
Aimer) エンターテインナーとしての立ち振る舞いも、大切ですよね。

「趣味」
岡野昭仁)ここまではマニアックな、音楽の話ばかりしてきたので、最後はプライベートな話も聴きましょう、ということで。趣味はありますか?
Aimer)それがですね。音楽以外で、すごくのめり込んでいる趣味が、正直無いんです。
岡野昭仁)かっこいいね〜。逆に、そっちの方ばっかりだわ。
Aimer)えっ、何ですか??
岡野昭仁)最近はあんまり行けていないけど、釣りとかゴルフにはまっちゃって。
Aimer)へえ〜、私どっちもやったことないです。釣りはどういう魅力があるんですか?
岡野昭仁) 釣りはね〜。結局は、「命と命のやり取りだから…(*急に渋い声)」、 分かりにくいか。
Aimer) 声が!急に声渋くなりましたね!
岡野昭仁) なんだろね〜。魅力を言えって言われると、なかなか難しいんだよね。
Aimer)釣りって、待つ時間が長いっていうイメージがあるんですが…すぐに釣れたりもするんですか?
岡野昭仁)基本的にはすぐには釣れないかな〜。魚種や釣り方によっても違うし。僕はルアー釣をやるので、ずっと投げたりして、動いている。待ったりする釣りは、あんまり好きじゃないから。ブラックバスとか淡水でね…ってこれ、Aimerさんの趣味を聴くところのはずですが。
Aimer)すみません、面白くてつい、掘り下げてしまいました。
岡野昭仁)Aimerさんも、2・3種類、持っていた方がいいと思うよ!家では何をしていますか?
Aimer)家では、音楽を聴いたり…(笑) あとは、とにかく手を動かすことが好きなので、ペンを持って歌詞を書いたり、最近起こったことで、自分が何をそこから考えたか、とか、気持ちを整理したい、という意識があって。
岡野昭仁)それは、必ず、手書きの文字なの?
Aimer)そうですね…。それこそ日記は、幼稚園のときからずっと書いていて、 数10冊はあります。あとはノートもいつも持っていて、時間があれば、何かを書いています。
岡野昭仁)へえ〜、それをやると心の癒しとか、気持ちの整理にもなるってこと?自分カウンセリングみたいな?
Aimer)そうですね。じゃあ、私の趣味は「書くこと」ということで。
岡野昭仁)もうちょっと、コマーシャルになるようなものがええねぇ、取材とかに使えるような。何か1つ考えよう。
Aimer)そうですね。
岡野昭仁)俺も、あまりにも趣味が無くって、取材とかで聴かれるのが嫌になって、ネタとして釣りを始めたら、めっちゃハマったっていう。
Aimer)えっ、そうなんですか!じゃあ、逆算で?
岡野昭仁)そうだよ。子供の時にやってたから、とっつきやすいかなあと思って始めたんだけど。子供の頃にやってたこと、何かない?好きだったこと。
Aimer)子供の頃やってたこと…「書道」。
岡野昭仁)やっぱ、書くことなんじゃ。じゃあ、間違ってないわ!

on air楽曲

テーマ「今後、挑戦したいと思う世界観」
Aimerセレクト:Virtual Insanity / Jamiroquai
まさに、今後挑戦してみたいと思う世界観が現れた1曲です。ライブで一緒にお客さんと盛り上がれるような、グルーヴィーな音楽を、今後作ってみたいです。
岡野昭仁セレクト:Amie / Damien Rice
アコースティックを中心に、音にエフェクトを入れながら、浪々と歌う音楽。今後は、こういう世界観もやってみたいなあと思う曲です。
テーマ「忘れられないライブの一幕」 by.岡野昭仁
岡野昭仁セレクト:2012Spark/ポルノグラフィティ
東日本大震災が起きたあと、困難を乗り越えようって、次に向けて作った曲。2011年に幕張で年越しライブをしたとき、初めて披露したのにも関わらず、お客さんが、僕らの気持ちをしっかり受け止めてくれたっていう瞬間が分かって。その一幕が忘れられない曲です。
テーマ「最近よく聴いている、お気に入りの曲」
Aimerセレクト:Stardust/Ásgeir
アイスランドのアーティスト。とある機会があって、私が人生初めて、インタビューさせていただいたアーティストです。実際にライブも見させていただいて、すごく素敵でした。最近のお気に入りです。
岡野昭仁セレクト:「Young And Menace」/FALL OUT BOY
始めはパンクな感じで出てきたアーティストだと思うけど、どんどん時代とともに変わってきて。その可変型な姿勢から、音楽が本当に好きで、音楽で天下を取りたい人達なんだろうな、っていうのが伝わってくる。この新曲も、最新の流れを組んだような、イマドキな音になっているな、と思います。

対談してみて、イメージは全然変わりましたね。本当に音楽が好きで、歌うことが大好きで、ストイック。素直にいろんなことをスポンジのように吸収する、女性。曲がかかっている間も、歌のこと、ライブのことについて聴いてくれて、僕の話すことに、素直に耳を傾けてくれて。珍しいくらいに純粋で、真っ白な方だと思いました。だからこそ、あの歌が歌えるんでしょう。僕もとっても楽しい一ヶ月を過ごさせていただきました。ありがとうございました。



1ヶ月、濃密で楽しい時間でした。アーティストの方と、ここまで深いところまでお話するのは初めてだったので、楽しかったのはもちろん、長く活動されている方が乗り越えて来たこと、こんな瞬間もあったんだという、意外な発見もたくさんあって。本当に勉強になりました。私自身、プライベートで聴きたいようなお話もたくさん聴けたので、念願叶った時間でした。本当に、ありがとうございました。